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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #26:市場を理解する

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は26回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

さて、今回からしばらく、マーケティングに関するトピックでキングダムと照らし合わせて深堀していきます。

マーケティングというと、日本の会社では広告や宣伝だけを扱う部署で、営業には嫌われ、経理には金食い虫と言われ、あまり歓迎されていない印象がありますが、私が以前いた某外資系企業では、マーケティングを制する者はビジネスを制すると、ある意味崇拝されすぎており、逆に嫌われるなんて事もありました。好き嫌いはどちらでも良いとして、大きな違いはマーケティングという仕事の考え方の違いです。

マーケティングにはもちろん広告やプロモーションも含みますが、それはマーケティング業務内の極一部、しかも、最後の伝える部分になります。大きな定義として、マーケティングとは、言葉の通り、「市場」に係る全ての事を指します。ですので、マーケティングを制する、つまり市場で戦っている以上、その市場を制する者は、ビジネスを制するというのは間違いではありません。

マーケテイングにおいて、私が最も大事だと思っている事は、市場を理解するという事です。それは、市場が求めている物は何かという事から始まり、どのような競合がいて、各社はどのパイをターゲットにどのような戦略で市場を取ろうとしているかという事です。つまり、ここの方向性さえ間違えなければ市場で大きく負ける事はありませんので、最も重要だと考える訳です。

では、キングダム内において、市場理解や操作に最も力を入れ戦っているのは誰かと言うと、趙国の李牧になります。李牧と言えば、趙国の三大天で、秦の最大のライバルとして立ち向かい、頭の良さ、武勇、どれをとっても趙国史上最強の将軍で、60巻現在キングダム内では最強の敵となっています。
李牧が市場をしっかりと理解してさらにそれを操作し、秦国に多大なダメージを与えた例は大きく2つあります。

1) 馬陽の戦い
キングダム読者ならば、誰もが涙した王騎将軍が亡くなった馬陽の戦いでは、王騎将軍を最終的に討ったのは龐煖ですが、その土台を作ったのは紛れもなく李牧です。第一線から退いていた王騎を龐煖を使いおびき出し、さらには、自分とその軍の存在を悟られないように周到な準備をし、確実に討ち取れるタイミングで、秦国の英雄かつ武の象徴であった王騎将軍を討ちます。これは完全に市場を自分の手に取るようにコントロールし、敵国に大打撃を与えた好例になります。

李牧 3

2) 合従軍の攻め
これは、結果的には、様々な要因で失敗に終わりますが、秦国に悟られずに99%勝てる仕掛けをした李牧は恐ろしい戦略家と言わざるを得ません。李牧は魏国の山陽が秦に奪われた時点で、中華全体の均衡が崩れ、市場が崩壊する事を理解しておりました。それを防ぐ為に、各国に呼びかけ、秦国自体を滅ぼそうという計画に移ります。これはまず大きな目線で市場を見ていないとその考えに至りません。さらに、各市場での均衡という意味では、マーケテイング用語で言うと、セグメント及びポジショニングのようなものも理解している必要があります。これらすべてを踏まえて、各国の要人に合従軍及び、秦国を滅ぼす重要性を理解させ、全て納得させた上でチーム編成を行い行動に移します。会社で言うならば、本社の戦略をしっかりと各営業部長に理解させた上で、共通の目的に向かい足並みをそろえて進めていく事になります。これがいかにめんどくさくて難しい事かは、会社勤めのサラリーマンなら良くわかるかと思います。

李牧 2

このように、李牧は細かい戦略や思い付きではなく、市場と言う物をしっかりと理解した上で戦略を立てる敏腕マーケターになります。

最後に、なぜ、李牧程の敏腕マーケターが居ながら趙国は最終的に滅びてしまう(キングダム内ではまだ滅びていませんが)のかというと、これはもちろん、愚かな国王(CEO)がいるからです。CEOの重要性については、#15:CEOの資質と言うテーマでまとめていますので、今一度こちらをお読みください。最終的には、優れた人を使うも殺すも社長の一存で決められてしまいます。どんな企業にもあり得る事ですので、経営者は本当にこの事をしっかり理解しておく必要があります。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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