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フランスベッドと頑固ジジイ
私も子供の頃、
ベッドに憧れてた。
あなたはどうですか?
友達の家に遊びに行くと
2段ベッドを姉妹で
使っていたりしていて、
うらやましかったなぁ。
こんにちは、よっしーです!
急にベッドの話から始まりましたが
これはベッドに並々ならぬ
思い入れのあった
おじいさんのお話です。
こだわりが強く曲げない、
偏屈な一面もありましたが
話しは的を得ていて
印象的な方だったので
書き記しておきたいと思いました。
彼がまだ若かりし頃
ベッドがない時に
ビール瓶のケースを敷き詰めて
布団を敷き、ベッドにした話を
聞いた時にめちゃくちゃ
共感したのですが、
その後、お金を稼いで
念願のフランスベッドのダブルサイズを
購入したと言い、愛着のあったベッド。
数年前に半寝たきりになっても
介護ベッドに変えずに
自分のポリシーを死守して
寝たきり生活を謳歌していた。
でも、申し訳ないけど、
フランスベッドって
介護する側からしたら
本当に迷惑な話だっちゃ!
シーツ交換が大変
防水シートを貼るのが難しい。
ベッドの高さが変えれないので
オムツ替えの時が大変!
本人がベッドから誤って転落した時に
高さが変わらないので
ベッドに戻すのが
めちゃくちゃ大変でした。
体格も大きいので床に
ひっくり返っていた時に
ベッドに戻す介助をしましたが
残存機能が乏しいなか
最大限に活かして援助しました。
本人は当たり前の話、
援助する側じゃないので
この大変さを知る由もないんですが。笑
これをやってきた私含め援助者は
本当に大変でした。
91歳、独身人生を好きなように
生きてきた彼に何を言っても
馬の耳に念仏。
ケアマネジャーも
介護用ベッドに替えましょうと
助言したはずですが
キッパリと
「ダメだ!」
とバッサリ切られたのは想像できます。
彼はそんなおじいさんでした。
他にも
寝たきりなのに、2階住まい。
緊急の時、どうなるの?
どうやって助けるの?
って、介護してる側が心配するのは
普通に当たり前のこと。
私はまる2年くらいしか
彼とはお付き合いがないので
詳しくわからないですが
自分の意思を押し通してきたので
西と言ったら東!
海と言ったら山!
こんな具合に意見が噛み合わなく
こだわりが強かった。
本が好きで各種の本が並ぶ
書棚には私も知っている本が
チラッとあった。
話す内容も意味深く
理論的だったりするので
うかつに発言すると
揚げ足を取られるので
対応には気をつけてと言われる
人だった。
私は彼との関係性が
保てるようになるまで
割と早かったし、意外に安易だった。
私の言うことを真剣に受け止めて
ちゃんと聞いてくれる。
ただ、私の名前が読めないと
別の読み方で
親しみを込めて
呼んでくれていた。
今年の元旦の地震の時
ちょうど私は彼のうちで
援助を行なっていた。
テレビで地震の報道が流れ、
最初は何の気なしに
チラ見していたが
石川県だけでなく
この場所もかなり揺れ
とっさに彼の頭を枕で覆い
姿勢を低くして揺れがおさまるのを
息を潜めて待った。
体を拭くために汲んできた
お湯は揺れこぼれ
床はびしょ濡れになった。
津波が来るとか報道されているけど
この2階から私は彼を
どうしたらいいんだろうか⁈
床が抜けて下に落ちるかもとか
天井が落ちてくるなど
最悪のことも考えていたが
とりあえずはオムツの交換が先と
速攻で取り替えた。
同居人の女性が別宅より
駆けつけてくれて
少しホッとしたが
そんなことも束の間
早く体を拭いて欲しいと
この地震の最中、
彼の言動に閉口しました。
同居人の女性も
何と言ってみようも無い
表情をしていたので
否定することは無理だと察し
溢れた熱湯を汲み直して
いつものようにゴシゴシと
体を拭き、痒みの軟膏を塗りました。
この場に及んでも
自分の意思を言い放ち
貫く姿を初めてみた瞬間でした。
他にも無理なことを
援助してきましたが
私たち、ヘルパーは要望があれば
できる限り、本人様の意思を尊重して
希望が叶えられ、在宅でできる限り長く
過ごせるようにご本人や家族、主治医、ケアマネージャー、訪問看護師、訪問介護のサービス責任担当者と共に
サポートして行きますので
何なりとお申し付けください!
先日、彼は亡くなられましたが
きっとあちらでも
ダブルのフランスベッドを使い
歯に衣着せないあの時のままで
私たちを空から見てくれていることでしょう。
自分の意思を貫く姿勢
見習いたいです。
ご冥福をお祈りいたします🙏
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
よっしー