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「1人でいること」を選択できることは強みである

「お母ちゃん、A君はB君と仲良くしたくないのに、仲がいいふりをしているんだって」と小5息子が私に言ってきた。
まあ、女子なら「あるある」だなと思って聞き逃すのだが、男子でもそんなことがあるのかとちょっと驚きを隠せず、思わず「えっ」と言ってしまった。
一見仲がよさそうに見えて、実は仲が良くなくて、陰で悪口を言っているなんて光景は日常茶飯事であった。少なくとも私が思春期の頃は日常茶飯事だったので、うかつに他人に心を開いたら陰で何を言われるか分からないので、心を開くときは最大限に用心をしないといけないと思ったものである。

そんなときの私の気持ちがフラッシュバックしたのか、あまり自分の子供に該当するとは思いたくなかったのだが「まさか、アンタはそんなことはするの?」と聞いてみたが、当たり前のように「しないよ」という返答が返ってきた。まあ、そうだろう、仮にしていたとしても親に向かって正々堂々と「してるよ」とは言わないだろうと質問してから愚問だったと思った。

(注:B君は複雑な家庭環境であることは私と息子の共通見識)気を取り直して「B君は寂しいんだろうね。しかし、A君はなんで仲いいふりをしなくちゃならないんだろう、何か心当たりはある?」と息子に聞いたら「本当の気持ちを言ったら、Aがいじめられるからじゃない?」と。

「あんたは、自分の気持ちに嘘ついて友達付き合いをしたいと思うの?」と別の角度から質問をしてみたら「オレ、そんなに器用じゃないよ。すぐにばれるし。だったら1人でいた方がよっぽど楽じゃね?」という答えが返ってきた。

既に「気が合う人がいなかったら1人でいた方がまし」という選択肢が取れることに、私は少し驚いた。

私の当時を振り返ってみると、私は1人でいるのが怖かったタイプだった。自分に嘘をついてまで誰かと一緒にいることを選んでいた時期があるので、A君の気持ちは分かる。

「寂しさを埋める」ことの代償として、自分の気持ちにふたをして生きてきた。
これを覚えると、一時的には寂しさと対峙しなくていいので気持ちが楽になる。ただ、自分の気持ちに嘘をついたり蓋をしたりすることが増えるので、後々になってツケがどどどーんと出てくるのだ。

「身口意の一致」という言葉がある通り、行動と言葉と意識は一致していた方がいいのだ。これがバラバラになっていくと心身のバランスが崩れてしまう。
なので、私はB君の寂しさも分かるが、それ以上にA君の「気持ちと言動のズレ」は見逃せないなと思った。思った…のだが、これは私たち親子が口出しできる問題じゃないのもよくわかっているので何ともできない…。後に表立った問題として浮上する前に、卒業を迎える(=逃げ切る)ことを祈るしかないのである。

10歳にして「気が合わない人しかいないときは、1人でいる」という選択肢を取れるのは、はっきり言って強みと言っていいのではないかと思った。これだけで私はもう、息子へ必要以上の心配はしなくていいと思ったくらいであるw

かといって、仕事に邁進して完全にノータッチっていうのもマズイ。
だいたい、うちに遊びにくる子で「おやつ持って帰っていいですか?」って言う子の親は平日フルタイムで帰りが遅い子である。それをいい悪いと私は言うつもりはないが(お腹すいている子をそのまま帰すのは忍びないので)、自分の子供が誰の家に遊びに行って、どんなものをいただいているのかくらいは(いくらフルタイムで帰りが遅くても)親は把握していてほしいと思う。

自分の子が、学校から帰宅したあと、どこで何をしているのか知らない親は想像以上に多い。特に学年が上がれば上がるほど、親子が対等な関係でコミュニケーションが取れていることが重要になってくるのが分かる。
ぶっちゃけ「おやつ持って帰っていいですか?」はまだまだマシなのである。週5で特定の子の家に上がり込んでやりたい放題の子もいるとか聞くと、親は知らないんだろうなと思ってしまう。

だらだらと書いてしまったが、何が言いたいのかというと、子どもが小さい時から「親子が対等な関係でコミュニケーションを意識して取ること」の重要さをしみじみと感じている。私も親子関係は「意識して」安定させないと安定しないのだが、子どもをよく観察して期待せず思いを押し付けず(ここが難しい)子どもの状況を把握していくことの重要さを痛感しているのである。

ちなみに、息子はB君とは性格が合わなかったので、息子は何年も前にさっさとB君と遊ぶのを辞めたのである。最初は、息子は周囲と仲良くなれないのかなと心配になったが、今になって思うと、「合わない人とは無理して一緒に行動しない」を貫き通しただけなのかと捉え方を変えている。

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