帰還 ゲド戦記4【読書のきろく】
ゲド戦記、4作品目です。今までとは印象が違う物語でした。
第2話と第3話の「その後」が舞台になっていて、ゲドと一緒に旅をしてきた人物たちと、辛い体験を持つ少女が新たに登場します。
大きな悪に立ち向かってどんどん進んでいくような、いわゆる冒険モノではありません。時間的な「その後」は、登場人物たちに変化をもたらしていました。魔法使いの力を使い果たして一人の人間として生きる姿には、弱さや邪(よこしま)な心、葛藤があって、人間っぽさを感じます。そのおかげで、余計にのめり込める部分があったと思います。だから、終盤で、ようやく今回の旅も終わってよかったと感じた時に待っていた展開は、ショッキングでハラハラものでした。
この作品も含めて、ゲド戦記では「真の名前」が重要な意味を持っています。真の名前を知ることは自分を知ることであり、周りの人との関係性や役割の中で生まれる呼び名もあります。その扱われ方を一緒に体験することで、自分は何者なんだろうという考えが頭をよぎったりします。
力は、何かを乗り越えた先に手に入れるものなのか、本来持っていることに気づくものなのか。そんなことも考えました。
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読書のきろく 2020年54冊目
「帰還- ゲド戦記4」
#ル・グウィン
#清水真砂子
#岩波少年文庫
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