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【#毎週ショートショートnote】山岳フリマ


ときは1905年(明治38年)。

参謀本部陸地測量部の測量官・剣崎好太郎に未踏峰とされてきた「飯食山」への登頂と測量の命令が下ったのであった。



「よし、もう少しで山頂だ!」


最後の力を振りしぼり、ついに剣崎たちは登頂に成功した。


「痛みに耐えてよく頑張った、感動した」


剣崎はチームメンバーにねぎらいの言葉を投げかける。

登頂に感極まり涙する者もいる中、剣崎はふとあるモノに気がついた。

そこには1mほどの小さなお堂があり、近くにあった立て札にはこう書いてあった。


「神々から山岳フリマでこの山を安く買えて良かったよ。おかげさまで腹いっぱい食えたわい。感謝カンゲキ雨嵐」


まわりが凍りついていたので気づかなかったが、改めてお堂を見るとなにやら人骨のようなモノで組まれているようだった。


剣崎たちは逃げるように下山した。


その後、剣崎たちの功績は参謀本部で握りつぶされた。

その日は日本海で日本海軍がロシア海軍を破り日本中が歓喜に沸いた日だった。


(410文字)

今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、【山岳フリマ】でした。


ホラー系が苦手なのですが、書いていていつの間にかホラー系になってしまうことが最近続いています・・・。
何ら構想を練らずにとにかく書き始めるタイプなので、自分でも意外な結末に驚いています(笑)

今回の元ネタは、故・新田次郎氏の『劔岳  点の記です。この作品は実話を元にしています。

原作は読んでおらず映画で観たのですが、俳優さんの演技も然ることながら、映像の臨場感に圧倒された作品でした。

作品名からして硬派なイメージですが、山登りに興味がない自分でもかなり面白かったので、是非年末年始休みに観てください。

次のお題にも挑戦します!
引き続きよろしくお願いします!




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