もうどこにもいないひと
ねむれなくて廊下に座っていた。この家しか帰る場所がなかった頃も眠れないときはたまに廊下の隅で体育座りをしていた。恐らく誰か、家族ではなく、もっととおくから来た誰かが見つけてくれるんじゃないかという期待と、まったく相反する諦めを持て余しながら。結局冷えた体で布団に戻った。意義も進展もなくただ心を苛むばかりの頭中の濁流を必死にスマホに分流させてますます眠れなくなることのほうがよほど多かったけど。その点ではいまも昔も私は変わっていなくて、このまま成長もみられず生きるのかと思うと心底