見出し画像

攻撃効率とは何か。グラフとして「可視化」する。ゴール期待値の図は間違った理解を与える。大事なのは、空白の部分である。

なぜ、私が「攻撃効率」を言い出したか。簡単に可視化することでざっくりと説明する。まずは、次の図を見てほしい。本日、行われた浦和ー広島のゴール期待値の図である。

横軸:時間 縦軸:ゴール期待値

これは、SPORTERIAというサイトが発表しているものである。チームが分かりそうなところは消した。

さて、あなたがこの試合のスコアが3−0だったと聞いた。対戦相手は知らないとする。紫色の領域と赤色の領域があるが、どちらを3得点のチームのものとし、どちらを0得点のチームものとするであろうか。

Jリーグをご覧の方は、色でチームが分かってしまうので残念だが、チームカラーを知らないほとんどの人は、紫色の領域を3得点のチーム、赤色の領域を0得点のチームとするのではないだろうか。

我々は結果を知っているので、紫が広島で0得点のチーム、赤が浦和で3得点のチームだと分かるであろう。それでは、この錯誤はどこから起こるのか。時間軸を横軸としているからである。本来は、ゴール期待値は直線上に積み上がっていくものである。

そもそもシュートは大きく見積もっても1秒、瞬間に起こるものであり、時間軸はない。すなわち、面積を測るものではない。しかし、この図を簡単に棄却できない理由がある。それは、攻撃効率が近似的に分かるからである。次の図を見てほしい。

図では、浦和のゴール期待値の領域だけ残した。そして、浦和の実際の得点3を縦の辺とする長方形を考える。この長方形からピンクの浦和のゴール期待値を引いた青い斜線の領域をどのように解釈するか。

得点3からゴール期待値1.08を引いているのだから、この斜線の領域が平均的チームを上回った、浦和のチームパフォーマンスである(ゴール期待値は平均的なチームのシュート成功率である。)

このように考えると、青の斜線の面積が大きければ大きいほど、「攻撃効率」が大きいと考えられないだろうか。これが、私が「攻撃効率」という概念を閃いた理由である。

この図は本来は、逆に読むべきものである。すなわち、ピンクの領域はマイナスとし、斜線の領域の方をプラスとして計算すべきものなのである。我々にとっては、期待値という実際に起こっていないもの同士の面積を比べても意味はないのである。

これが、私がこの図については、様々な瑕疵があると言い続けてきた理由である。

この立場に立つと広島は得点0であるので、そもそも長方形自体が存在しない。すなわち、0である。そのため、広島の「攻撃効率」は、紫の領域の全てをマイナスしたものになる。

以上、近似的な「攻撃効率」の理解の仕方である。この図を見たときには、騙されてはいけない。空白の部分の方が大事であるからだ。空白の部分にチームパフォーマンスが潜在化しているのである。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集