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【らんまん】誰にも渡せない…【第14週・ホウライシダ】
「らんまん」第68回感想です。
「わたしのものになりなさい」という、田邊教授の衝撃的な言葉で終わった、昨日の放送。
今日は、その意味が明かされました。万太郎を、専属の「プラントハンター」として雇おうと提案したのです。
新種を発表するのは教授自身。でも、マキシモヴィッチも日本人の助手がいたからこそ、日本の植物を多く採集できた(これは事実で、須川長之助という助手がいたそうです。牧野富太郎が長之助の名前をとって名付けた、チョウノスケソウという植物がありますよね)。自分も万太郎の発見した植物には「マキノイ」と名前を入れよう。生活も保障する…
新婚の万太郎にとって、決して悪い話ではないかもしれません。
竹雄は佐川に帰ってしまったし、大学の教員でも職員でもない万太郎には、定収がないはず。好きな植物の仕事で食べていけるだけでも万々歳、と、普通の人なら思ってしまうでしょう。
しかし万太郎は言います(今日はちゃんとセリフをメモりました)。
「困りますき。教授のために探しゆうがは、違いますき」
(標本を見ながら)「この子はわしが見つけました。わしはこの子が大好きですき。ほんじゃき、誰にも渡せません」
それは妻の寿恵子を誰にも渡せないのと同じようなものだと語ります。
「植物だろう? 人間とは違う」と言う田邊教授に、突き詰めたら同じだ、出会って、ときめいて…と、万太郎は想いを吐露します。
つまり、教授のプラントハンターにはなれない、というのが答えでした。
すると田邊教授の態度が一変。
「後悔するぞ…」
「小学校も出とらん虫けらが、何を言っても無駄だ!」
「お前はわたしにすがるしかない」
と言い放ちます。なんと万太郎を「虫けら」呼ばわり。これは悪ですね… 今なら間違いなくパワハラになるでしょう。
田邊教授のプラントハンターになったら、都合よく使われるだけの未来が待っていたでしょうね。
ただ、「植物は人間と違う」という田邊教授の言葉には同意です。本当に植物が好きなだけなら、「誰にも渡せない」というのは何となく違うような気もします。
しかし、やっぱりそこは研究者魂というか、植物に一生を捧げて「何者かになる」という、万太郎のプライドだったのだと思います。
自分は岩に穴を開けて進むしかない… 目の前に立ちはだかるものの大きさに意気消沈している万太郎に、寿恵子は「ツルハシが要りますね!」と笑います。寿恵子の明るさに、万太郎は笑顔を取り戻したようです。
真っすぐな道ではないけれど、前にしか進めない、そんな万太郎を応援したくなる寿恵子の気持ちが、少しわかる気がしました。