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【らんまん】咲かないはずの花【第17週・ムジナモ】

「らんまん」第84話感想です。

万太郎は、池のほとりのヤナギの木の実を取ろうとして池に落ち、水草を見つけました。

植物学教室に持っていくと、みんな珍しい植物に驚き、興味深そうに水草を観察し始めました。特徴的な形状、そして根がない、養分はどこで…? など、謎は深まるばかり…。

そこへ田邊教授が現れます。皆が授業を忘れて植物に夢中になっていることにお怒り気味でしたが、万太郎が持ってきた水草を見ると、「心当たりがある…」と、ダーウィンの書物を調べ始め、インドで発見された、一属一種の食虫植物であるとわかります。

このエピソードは牧野富太郎の自叙伝にも出てきており、

・ヤナギの実の標本を採ろうと、一人で小岩村伊予田へおもむいた。
・江戸川の土堤内の田の中に用水池があって、その周囲にヤナギが生い茂っていた。
・実を手折ろうとしたとき、ふと水面を見ると見慣れぬ水草が浮かんでいるので、大学へ持ち帰った。
・皆驚いたが、矢田部教授が書物の中に思い当たるものがあるといい、学名を探してくれて、「アルドロヴァンダ・ベンクローサ」だとわかった。

『牧野富太郎自叙伝』の内容を要約

といった趣旨のことが書かれていました。ドラマとは違い一人で見つけた点など、少し違いはありますが、かなり史実に近いですね。

少し話が戻りますが、ヤナギの実、というのも気になりました。シダレヤナギの雌株は、国内ではめったに見られない、と言われているようですが、この時代は東京にもあったのでしょうか。それとも、違う種類のヤナギでしょうか。

田邊教授は、万太郎に「論文を書け」と勧めます。「私が書いてもよろしいのでしょうか…?」と戸惑う万太郎に、「世界中の植物学者が、必ず注目するはずだ。ミスターマキノ、やれるな?」と強く促しました。

田邊教授は万太郎に「新種の発表はできない」とは言いましたが、ムジナモは新種ではないようでした。万太郎は、なぜ田邊教授に遠慮していたのでしょうか。
日本国内で初めて発見されたということや、植物画とともに発表するということに大きな意義があるからでしょうか。
田邊教授が、「植物学者」とは認めていないはずの自分に、「論文を書け」と声をかけた真意をはかりかねたいうことなのでしょう…。

とにかく万太郎にとっては、世界から「植物学者」として認められるための、すごいチャンスが訪れたようです。

さらに、ムジナモが開花しているのを目にし、万太郎たちは大騒ぎ。ムジナモはめったに開花しない植物ということなので、花の詳細な植物画を発表すれば、素晴らしい実績になるのでしょう。

その様子を見た徳永助教授は「槙野が咲かないはずの花を咲かせた」(←セリフはうろ覚え)と嬉しそうでした。万太郎自身の半生を表しているようにも聞こえます。

万太郎に冷たく当たっていた田邊教授が一転、万太郎を応援するような、寛大な面を見せたことで、ますます敵か味方かわからなくなりましたね…。
田邊教授も、万太郎の才能は認めているけれど、自分のものにならないことが悔しくてたまらない。しかし学問の発展という目的は一致している…。ということなのでしょうか。

ラストシーンは田邊教授の複雑な心境がうかがえる表情のアップで、このままでは終わらなそうな予感です…。

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