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最近読んだ本

「夏の庭」

三人の少年が初めて直面する、身近な人の死。
まったく、男子小学生ってロクな生き物じゃないね。
それがひと夏で見違えるほど成長した。
洗濯ものを干すのが上手だったり魚をさばくことができたり、友人たちの知らなかった一面を発見したりしながら。
それまで話したこともなかったおじいさんと親交を深めながら。
初めて死を死と実感した相手が親戚とかでなく近所のおじいさんというのが、すごく現代的だなあ……
木山くんの家庭環境もそうですが。
おじいさんが花火を見せてくれるくエピソードがすごく好きです。
ただ車の若者とその彼女のくだりがちょっと……ですが。
公道で見られたら困るようなことしておきながら何小学生に八つ当たりしてんだよ……まあそれはいいとして。
それのせいでおじいさんに花火すごくきれいだったって言う機を逸しちゃったじゃん。
まあおじいさん照れ屋だからそれくらいでちょうどいいかもしれないけど。

終盤はもう、ひたすら辛くて悲しい展開なのですが……
物理的にも3人それぞれ別の道に向かって歩き出すラストシーンがとても印象的。
「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごい心強くないか!」のセリフも。
本当そうですよね。
身近な人の死と、その悲しみを乗り越えた経験は自分を強くしてくれる。はず。


「木漏れ日に泳ぐ魚」

おもしろくて先が気になりすぎて一気に読んでしまった。
まずお兄ちゃんの方が残念な男だったのがとても残念でした……
冷静で知的な男いいじゃん、双子の兄とかいいじゃんと思ってたのに。
いるよねこういう自分は安全圏にいるだけの人。
妹の側が疑うのはいいけど兄の方が妹に疑惑かけるのがなんかモヤモヤした。
最後謎が解けた瞬間にすっきりすると聞いてたからその辺はスッキリしなかった。
当たり前ですが。
兄だけど好きだった男から解放されたという意味ではスッキリではあるけど。
新しい彼女への嫉妬とか、勝手に想像して勝手に怒るとか『愛がなければ嫉妬もない』の一連のくだりは読んでいてしんどかったです。
身に覚えがありすぎるので。
禁じられた恋だから執着してただけなんだろうな。
実はいとこだった、何の障害もなかったと気付いてしまったからには急速に興味を失ってるし。
お互いの気持ちが分かって地獄にはまっていってからのかけひきみたいなのがもっと見たかった。
あと、ナイフとかピアスとか写真立てはどうなったのか。
ミステリー要素というより、個人的には恋愛小説の要素が強いと思った。
父親の死の真相と兄弟の関係についての謎解きの部分が、全部確証のない推測なので。
全体的に不穏な感じの恋愛小説。
「真珠のピアス」も不穏な雰囲気だしなあ。

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