
フレンチ沼のほとりから
フレンチブルドッグが好きだ。
大好きだ。
グッズを集めているわけでも
知り合いのお宅にいらっしゃるわけでも
ましてや
一緒に生活しているわけでもない。
ただ、ただ、ひたすら
SNSのフレンチさんを漁り続け、
街角のフレンチさんに熱い視線を送り続けている。
フレンチさんの集まりが近くの公園を催される
と聞きつければスタスタと出掛けていく。
一緒に生活しているわけではないので、
集まりに参加するのは気が引ける。
遠くから写真や動画を撮影するのは、
盗撮行為なので決してしない。
フレンチさんに嫌われたくはない。
ひたすら肉眼で見つめ続けて、
記憶にとどめる努力をする。
一歩間違えればやばい人だ。
そもそものきっかけは
数年前にフレンチブルドッグのミルコさんをyoutubeで見かけたことだった。
衝撃を受けた。
何だ!この愛想のなさは!(いい意味で)
遊ぼうとする人間たちを横目に、
え? 今、気分じゃないんですけど!!
と言わんばかりの表情。
めちゃくちゃ、かわいい!!
おしりも、ぷりんと丸くてかわいい!!
お口のモフモフも、モフモフしててかわいい!!
もう、何をしても一挙犬手一投犬足、かわいい!
触りたい・・・。一緒に、遊びたい・・・。
・・・立派な変態の誕生である。
とはいえ、大切な命のひとつ、ひとつ。
平均寿命だけで言えば、
たぶん、まだ見ぬ彼・彼女は私を置いて
先に虹の橋を渡ってしまうだろうし、
それを想像しただけで、泣きそうになる。
実際、
お会いしたことも拝見したこともないミルコさんが
11年前に虹の橋を渡った時は
家で一人号泣した。
そう考えると
一緒に生活する決心はつかない。
なので私のSNSのフォローは
ひたすらフレンチさんとそのご一家ばかりが増えていっている。
贅沢は言いません。
あなたを見ているだけでいいのです。
かわいすぎる・・・。
ところが先日、ふっと恐ろしいことに気が付いた。
ある寒い朝、起きてきた相棒ぶーさんが
ストーブの前に体育座りをしながら
あらぬ方向を見て
ぼーーーーーっ
としていた。
そのうち、何かを思いついたように
はっ!
として、しばらくするとまた納得したように
ぼーーーーっ
とした表情に戻った。
!!
この動き・・・
ほぼ・・・フレンチさんじゃないか!!
しかも全然かわいくない!!
フレンチさんは
中におじさんがいる
なんて言われる格好をたまにして、
それもたまらなくかわいいのだけれど、
リアルおじさんがやると
本当に、全く、全然、
かわいくない!!
あのかわいらしさは
フレンチさんがやるから湧き出てくるのであって
マジのおじさんがやっても
かわいさは0なのだ。
愕然とした。
フレンチさんが好きだから
ぶーさんと一緒に生活ができるのか?
ぶーさんに似ているから
フレンチさんが好きなのか?
怖すぎるので、その辺は解明しないことにするが、
前者だとすれば
ぶーさんにもう少し可愛げというものを獲得して欲しい
と
フレンチブルドッグ沼のほとりで
心の底から願うのだった。

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