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ハリー・ポッターと影の裏方さん(ハリー・ポッターシリーズ)

”ハリーポッターへいきたい”

離れて暮らす齢70の母からLINEが来た。
娘の数倍、流行に敏感で、新しいものをよく知っている母は、
どうやら東京は練馬区のとしまえん跡地に昨年6月に誕生した

ワーナーブラザース スタジオツアー東京
メイキング・オブ・ハリー・ポッター

に行ってみたくなったらしい。

母の頼みとあっては断れない娘=私は、
望むところだ!
と早速チケットを予約。

とはいえ、
ハリー・ポッターシリーズの全映画を見ている母とは違い、
私は本を最初の1,2巻、映画も同程度しか見ていない。

何事も
折角なら全力で楽しんでやるぜ!

がモットーの私は、予約日までにハリー・ポッター全シリーズを読破することに決めた。

流石に長い。めちゃくちゃ長い。
全7巻。
私の読んだバージョンだと後半の4巻は上下に分かれているので、
全11冊。

でも、流石、世界的ベストセラー。
今まで
人生で一度は読んだ方がいい本 私的第1位
は、ミヒャエル・エンデモモ
と思っていたけれど、あっという間に同列に並んだ。

ただのファンタジー、子供向け小説と侮るなかれ、
人間・魔法使いの良い部分、嫌な部分がしっかりと描かれていて
いるよね~!! そういうやつ!!
と大人でも共感できる要素がたくさんある。

使われている言葉は、とても分かりやすく読みやすいけれど、
ストーリーは重厚で、あっという間に魔法の世界に没頭。

主人公たちが魔法学校で過ごす7年の間に、
彼らはしっかり反抗期をむかえ、仲間と協力しながら逞しい大人になっていく。
おばちゃん=私は、親戚の子の成長を見守っている気分で、
怒ったり、泣いたり、笑ったり、と忙しい。

終わるのが寂しいよぉ。
と半泣きで最後のページを閉じた本は、久しぶりだった気がした。


さて、いきなりですが

ハリー・ポッターシリーズの主人公の名前はなんでしょう?

と、友人に聞いたところ、

え?知らない。

  ( 私 え?うそでしょ? )

とのことだったので、一応ざっくりと説明をします。

イギリスの作家 J・K・ローリング が生み出した ハリー・ポッターシリーズは、魔法使いの少年 ハリー・ポッター がホグワーツ魔法学校で過ごす7年間を、1年1冊とした全7巻構成の小説で、1997年に刊行された世界的ベストセラーです。
映画は、2001年から8本のシリーズで公開されました。

ハリー・ポッターの主人公の名前は

ハリー・ポッター

です。

友よ、覚えておけよ。

そして、その映画に登場するセットや衣裳、小道具などを展示した施設が、
スタジオツアー で、同施設はイギリスと東京にあります。

と、ざっくり説明はこの程度にして、詳細はwiki先輩に委ねます。


前振りがとても長くなりましたが、
いざ! スタジオツアーへ!!

と、言いたいところですが、先に謝罪します

実は私、社会に出てからの数年間、
演劇の裏方でご飯を食べていた時期がありまして、
そのせいか、どうしても裏側が気になってしまうのです。
そのため、写真は裏側ばかり。
とはいうものの、現場を離れて大分経ち、
そもそもポンコツスタッフだったので、
以下に続く文章は、何の説明・解説にもなってません。

そして、”映える”写真は一つもありません。
すみません。
ツアーの内容も、こんな素敵なところがあるよ!
と役立つ情報もマジで何にもありません!

申し訳ございません。


とはいえ、折角なので好きにやらせてもらうことにしました。

それでもいいという方のみ、

ようこそ ディープな影の世界へ



まずは、

・ホグワーツ魔法学校の大広間

から。

スタジオツアーでは、現在 ”ホグワーツ・イン・ザ・スノー”というイベントを開催中のため、大広間もすっかりクリスマス気分。

映画シリーズ1作目の『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマス・シーンを再現した特別企画で、ワーナー ブラザース スタジオツアー ロンドンでも、人気のあるイベントの一つです。

スタジオツアー メイキング・オブ・ハリー・ポッター 公式ホームページより
ホグワーツ・イン・ザ・スノーは、来年1月5日まで。
手前は登場人物の衣裳
左から、マクゴナガル先生、ダンブルドア校長、スネイプ先生

 三人はハグリッドと樅の木の後について大広間に行った。マクゴナガル先生とフリットウィック先生が忙しくクリスマスの飾りつけをしているところだった。
「あぁ、ハグリッド、最後の樅の木ねーあそこの角に置いてちょうだい」
 広間はすばらしい眺めだった。柊や宿木が綱のように編まれて壁に飾られ、クリスマスツリーが十二本もそびえ立っていた。小さなツララでキラキラ光るツリーもあれば、何百というろうそくで輝いているツリーもあった。

