【短歌】ななつだけ叩いてひっくり返す夜 傾眠持ちのあなたの枕
柔らかいあたたかい肉わるいこをきちんと𠮟ってあたたかい肉
夕暮れになったらストーブつけてよしたまに風呂場で泣いててもよし
先生はああ叱るかもしれないが俺はあなたの日本語 好きです
ああ無情、日曜ひとつ殺したよ 次はどの桃もぎに行こうか
すれ違い殺してないか確認し去り際にまた殺した気がする
人間ががんばって四季をずらしたので赤とんぼはいま冬の季語です
殖えるにはヒトが一匹足りなくて切る、生物学的な幸福
もう今日は冷水浴びず済むようにブレザーにかけた朝の牛乳
籠の鳥 誰かが発明した語句に気持ちをどうにか詰め込み供養
もう二度とここへ帰ってこないよう懲役六秒しりきれとんぼ
にんげんってほんとうにいいものなのかしらまだ決めかねる母さんの毛皮
ななつだけ叩いてひっくり返す夜 傾眠持ちのあなたの枕
夕方に起き出してきたやさしさで いま迎えたい地球滅亡