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方丈記という同人誌(ミニマリスト向け)

この週末は方丈記を読んでいます。

高校の授業で一度は目にしたことがある古典。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず、、、という書き出しは、本文を忘れても耳に残ります。

かくいう私も、耳に一文を残していただけの不良学生。初めて全文を新訳で読み通しました。

書き手は鴨長明(かものちょうめい)。出世レースから外れた後、都を離れ、小さな庵で余生を過ごしたお坊さんです。
今風にいうなら、
ぽつんと一軒家、極小ハウスで独り暮らし。元坊っちゃんミニマリストのまったり生活

こんなラベリングができそうです。民放で取材されそうなご自宅ですね。

しかし、そんな素敵に見える彼の生活も、本来望んだものではありませんでした。
実家を追われ、望んだ官職にもつけず。くわえて、毎年のように起きる飢饉や火事、大地震。翻弄され続けたうえの決断だったようです。少しの受け身な雰囲気も読みとれます。

さて、タイトルで同人誌という一語を入れました。
どうしてこの言葉を使ったのかといいますと、彼の作品から『正統、完璧』という自負を感じなかったから。です。

今の庵の生活は楽しい、だらだらできる。自分らしく生きられる。彼はそう書きます。
しかし同時に、人前に出ると惨めさを感じると、型にはめずにさらりと書いてきます。他人と比べてしまう。そもそもこの生活だって、仏教でいうところの、執着に変わりがないと、自分の生活を卑下します。
自分が正統ではない。そう強く自覚している態度が読み取れます。

この自覚が、現代でいうところの「原作ありの同人誌」と少しダブって見えたのです。
これらの同人誌は元の小説やマンガがあり、その物語を元に新たな話、自分が望む形の物語を創ります。もちろん正統は原作であり、自分たちの作品は亜種、自分が望む違ったストーリーに過ぎません。
その自覚がありつつ、それでも「好き」が止められない。全く分野は違いますが、似通った精神性があると思えたのです。

好きな生活の話を聞いてほしい、読んでほしい。
でもこれは1つだけの正解ではないけれど。

日々の生活や趣味を楽しむ姿勢。それと同時に、謙虚な姿勢も兼ね備えている。
800年前のミニマリストに心を動かされる週末です。


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