心理療法としてのコーチング②~陰陽の視点から~
ナラティブということ
ナラティブアプローチとはなにか?
前回、ラッセルウェルビーイングコーチングカレッジのアドバンスプログラムにおいて、認知行動療法、ナラティブアプローチ、ブリーフセラピーを学んでいるということを記しました。
すべてオンラインでの講義であり、コーチングのセッションもあわせて、DAY7までのプログラムなのですが、一日一日の学びの量が恐ろしく多く、テキスト以外に含まれる量が多い・・・なんの量かというと、学習量や情報量ではなく、体験量というか、感情量というか、想起量というか、ひとつのワークに繋がるいろいろな想いが多すぎて、一日終えるとぐったり・・なありさまでした。
当然、それを文章にするとまた、莫大な量になりそうなので、とくにナラティブアプローチについての感慨を記しておきたいと思います。
ドミナントストーリーの語り
ドミナントストーリーとは、人が持っている自分の物語、オリジナルな自分にとって支配的なストーリーです。
人生のさまざまな経験、両親の価値観や、属してきた文化に影響されてつくられたストーリー。
クライアントの話を聴く時に物語として聴く・・ために、まず自分自身がどんなドミナントストーリーをもっているか、宿題として、受講前にじぶんの好きな物語を3つ考えてくる・・というワークがありました。
映画、小説、漫画、ドラマ・・なんでもいいのですが、この時点でわたしが挙げた物語は、どれも実在の人物の自伝や、ノンフィクション、評伝。
ファンタジーや漫画ではないところに、自分の傾向をみました。
実在の人物が、数々の困難のなかに自己実現を成し遂げる・・みたいなストーリーです。
3つに限らず、きっと10挙げよといわれても、同じだろうなぁと思います。
なにか、志をもつ。歩き始める。
うまくいかない。
少し道を外れる。でもうまくいかない。
同志を得る。初心を思い出す。
再び力強く歩き出す。数々の困難がふりかかる。
諦めそうになりながらも、新たな出逢いに助けられ踏みとどまる。
そして、また原点回帰しながら、歩き出す。
私自身は、そのようなドミナントストーリーを持っているし、そういうストーリーに繰り返し、心惹かれるのだと知りました。
知りましたというのは、知らなかったからです。
改めて、本棚を見てみると、自伝、評伝がいっぱい並んでいて、いわゆる物語、フィクションの小説はあまりない。
私は実在の誰かの物語に、昔から興味があるんだと、今回初めて知ったのです。
ワークの中で自分の好きな物語について、それぞれが語るのですが、私自身が語るのも愉しかったですし、バディが好きな物語について聴くことも、永遠に聴いていたいほど愉しかったです。
昔話や神話には物語の元型があります。
昔は繰り返し繰り返し、同じ物語を読んでいました。
そんなにたくさんの本を購入はできなかったし、図書館にあって、自分の好みに合う本だって、そんなに無限にあるわけではなかったから。
でも、自分が大人になって、好きな時に好きなだけ本が買えるようになって、ネットで次々と私の好きそうなジャンルの本がリコメンドされるようになって、そして、オーディブルで色んな本を試し聴きできるようになって、たくさんの物語と出会えるようになりました。
それはそれで、素晴らしいことなんだけど、同じ物語を何度も何度も読み返したり、観かえしたりする機会は激減しました。
ダブルリスニング
問題と希望、光と影、表と裏、体裁と本音、強みと弱み。
そう、すべてのことにはふたつの側面があります。
よいこととわるいこと
そして、よいことに見えてわるいこともあるし、わるいようにみえてよいこともあります。
東洋思想でいう陰陽も同じくです。
陰陽消長や陰陽転化は、陰と陽が固定した役割ではなく、常に流転することを告げています。
「禍福は糾える縄の如し」
どんな物語もそのことを教えてくれます。
そしてその視点にたって、自分のドミナントストーリーを読み返してみたとき、そこにはおおきな未来への希望が生まれます。
コーチングの中で、クライアントが語ったこと。語らなかったこと。
どちらにも等価の価値があり、意味があります。
語りは聖域
セッションの中で、クライアントとして語り尽くしていくうちに、なにかが自分の中で立ち上がってきます。
コーチが、ひたすら全肯定の姿勢で聴いてくださっているうちに、自分自身の思いこみや呪縛から、どんどん自由になってくるのです。
新しい物語・オルタナティブストーリーの構築
オルタナティブとは、語源的にはもう一つの・・とか代案というような意味です。
たとえば医療で言えば、主流の西洋医学に代わるオルタナティブ医療といわれるのが、東洋医学であったり、鍼灸や指圧だったりします。
代替医療と訳されることが多かったですが、今は東洋医学は西洋医学の代わりではなく、洋の東西を問わない統合医療を目指す・・という文脈で、オルタナティブとはあまり使わなくなっているように感じていました。
ナラティブアプローチのなかでいう、オルタナティブは、ドミナントに対するもので、統合も含めた代替であるとわたしは理解しています。
ドミナントストーリーとオルタナティヴストーリーでは、素材は同じです。
障害となっているものも、問題と感じていた人間関係もなにも変わらない。
でも、
によって、まったくあたらしい物語を描き出す、紡ぐことができるのです。
そのダイナミクスに、うっとりしました。
ワークのなかのセッションはごく短いものです。
でも、短ければ短いなりに、猛烈な紡ぎなおしがおきます。
自縄自縛であった思いこみがぱらぱらと外れていくその爽快さ。
これはちょっと病みつきになります。
もちろん、まだエッセンスを学んだだけで、ナラティブアプローチの全貌を把握できたわけではないですが、自分とクライアントさんの可能性を信じて拡げていくのに、すごいパワーをもったアプローチだと感じました。
先週、アドバンスコースは修了しました。
ウェルビーイングコーチング、とても大きく深く、高く飛ぶことができる対人支援法だと感動しました。
きっと一生学び続けることでしょう。
わたしは指圧という身体療法の専門家ですが、ずっとからだとこころ、そのつなぎめに触れる方法について模索してきました。
もし、同じように心理療法を学びたいとお思いの方がいらっしゃれば、
『ウェルビーイングコーチング』
をこころからお薦めします。
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ぜひ、代表の中原阿里さんにお会いになってみてください。
ウェルビーイングってなに?って思われる方は、
存在が、場が、ウェルビーイングであることを感じられると思います。
人生を変える、素敵な出会いになればいいですね。