IGCSE"Economics"(経済)でどのような課題が出させるのか[406]
先日、IGCSEのカリキュラムで学ぶ生徒のレッスンの中で「経済」の課題をサポートしました。私は元は社会科の教員なので、生徒の日本語で概念を理解する手助けをしながら私自身も社会科の学びをアップグレードさせてもらっています。そこで、私が感じた社会科の日本との学び方の違いについて記録しておきたいと思います。まずは、課題で求められていたことについて日本語でまとめます。
課題までに学習してきたこと
授業では「市場の失敗」について、自動車を利用する人が増えることで便利さや関連産業への利益が発生する一方、化石燃料の消費・大気汚染・渋滞・騒音など環境への負担について政府が支払う社会的費用が増すことを学んでいます。また、タバコの消費が過剰になることで空気を汚染したり受動喫煙を促進するだけでなく、がんなどの健康問題を引き起こすことがあると学んできました。タバコに対しては、スコットランドやアイルランド、UAEが厳しい措置を取っている事例が紹介されていました。
さらに別の単元では、「混合経済システム」の中で政府の介入における役割についても確認しています。市場の失敗による「外部不経済」を防止するために政府が規制をかけることについて学んできています。それらを踏まえた上で、次の課題が出されました。
経済の課題(市場の失敗と政府の介入)
課題の内容は非常にシンプルで、これまでに学んできた知識や考えをつなげて自分の考えをまとめていくことが求められます。また、正解があるものを書くというよりは情報を整理した上で最終的な決断とその理由を説明するようになっています。
私の授業ではこれまで学校で学んできたことを一緒に復習しながら、どのようなことを書いたらよいのかを考えました。生徒にこれまで学んできたことを調べて言語化してもらい、それらがどう繋がるのかも考えてもらった上で、こちらからそれらに対するアドバイスなども行いました。
生徒たちにどのような学びを求めるか
ただ課題をこなすだけではなく、自分が学んできたことを組み合わせて考えること、いろんな情報を集めて最終的な決断をするにはとてもよい練習になっていると思います。このように、知識の定着を図るだけではなく、学習内容を統合したり考えをまとめるという過程は、他の教科に良い影響をもたらすとともに思考力そのものを鍛えることがあるので、こういった取り組みが日本でも一般的になってほしいと思います。
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