よしのき

95年生まれ。京都に住んでいます。

よしのき

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マガジン

  • 八朔書房

    • 61本

    自分の趣味、専門分野、ついさっき考えたことなど、 八朔会の皆さんが寄稿してくださった記事を雑誌のようにまとめています。

  • 短歌落書

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  • 旅行記

    19〜20歳の頃の旅の記録です。

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三輪車とマラッカの夕日 - 2

オレンジ色の町。 マラッカの第一印象を尋ねられたら僕は真っ先にこう答える。 ゲストハウスから町の中心部オランダ広場へは徒歩で5分ほど。道中から鮮やかな色の建物がチラホラ見えていたけれど、何よりもオランダ広場から見渡す景色は圧巻だった。 時計台、教会、寺院や倉庫に至るまで視界に映る建物すべてが鮮やかなオレンジに塗られていて目がチカチカする。正確には「赤茶色」と言うべきなのかもしれないけれど、その一瞬でマラッカは「オレンジ色の町」として僕の脳内に記録された。辺りを見渡すとそこ

    • 自由律俳句11

      送りがなが足りていないがまあ良い 並んだ狸小中小小中大 どの耳鼻科にも象がいる 区民の木を決めた会議 アルファベットの違うビタミンを摂る 大体は手ごねハンバーグだろう

      • 生物の崖たる切断面をみる爪切り一つ冬は澄みけり

        • わからなくなれば夜霧に垂れさがる 黒きのれんを分けて出でゆく / 山崎方代

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        三輪車とマラッカの夕日 - 2

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        記事

          自由律俳句10

          何かが焦げてる秋の匂いだ 祠の花が取り変えられていた この住所欄では狭い 白い服で嘘をつかれている イメージで伝わらないことはどうしよう

          自由律俳句10

          東京小旅行雑記

          新宿から鶯谷 新宿駅南口。 コインロッカーにスーツケースを預けて身軽になりJR山手線外回りの列車へ。人混みを避けたかったので、上野の一つ手前で降りた。「鶯谷」という場所だった。山手線の緑色によく似合う趣のある地名だな、と思う。 車内アナウンスで妙に響きの良い言葉を耳にした。忘れないうちにメモアプリに「日暮里・舎人ライナー」と書き込む。ついでに小さく口にも出してみた。 「にっぽりとねりらいなー」 口が喜んだ。いつか乗ってみたい。 駅を出ると目の前には大きな霊園があっ

          東京小旅行雑記

          自由律俳句9

          ホームレスが線香花火見ていた終戦記念日 優しさが魚の醤油差しのかたちしている 在庫補充中の棚に目当ての品 他人の空似が立ち読みしている 欲しい中華まんだけ無い

          自由律俳句9

          自由律俳句8

          サンドイッチではなくパニーニだと あえて定石を打ったという体 ネジ持ってホームセンターで探すネジ 難しい字がひらがなになっている標識だ 思ったより良い箱で届いた --- ちょうど良い喫茶店を求めて歩き回る休日。 店員さんや他のお客さんの視線や存在を感じない座席が良い。 窓に面したカウンター席で、外の様子が眺められるとなお良い。 あまり開放感があってきれいに整えられていると落ち着かないので、適度に雑然としていて欲しい。 純喫茶の雰囲気は好きだけれど、できれば禁煙の

          自由律俳句8

          自由律俳句7

          ドアノッカーは使わない人生だ 駅徒歩十分墓至近 鴉が散らかして人が片付ける もらった水無月を一人で食べている 犬犬犬水道局犬

          自由律俳句7

          自転車漕いでたら右頬に油蝉が突進してきた。 盆の朝

          自転車漕いでたら右頬に油蝉が突進してきた。 盆の朝

          自由律俳句6

          飛行機雲を見る子供につられて プールサイドにモップは萎びて居る 水たまりの深いところに傘を刺す 発光してゆく立ち漕ぎの少年 高級住宅の壁にヤモリが張りついて生きていた

          自由律俳句6

          自由律俳句5

          リズム良く生垣刈り揃える音ひびく 薬味中心の食生活である夏 それは祇園ではない ミネラルが豊富な湯に浸かっている 指で数えて間違えている 同一ラベルですと教えてくれた 先日、人に誘われて大文字山に登ってきた。 朝七時、白川今出川に自転車で集合して銀閣寺脇の登山口へ。同行者は僕を含めて五人。誘ってくれたDさんはこの辺りの山に詳しいらしく、僕達は正規の登山道から少し外れた道を歩いた。七月の山は濃緑で、生命力に溢れていて美しかった。空気を目一杯吸い込むと、日頃の生活で

          自由律俳句5

          自由律俳句4

          映画観たあとだけの優しさ 「歩行者優先」の親子が雨に打たれている 蟋蟀と鈴虫の待遇が異なる グラスを割るまではすごく楽しい顔してた 良い方のドライヤーが空くのを待つ

          自由律俳句4

          自由律俳句(と散文)3

          夕涼みに木魚が響いた 兵児帯の金魚が夜店を泳ぎゆく 月極ガレージの中で咲く花よ 川の中に親子があって川 蛙啼けば風一つ涼し 派手なポテトを持って笑っている少女 --- ぐるぐると螺旋状に巻かれた異形のポテトや、原宿みたいな原色の綿飴を持った少年少女達が笑っている。 パァンッ。乾いた射的の音が森に響く。 両親に連れられた小さな女の子の、浴衣の赤い兵児帯が金魚のように揺れている。金魚は夜店の中を自由自在に泳ぎ回る。金魚の尻尾が人混みの中に消える。 「次何食べるっ?

          自由律俳句(と散文)3

          自由律俳句(と散文)2

          さるかに合戦のうすみたいな存在 ここにもさざれ石の由来の岩 サーキュレーターにきな粉がやられた 有為にも無為にもなれず夕暮れ土手を歩く なるべく水面と並行に投げるのがコツ 記憶はないが擦り剥いている --- 先輩とお酒を飲んだ。学生時代から尊敬している人で、自分から誘って飲みに行くのは初めてだったけれど、以前勧めてもらった漫画の感想を伝えたり、好きな映画の話をすることができてとても楽しかった。途中から先輩の彼女も合流し、三人でカラオケに行くことになった。僕はこう

          自由律俳句(と散文)2

          自由律俳句

          キーボードの上を通るリズム風 繁華街を燕が過ぎていった 増水して用水路も轟く 腐葉土になりかけているところだ まずは肯定から入った 皿が割れたもう全部だめだ ハンガーを振りかぶって笑う人 墓石に朝露がおりる 命爆ぜる誘蛾燈よ ボタン押して目の前の店員が来た 雪渓の由来に無理がある 漬物と珈琲が並んでいた古里 着眼点でもう負けている 姿見がどこにもない Tシャツだった布で磨く 誰も満月を見ていない交差点 --- 暑さとか仕事とか選挙のあれやこれ

          自由律俳句