脳の世界地図 (前頭葉偏)
人間のあらゆる情動を司っている「脳」
脳には多くの役割がありますね。例えば、今私が座った姿勢を維持できているのも、コーヒーのカップが熱いと感じるのも、パソコンを打つ手が冷えると感じるのも
全てこの「脳」が感知し、指先や体幹に伝え感じられています。全てを司っている脳ですが、脳はエリア別に各役割がありそれぞれが正常に働いてはじめて鋭い「五感」を察知できます。
その「脳」の各エリアの機能や役割を世界地図に置き換え整理してみたいと思います。
大陸
脳のエリアは大きく3つ。
大脳・脳幹・小脳といい、世界地図で例えると‘‘大陸‘‘に値します。
中でも一番大きな大陸「大脳」は運動・視覚・言語など諸機能の中枢です。大脳のエリアは4つありますが、そのエリアを‘‘国‘‘としましょう。
国
まず、脳全体の80%を占めている大脳エリアに所属する国を見てみましょう。
1.ちょうど額から頭のてっぺんに位置する「前頭葉」
2.てっぺんから後面に位置する「頭頂葉」
3.後ろに位置する「後頭葉」
4.耳の辺りに位置する「側頭葉」
次は脳幹エリアに所属する4つの国です。
上から間脳→中脳→橋→延髄。
1.間脳は嗅覚を除くすべての感覚を中継
2.中脳は大脳と小脳、脊髄を結ぶ
3.橋は小脳との連絡路
4.延髄は循環や呼吸の制御や自律神経の中枢
これらがそれぞれの国のざっくりした役割です。
その脳幹におんぶされるようにある「小脳」は大陸=国だと考えてください。小脳は平衡感覚や姿勢の調整、運動の学習などを行います。
この記事ではまず始めに、大脳大陸に所属する「前頭葉」という国に関して説明していきます。
大脳大陸に所属する国「前頭葉」
前頭葉は頭の丁度おでこから頭頂にある、主に思考や判断し行動する機能を司る国です。
前頭葉の大部分を占めるのが「前頭前野」という州になります。
人間と動物の脳を比べたときに大きく違うのが、この「前頭前野」。人間の「前頭前野」は大脳の中の約30%を占めていますが、動物の中でもっとも大きいチンパンジーなどでも7~10%くらいしかありません。
「前頭前野」は、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など、人間にとって重要な働きを担っているため、人間らしくあるためにもっとも必要な存在といえます。
「前頭前野」が衰えるということは、もの忘れが増えたり、考えることができなくなったり、キレたり、感情的になったり、やる気の低下などにつながります。
「前頭前野」を鍛えて働きをよくすることは、「計算が早い」「記憶力がよい」などの脳の処理のハイスペックさだけでなく、日々の生活や仕事、学習などに、前向きでいい影響を及ぼすことにつながります。毎日を充実させ豊かに生きていくためには、「前頭前野」がよく働く状態をつくることが大切なのです。
前頭葉は脳の中で最も早く老化が進む
前頭葉は脳の中で最も老化が早いといわれています。
個人差はあるものの、前頭葉の萎縮は40代から見られ始め、さらに60代、70代でさらに進むようです。
前頭葉が萎縮すると、相手の感情を推し量ったり、共感したり、感動するといった感情の働きが鈍化、意欲が低下します。
喜怒哀楽の表現が乏しくなり、自発性、外の世界に関心がなくなります。
また外出しないことで、運動の機会も人との交流も減り、体と脳の機能もさらに弱るようです。
前頭葉の老化予防
前頭葉の老化予防は、日々意外性や非日常に対応したり、考えを固定化せず、新しい分野を理解しようとすることが予防に繋がります。
いったことないお店でランチや買い物をしてみたり、新しい趣味をみつけ、サークルに参加して、人と交流してみたりと、いくつになっても挑戦し続けることが重要になります。
また、前頭葉の萎縮の進行は、前頭葉の血流をふやすことや刺激を与えることで予防が可能です。
そういった意味では、鍼での刺激により、脳神経細胞を活性化させ、血流を促すことで老化予防を期待できるでしょう。
次回は「頭頂葉」について整理していきたいと思います。