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2024年本屋大賞受賞の「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ感想
本屋大賞って全国の書店員さんの投票によって決められる賞なんですけど、芥川賞だとかいろんな賞があるなか、僕はこの本屋大賞の受賞作が好きだ。
だぶん書店員さんと波長が会うのでしょうね。
面白いと感じる部分に共感できるんです。
今作も読んでみて、やはり間違いのない面白さだった。
読んでいる途中で感想が書きたくなってくるほどだった。
中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍、閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。さらにはM-1に挑み、実験のため坊主頭にし、二百歳まで生きると堂々宣言。今日も全力で我が道を突き進む成瀬から、誰もが目を離せない! 話題沸騰、圧巻のデビュー作。
この本の魅力は何といっても主人公の成瀬というキャラクター。
なんでもやったら出来るタイプ
けん玉をやるって決めたら大会で優勝しちゃうし
シャボン玉を極めるって思ったら、テレビの取材がくるまでになったり
カルタの部活に入っても圧倒的な存在感を示します。
M-1に挑戦するって言って、本気で漫才を始めてみたり
200歳まで生きるって公言していて、本気で自分の体を労ってもいる。
地元愛があって、滋賀大津市の市民憲章を覚えていて、
・旅行の人びとによい印象が残るよう、親切な応接をすること。
を実践している。
カルタ大会で、成瀬のことを気になる男の子に対して、親切丁寧に観光案内をするところ。
すごくまっすぐだなと感じました。
こんな成瀬の生き方に、自分が忘れていたものを思い出させてくれるようでした。
M-1の挑戦は4年やって1回戦を突破できなかった。
目的に対する結果は残せなかったのだけど、だからといって何も得られなかったわけではない。
一生懸命に取り組んだことって、たとえ目的が達せられなかったとしても、得るものは大きいのだと思う。
この本を読んでいて思い出したんです。
HUNTER×HUNTERっていう漫画で、主人公ゴンの父親であるジン・フリークスの言葉を
道草を楽しめ大いにな
ほしいものより大切なものがきっとそっちにころがってる
人生にはいろんな可能性がある。
僕が今からM-1に挑戦したとしたら、限りなく優勝できる可能性は少ないだろうけど、可能性は0ではない。
どうせやっても無駄だからって思うのではなく、自分が挑戦したい、やってみたいと思ったことに一生懸命に取り組んでみる。
その結果、目的は達せられなかったとしても、その道中にこそ本当に大切なものがころがっているのだと思う。
そんな本当に大切な気持ちを思いださせてくれたのが
「成瀬は天下を取りにいく」だった。
自分の人生ってつまらないな
そう感じている人にはぜひ本書を手に取って読んで欲しい。
本屋大賞は書店員さんが売りたい本を投票する賞である。
僕もこの本を、自分の子供たちに読んでもらいたい。
自分の人生って無限の可能性に満ち溢れているのだと知ってもらいたい。
なんでもいい。
何かに挑戦すること。
それが人生に彩を与えてくれるのだと、成瀬から教えられたのでした。
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