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鑑賞レビュー:越後妻有 大地の芸術祭2024 冬 + 田中泯 雪の良寛
2月22日・23日の二日に渡り雪降る新潟に行ってまいりました。
暖冬の影響か、前日までは雨が降っていたのですが、22日より寒さが戻り、粉雪降り積もる「雪国」の景色を満喫してまいりました。
今回は「アートプロジェクト」を検索していたところTOPに「越後妻有 大地の芸術祭 冬」がヒットし「冬もやってるんだ?」と思ってサイトを見に行ったところ2024年度7月から始まる大地の芸術祭(本番)のためのオープニングとして田中泯氏が雪の中でパフォーマンスをされるという事で、「雪見」を兼ねての一人旅を計画した次第。
雪の中でおどるって?さむくない?
今回は長い旅行記になってしまいましたので、目次を付けました。
一日目:新幹線で新横浜~越後湯沢まで行き、ほくほく線で十日町に
新潟に入ったとたん雪が降り始めて景色が白くなり、新幹線の越後湯沢駅からほくほく線に乗り換えると降り積もる雪の中に佇む木々のシルエットによるモノトーンの冬景色はまるで水墨画のように美しく、その中に没入しているという体験に心震えました。
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この度の旅行は、土地勘もないうえ23日に行われる田中泯氏のパフォーマンスを見るのが主目的だったので、行きたい場所は「越後妻有現代里山美術館(MoneT)」と「農舞台」の2か所に限定し、ゆっくり楽しむつもりでふらっと歩き回りました。
●越後妻有現代美術館キナーレ(ほくほく線 十日町駅下車)
「大地の芸術祭2024 冬]」の関連展示をやっている越後妻有現代美術館キナーレは十日町の駅から10分ほど歩くとみつかりました。
今回、チケットを買う時によくわからなかったので「雪の良寛(田中泯パフォーマンス)+大地の芸術祭パスポート」のオンラインチケットを4500円で購入したのですが、セットに含まれる内容は夏の芸術祭のパスポートだったらしく、「大地の芸術祭 冬」の鑑賞料金2000円は現地で支払いました。(なぜ、セット券にしないのだろう…)
越後妻有里山現代美術館キナーレは、現代建築家 原広司氏設計の建築物。
全体がロにの形になっている構造なのですが、入り口はロのうちがわにあって、外側から見えないので探しました。
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中に入ると、一階のチケットブース正面に、サイトで告知していた田中藍衣氏の「リバースストリング」というシリーズの作品群がゾーニングされ展示されていました。
岩絵の具(鉱物を砕いて作る絵具:膠などの糊剤を混合します)を塗布したミニマルな画面が並んでいましたが、説明されているコンセプトと作品自体の関連がよくわからず「…」という気持ちで眺めました。コンセプチュアルな現代アートは、よほど(驚くような)特徴がない限り、抽象的でポエティックなコンセプトだけでは心に響いてこないのかもしれません。
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「リバースストリング」より
(白い画面は、塗っているというよりもキラキラした粉が固められている)
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「リバースストリング」より
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「リバースストリング」より
メインギャラリーには、常設展示として有名な現代アーティストのみなさんのインスタレーションが展示されていました。
常設作品作家:淺井裕介/レアンドロ・エルリッヒ/イリヤ&エミリア・カバコフ/カルロス・ガライコア/クワクボリョウタ/栗田宏一/ニコラ・ダロ/マルニクス・デネイス/中谷ミチコ/名和晃平/カールステン・ニコライ/マッシモ・バルトリーニfeat.ロレンツォ・ビニ/目[me]/森山大道/ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガー
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Force
(線に見えるけど、上からシリコンオイルが垂れづづけてる)
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Resounding Tsumari
(風景を動かせるインスタレーション)
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ソイル・ライブラリー/新潟
クワクボリョウタ氏の、ジオラマのような仕掛けの中のレールを光る列車のような機械が動いてつくっていく、土地の記憶にフューチャリングした「影」の動画ような作品、とても素敵でした。十日町の歴史について興味を持つこともできました。
平日だったせいか美術館の中には数人の来館者しかいなかったのでのんびり見て回りました。
●十日町温泉 明石の湯
十日町駅に停車する電車が少ないので、時間に余裕ができてしまい、おとなりの道の駅でお土産品を買い、キナーレ1階にある十日町温泉 明石の湯(美術館の建物1階はお風呂屋さん)にはいりました。
