深夜の鐘とともに

深夜の鐘とともに
四車線の道路から車が消えた

土饅頭が現れ道を埋める
赤墨汁で死者名を記した石が転がる

土塗れの女が夫の名を呼ぶ

助けを求め膝に縋った者は骸骨となり崩れた
走り回り手で土を掘り女は肉体を失った

強風が盛土を剥ぎ屍を巻き上げる

骨が叫び女が歓びの声をあげ飛ぶ
骨と女は月に消えた

早暁の街道に車が通り喧騒が戻った

【AT0MSB0】