シェア型本屋さんの棚主でよかったこと
ちょうど1年前に、神保町のシェア型書店「猫の本棚」の棚主になりました。「猫の本棚」さんと、わたしの棚について詳しくはこちら↓。
昨日、だいぶご無沙汰になってしまったのですが、手元にあった本を入庫して、また自分で読みたい本を回収してきました。
そう、自分の本棚なので、売れてなければいつでも回収可能。中古本の売り場でありながら、自分のサテライト本棚でもあります。そんな棚を持つのはとても楽しいので、よかったことをシェアさせてください!
どんなコンセプトも受け入れてくれる
初めて「猫の本棚」を訪ねたときからワクワクしました。
とってもおしゃれなインテリアだし、オーナーご夫妻がしっかりしたコンセプトや思いを持って開店されている様子が、お話はもちろん、その空間からも伝わってきたのです。
「どこでも好きな棚をどうぞ」ということで、わたしは自分が立ったときの目線に近い高さの棚(22番)を選びました。でも……
「ほんとに、どんなコンセプトでもいいんでしょうか……?」
「もちろんですよ、好きにやってください!」
安心してお墓の棚、作らせていただきました。
それを面白がってくださって、とても嬉しかったのを覚えています。
ちなみに、うちの上階は「だけの本棚(仮)」さん。夏目漱石のさまざまな『こころ』だけが並んでいます。
活気あふれる古本たち
当初はまだオーナーの蔵書が軒を連ねていました。
それも映画、演劇、特撮などの稀少本がたくさんで見応えがあったのですが、今では棚主さんの棚でいっぱいになっています。
一棚一棚に、オリジナルなコンセプトが感じられて、眺めるのが楽しいです。
このほとんどが古本、中古本なんですよね。でも、なぜか本たちが活き活きしてる感じがしませんか?
古書を扱いながら、いわゆる古本屋さんのイメージは軽く覆してくれます。
棚主さんが持ち込んだ一冊一冊にコメントが付されていることもあって、そこに愛が感じられるんです。いろいろな角度からパワーが発せられてるような、なんだか不思議な感覚なのですが。
映画好き垂涎の企画棚
映画監督で映画評論家でもあるオーナー樋口尚文さんのお仕事とお人柄、博識さが物を言うのが、さまざまな企画。
<大島渚文庫>
大島渚監督の膨大な蔵書から持ち込まれた、本物の書棚。
<石井隆監督追悼>
オーナーご夫妻と親交のあった鬼才・石井隆監督を偲んだ棚。
わたしもじつは、石井監督のサイン本を持っていて‥‥ここでまた会えたのが不思議でした。
棚主には著者の方も多く、サイン入り新刊や、往年の女優さんのサイン本もよく入荷します。希少ですぐなくなってしまうことも。
中央のテーブルではいつもなにか企画が進行中。
かと思えば、お店の前には上白石萌歌さんが登場しているし。
内も外も静も動も、撮影に使われることしばしば。
常になにかが起きている現場なんです。
アンテナが増える
ニュースや新着情報、みなさんの棚の様子などをSNSで発信してくださるのもあって、いつもお店に活気がある様子が伝わります。
サテライト本棚を持ったおかげで、楽しげな情報がいつも入ってきます。小さなアンテナが1本増えた感じです。
そんな情報に触れるたび、きっと少なからず来客があって、本が旅立ってはまた新しい棚ができているんだな、と思ってほっこりしています。
描いた未来に近づける
じつは1年前に出店したとき、(行政書士になることができたら、この棚はまた違った使い方やコンセプトにできそうだな)と思っていました。
実際に棚を借りることで、この場所をどうしたいかというビジョンを、なんとなく先まで描いていたんです。そして、行く度に、ほかの棚主さんの棚から刺激をもらって、アップデートしているような感じです。
場所にはそういう力があるような気がします。何もなければ思いもよらないし、描ききれないものも、イメージできるようになるんですかね。
まだ具体的にどう変わるかは分かりませんが、その時はまたお知らせします。どうぞ今のうちから見に行っていただけたら嬉しいです。
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先日読んだ本(↓)を入れておきました。
映画会社時代のご縁がなかったら、もしかしたら出会わなかったかもしれず、何事もつながっているなぁ、と感謝しています。