東京小旅行雑記
新宿から鶯谷
新宿駅南口。
コインロッカーにスーツケースを預けて身軽になりJR山手線外回りの列車へ。人混みを避けたかったので、上野の一つ手前で降りた。「鶯谷」という場所だった。山手線の緑色によく似合う趣のある地名だな、と思う。
車内アナウンスで妙に響きの良い言葉を耳にした。忘れないうちにメモアプリに「日暮里・舎人ライナー」と書き込む。ついでに小さく口にも出してみた。
「にっぽりとねりらいなー」
口が喜んだ。いつか乗ってみたい。
駅を出ると目の前には大きな霊園があった。上野公園の方向を確認して歩き始める。新宿とは打って変わって目に飛び込んでくる情報が少ない。早朝からビル街を歩いてくたびれた脳味噌に、やっと澄んだ酸素が行き渡る。霊園や寺の並ぶ鶯谷の空気はとても落ち着いた。
夏でも秋でもないような気候が肌に心地良くて、上野公園からは静かな緑の匂いが香ってきた。
上野の国立科学博物館
先カンブリア時代。エディアカラ動物群。古生物がウゴウゴと海の中を這っていただけの地球。
そんな遠い世界に思いを馳せると、日々感じる悩みがちっぽけなものに感じられる。分化して発達する前のまるごとの渾沌、という感じが好きだ。
国立科学博物館には動物、植物、水棲生物、微生物、昆虫、恐竜、人類、古生物、ありとあらゆる生き物の化石や剥製や標本が展示されていて飽きなかった。
色んな三葉虫の化石を見たけれど、違いはあまり分からなかった。でも眺めていて飽きない。
アーケロンという白亜紀の巨大な亀の化石が天井から吊るされていてとても格好良かった。
笑えるほど大きいもの、想像できないほど古いもの、果てしなく遠いもの、そんなものを見たり知ったりするのは楽しい。手の届かない圧倒的なものや理屈を超えた不可思議なものに触れると理由もなく元気になることがある。
時間が無くて全然回りきれなかったので、絶対にまた訪れたい。お土産に「食物連鎖ボールペン(森)」を買った。可愛くて気に入っている。
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