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現世の縁にしがみついています https://lit.link/yoshimaru2327

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【短歌】きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている

首元にかるい木綿の肌触りどうせ脱ぐ服どうせ死ぬ人 きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている 白雪を穢して惜しむこともない僕は地獄に堕ちるんだろう 降る雨も恥じらうような安寧があなたの眠りでありますように 木枯らしに揺れる信号機がならぶどうやら日々はしばらく続く ゆうやみの見知らぬ風にさらわれることが幸福なのだと知った 未だ見ぬ傷の痛みを生まぬため小指の糸を噛み切っている でも いずれ きみとわたしは別れるし平気な顔でケーキも食べる 制服で、だけれどわ

    • 【お知らせ】短歌集「揺籃期」通販開始

      歌集「揺籃期」を頒布します 私の作歌は、数年前までは細々としたごく個人的な営みでしたが、いつしか周囲の方から気に留めて頂くようになりました。現在は短歌を通じて様々な活動の機会や繋がりに恵まれています。 そういった状況に背中を押して頂き、このたび私家版短歌集「揺籃期」を公表することにしました。積年の歩みにこうして形を与えられたことを嬉しく思います。 本歌集には今までインターネット上で公表した短歌、未発表の歌を含めた81首を収めています。編集にあたっては全ての短歌を章ごと

      • 【短歌】うら寒きまちかどにプールのにおい かつてぼくらは守られていた

        うら寒きまちかどにプールのにおい かつてぼくらは守られていた 行きしなに傘を忘れる とつとつと風は夢境の草原をゆく どこへも辿り着けずじまいの孤独 冬の抱擁の処方箋 寝つけずに覗いたひみつ 4時の光は太陽のいろをしている 天を衝く雲の彩度に驚いてああなんだ、ただの現実か 直視すらままならぬまま親愛は茶碗の底でみるみる腐る 死にたいに早く死ねるといいねって返すあなたに愛をされたい 私がいなくなったあとのきみ いずれ遺品になる文庫本は希望

        • 創作漫画「すてきな夏のつくりかた」の通販を開始しました 初めての試みなのでドキドキです よければ覗いてみてください~ https://seigetubunko.booth.pm/items/6013078

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        記事

          もうどこにもいないひと

          ねむれなくて廊下に座っていた。この家しか帰る場所がなかった頃も眠れないときはたまに廊下の隅で体育座りをしていた。恐らく誰か、家族ではなく、もっととおくから来た誰かが見つけてくれるんじゃないかという期待と、まったく相反する諦めを持て余しながら。結局冷えた体で布団に戻った。意義も進展もなくただ心を苛むばかりの頭中の濁流を必死にスマホに分流させてますます眠れなくなることのほうがよほど多かったけど。その点ではいまも昔も私は変わっていなくて、このまま成長もみられず生きるのかと思うと心底

          もうどこにもいないひと

          【短歌】人生の意味とかを問う資源ごみ置き場でひかるペットボトルに

          人生の意味とかを問う資源ごみ置き場でひかるペットボトルに あの人を悪者にして強くなるきっと裁きはわたしに下る 空白が身を焦がすたび花は降るうつむきがちなあなたの頬に 神とかの慈悲は律儀にスルーする救うに値しないおまえを なにもかも蹴り飛ばしてよかんらんのひとみ、あなたの罪状は希望 這ってでも進みたいのにうずくまる僕を笑い飛ばしてみせてよ 車掌の礼でやっと気づくいつからか見送られる側だったわたし 冬の夜に青く燦々と輝く最後の砦みたいなスーパー この愛はとうにダメ

          【短歌】人生の意味とかを問う資源ごみ置き場でひかるペットボトルに

          【短歌】モルタルの校舎に透ける日がきれい だめにならないうちに死にたい

          モルタルの校舎に透ける日がきれい だめにならないうちに死にたい ともだちが一人減るたび親展で封した遺書を一通捨てる 美しく思えるものも垢じみて日々の営為を責めるあさやけ あざやかに鉄パイプ構え頭上から窮地に降り立つみたいな恋を わかるよと言われるたびに対岸のあなたの顔がみられなくなる 久々のデートは楽しかったけどそろそろ夢に出るのはやめて 夜行バスのきみはすました顔をして僕との逢瀬を上塗りに行く 絶え間なくめぐる世界に向いてないそれでも生きたなんでうまれた の

          【短歌】モルタルの校舎に透ける日がきれい だめにならないうちに死にたい

          夜食のパンが思ったより油っぽくて悲しかった

          自分が人との関わりに飢えるような人間だと思っていなかった。失望した。この側面は精神衛生の保持を自己完結させたいというわりと畢竟の願いと矛盾しているので、加えて人間関係を保つ努力ができないという自覚もあるので、なんというかここしばらくずっと戸惑っている。戸惑いを持て余して飢餓感に目を瞑っていたら周囲のすべてが敵のように思える時間もさいきんは増えてきた。自分にだれかと敵対するような価値のないことはもちろん知っている。 周囲の人間関係はすべて裏で繋がっており、自分をいつか徹底的に