利用料金600円(タオル賃料200円)でサウナもあり、湯質もよく、清潔で快適な設備の大変いい温泉でした。ここにお風呂屋さんがあるという事は越後妻有関連の情報のどこにも書いていないので、それはなぜなのかと地元の人にきくと「ビミョーな政治的立場」にあるお風呂屋さんだということが分かり、次回行ったときもあったらいいのになー、しみじみしました。
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●SOUQ越後湯沢(越後湯沢駅 徒歩5分)
越後湯沢は一人で泊まれる部屋が見つからず、今回はドミトリールームという知らない人と部屋をシェアして2段ベッドの一つだけを貸してもらうということができるSOUQ越後湯沢という施設を予約しました。
なにかの建物 をリノベーションしたような三階建ての施設ですが、お掃除は行き届いていて快適でした。
私が予約したドミトリールームは男女別になっていないので同じ部屋にはどんなひとが泊まるのだろうと思ってドキドキしました。
同室の人は男性ばかりで、しかも日本語が話せる人がひとりもいませんでした。
中国系の人が大半でしたが、みな、態度も身なりもよくて、高そうな電子機器を持った人ばかりだったので、お金の使い方を心得ている人たちなのかな、と思いました。
お金がないのでAGODAを利用してけっこういろいろなところに泊まりますが、今回はかなりサプライズでした。
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二日目:まつだい農舞台(ほくほく線 まつだい下車 徒歩5分)
名前を聞いただけでは何の施設かわかりませんでしたが、ギャラリーとレストランの入った施設とその周辺を指していました。
館内にはウクライナの作家イリア&エミリア・カバコフ氏の作品群と川口龍夫氏の作品が展示されていました。どちらもノスタルジックで親しみやすい表現だったので、ゆったりとした気持ちで鑑賞しました。
韓国から団体のお客さんたちが来ていたので、「はせよー」とあいさつしました(笑)
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「自分をより良くする方法」より
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「自分をより良くする方法」より
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「プロジェクト宮殿」より
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「プロジェクト宮殿」より
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「プロジェクト宮殿」より
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教室
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「引き出しアート」より
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「関係ー黒板の教室」
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「引き出しアート」より
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「引き出しアート」より
●越後まつだい里山食堂 さとやまブッフェ(農舞台内)
また、農舞台では今回一番楽しみにしていた、レストラン里山食堂のランチ・バフェ(土日祝のみ)をいただくことができました。私は腸の病気を患っているので揚げ物やお肉を食べることができないのですが、里山食堂はほぼお野菜のみのお料理なので、絶対に食べたいと思っていました。
米どころ新潟ならではのおいしいごはんと、新鮮な野菜を使ったフォンデュやサラダに舌鼓を打ちました ポン!
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たべほうだいっすよ💛
平日はランチプレートあり
●田中泯 雪の良寛(ナカゴグリーンパーク)
ここからは、写真撮影が許されていないのでレポートのみになります。
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雪の良寛はナカゴグリーンパークという、冬は雪に埋もれて何もない場所に特設会場がつくられ、そこまで1000人あまりが貸し切りバスで移動して鑑賞するという、北川フラム氏のこだわりを感じるイベントでした。
粉雪のはらはら降る純白の山を舞台として、田中泯氏は「良寛」の衣装をまとい、山のかなたからゆっくりと登場され、静謐な舞踏をくりひろげられました。
最後は鬼太鼓座の叩く太鼓の音に合わせて鑑賞者全員が「盆踊り」に参加し、祝祭感に酔いました。
現場では国内の芸術祭を追って一人旅をしているという「乗り鉄」の女性と意気投合し、アートについてのお話を聞きました。
未知との人との対話は一人旅ならではのたのしみです。
終了後はその足で横浜に帰宅。「現実」に帰ってまいりました。
新潟の歴史、十日町の歴史、農業のこと、など、知らないことが沢山あったなあと思い返します。7月にふたたび参ります。