J・K・ローリング 『ハリー・ポッターと賢者の石』 静山社 287頁

大広間の壁の裏側。
パネルの裏にこれだけパイプがあるのは、この施設のため?
倒れたら大変だもんね。



・ダンブルドア校長のお部屋のセット模型

日本の舞台セット模型とあまり変わらないように見える。


・ハリー・ポッターのライバル、ドラコ・マルフォイが所属するスリザリン寮のロビー

中央に暖炉とソファーセット、下手(向かって左)に階段。
どんだけ豪華な寮なんだよ。
スリザリン寮 下手側階段下。しっかり組まれている。
残念ながら私達はリビングに入れません。


・ダンブルドア校長室の壁の裏

マニアックですいません。
自分で写真を見ていて、何やってんだと呆れてしまった。

漆喰で木材ごと固めている。
短期間でバラし(解体)てしまう演劇では見たことがない。
壁はアール(曲線)を描いている。綺麗なアールだぁ。
高いんだろうなぁ、製作費。
校長室棚の汚し(古く見せるためにあえて汚すこと)。
赤を使っている。ゴールドの下地の赤塗料かも。


・衣裳、靴

デザイン画には、衣裳プランナーの個性が出る。
ここから生地を決めて、衣裳を作る。
なんだったら生地から作る。
これを実体化させる縫子さんってすごい。
ハリーの後輩ルーナ・ラブグッドの靴。
中に役名のシール。やることは日本も世界も変わらない。たまに名前シールが剥がれちゃったりするけれど、その頃には一目で誰の靴か分かるようになっていることがほとんど。


・書籍

ハリーの親友ハーマイオニーがよく使っていたルーン語辞典。
経年劣化の汚しがすごい。角の擦れ具合たるや!
図書館の本棚
はーい、ウレタンでーす。
角の丸みとか、背表紙の凹凸とか、使い込まれた感のある色とか。本物そっくり。
近くには行けますが、触れません。
触りたかったなぁ。持ってみたかった。
軽いのかなぁ。軽いよね。


石、木の作り方

右から左へ完成へ近づいていきます。
ご興味ある方、ご家庭で是非!
右から左へエイジング加工されていきます。やってみたい。
右から左へ。重ね塗りで岩が出来上がっていく。


音響装置

コップがリアリティがあって好き


・クリーチャーたち

ハリーを慕う屋敷しもべ妖精のドビー。
ドビーには泣かされました。
髪の毛と髭があったんだね。眼球と唇のウルウルまでリアル。
ドビーの手足。
皮膚! 血管! 爪!!!
ハリーの友人であり先生でもあるハグリッド。
これに一番驚いた。人じゃない!機械だ!!
リモコンで表情が動きます。めちゃくちゃスムーズに。


・ダイアゴン横丁のセット

魔法界の商店街。指名手配のポスターまで細かくできている。
2階の壁の錆具合が絶妙。


・ホグワーツ魔法学校の全景

”ホグワーツ・イン・ザ・スノー”ということで、こちらも雪模様


裏側ばかりのツアーでしたが、
最後にこちらの写真を載せて終わりにします。

魔法使いが使う杖。その杖を売るお店の棚を模したこちら。
箱の側面にそれぞれ文字が書いてありますが、
こちらは映画に携わった全スタッフさんの名前だそうです。

中央にあるDaniel Radcliffeは、ハリー・ポッター役を務めた俳優さん。
私はなぜ、このゾーンの全景を撮らなかったのか。
それがどうしても悔やまれる。

この箱が、通路一面、いや、二面、三面、四面と埋め尽くす壁が、
私達のツアーの最後の最後に出てきます。

それだけ多くの人たちが、この作品に力を尽くしたということ。

演じる者がいなければ、エンタテイメントは出来ません。
それと同じくらい裏方まほうつかいさんたちがいなければ、作品は出来上がりません。

箱でいっぱいの棚を見上げながら、
この映画がどれだけの人の努力で出来上がったのかを想像して、涙が出た。

そして、このゾーンを説明し、
「足を止めてくださってありがとうございます」
と言ってくださったツアースタッフさん
あなたも、そんな裏方まほうつかいさんのひとりです。
こちらこそありがとうございました。

これからもしスタジオツアーへ行くことを考えている人がいらっしゃったなら、
最後の最後、ショップへ入る少し手前にこのゾーンがあります。
ぜひ
多くの影の裏方まほうつかいさんがいたことに
そして、
今もその場にいることに足を止めて、思いを馳せてみてください。

さあ、これで好き勝手やらせていただいた私のハリー・ポッターツアーも終わり。


え? 大掃除・・・?


さぁ、みなさん、よいクリスマスを。

メリークリスマス!!



【参考資料】

・ J・K・ローリング 『ハリー・ポッター シリーズ』 静山社

・野村萬斎監修 『SPT10 劇場のための理論誌』 世田谷パブリックシアター/工作舎

・舞台監督研究室 編・著 『舞台監督読本 舞台はこうしてつくられる』 四海書房


【施設情報】
ワーナー ブラザース スタジオツアー東京  メイキング・オブ・ハリー・ポッター


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吉田
最後まで読んでいただきありがとうございます!もうそれだけで感無量。

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