          夜食のパンが思ったより油っぽくて悲しかった

          【短歌】葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる

          葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる お変わりはございませんか本日はお日柄もよくとりあえず死ね がら空きのエレベーターが昇ってくたかが生活たかが人生 まどろみのさなかに死ねる破れかけの卵の中で腐っていれば ぼくの手が消えたいきみの手を救うその手できょうは羽虫を潰す 「愛」の語を作った人は誰ですかあなたのせいでずっと苦しい 母親の通勤路沿いに新しいパン屋ができたらしい死にたい けんもぐもつかないことをことさらにつまずけぬままあるきつづける 明

          【短歌】葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる

          【夢】精肉工場へ歩く

           隣の市にある精肉工場へ徒歩で向かう。所要時間は40分ほど。最近は運動が足りていないし、散歩は好きなので問題ないだろうと思う。 目的は何かの調査だった。大学に提出するちょっとしたレポートを書くために必要なのだ。  知らない道をまっすぐに歩く。初夏の空は気持ちよく晴れており、町の雰囲気も、心地よく溌剌とした感じだ。  前を見やると、ごく新しい、前衛的なデザインの、公共施設であろう場所を道が突き抜けていた。道なりに私も施設の中へ入る。白くて天井が高くて、きれいだ。歩道が両脇に

          【夢】精肉工場へ歩く

          展示記録「ホワイトアウト」

          連作「ホワイトアウト」は東北大学学友会美術部有志による「季節の展覧会〈冬〉」(2024)に展示されました。会期の終了に伴い、作品の記録をここに残すことにしました。 展示のようすほろび さいごに顔をよくみせて。 ぎこちなく微笑むあなたは、 それでもこの世の何より愛おしい。 あなたの無垢が、 無垢のままで凍てつくこと それがこんなにも嬉しい。 きっと俺はひどいやつなんだろう。 この期に及んでも、 あなたはわたしになにも告げてくれない。 ぜんぶわたしから見えないように、

          展示記録「ホワイトアウト」

          すべて過去になればいい

          北極星がみえなくなりました。自分の吐き出すものはもっときらきらしていて、毒々しくて、あらゆるものが神経を苛んでもその輝きが増すのならすべてを飲み込めたはずなのに そのよすがすらなくなりました。 欲求の扱い方を学ぶべきだったと思っている。自分の欲求を伝えるとき、叶えてもらうとき、痛みを伴わなかったことがない。楽しい思い出もたくさんあったはずなのに、車を運転する疲れた横顔や、とり返しのつかないことに小言を垂れる口元しか思い出せない。 みんな、心の中では怯えと不平と、苦い疲れに

          すべて過去になればいい

          弟に自分の手を引かせてしまった日のこと

          言葉にしてしまえばあまりにもあっけなくて、自分の苦しみ悩みの矮小さにうんざりする。人から可哀想だと思ってもらえる可能性にまだみっともなくしがみついているから。 夏の帰省のさなか。祭の日。家族での外食からの帰り際、弟が打ち上げ花火を見たいと言い出した。嫌がる母と弟との交渉の末、弟が暫く祭を見たあとに母が車で迎えに来ることになったらしい。人ごみに弟が一人で混じることを勝手に心配したわたしは彼について行くことにした。 人の流れを縫って屋台などを見ているうち、人ごみに少し気が滅入

          弟に自分の手を引かせてしまった日のこと

          【短歌】地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている

          地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている 晩酌のチューハイ缶は燃えるゴミはやく地球を壊したいので 失恋の予行練習かさねてはまだ見ぬ傷をなぐさめている 思い出を残して窓は閉ざされる23時のベルトコンベア あおじろく眠れぬ夜を媒介に布と肌とが溶け合っている 手放した車椅子へと射す西陽あなたのための世界の終わり つらいとか死にたいとかじゃないんですただ救済が足りないんです 聞く価値もなしと思えば手のひらに溜まりゆくのは下の句ばかり 売りつける相手を選

          【短歌】地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている

          どこですかここは

          自分から外へ出て行かれない。 相対的にしか相手と同じ立場に立てない。  にんげんは頭の中に全員違う機構を持っているかもしれない。 だとすれば比較にすら意味はない。 自分よりも外へ出て行けないことは嫌じゃない。なぜならそれは自分という器が堅牢であることの裏返しだから。わたしは自分という単位や個人という単位を重視する傾向があるからそれ自体はべつに苦しい事じゃない。この意味でわたしは至極近代的な人間かもしれない。 結局わたしはいつだって自分についてしか話さないし自分のことしか

          どこですかここは

          自分依存という極論

          眠れない。 友人とCoCで遊んでもらう予定だったが、夕方からの頭痛が治らず直前になってやすませてもらうことにした。すぐに床についたが眠れない。22時54分。頭痛は画面を見られるくらいにはマシになった。が、2時間強の時間を眠れずに布団の上で過ごしてしまった。やるべきことも人との約束も、なにひとつ成せないままに、明日からがんばるために休むことすらできずに頭の中を駆け巡る思考の拷問に負けて今、こうしてブルーライトを浴びている。 身体的な症状が出ると安心する。警告としてひじょうに

          自分依存という極論