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鮨の音色”おと”第2章 〜鮨の道〜
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します。
前回のnoteでは、生立ち~札幌『鮨一幸 』工藤順也さんとの出会いまでを綴らせていただきました。
今回は第二章として、私の考えるお鮨の細かいお話を少し。。。
立喰鮨にあえて挑戦する意味が垣間見えると思います。
いや、曝け出されますね笑。
第二章 鮨の道
白酢(米酢)と赤酢の違い
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白酢は、お米を主に原料として醸造されたお酢で、お米の風味や旨味を生かしたお酢です
※お米を原料としている為、米酢と表記もします。
それに対して赤酢は日本酒を製造する際にできる酒粕を熟成させて作ったお酢です。
赤酢の特徴としては、白酢には無いコク、まろやかな酸味と旨味があるところです!!
もちろん、製造業社さんによって酸味、旨味、風味は違うと思いますが、ここでは一般的にそのような違いがあると思ってください。
ケータリングでは昔、赤酢を使っていた
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赤酢は白酢と比べると旨味があり、それと魚の旨味、赤酢の酸の風味が合わさると濃厚なお鮨に感じます。
それがとても好きだったので、かつてのわたしは赤酢を好んでいました。
ケータリングの特性上、握りだけで、つまみのイメージもお出ししないといけません。
それならばパンチ力が大切だと考えてました。赤酢は、そのスタイルには非常に適していました。
お店をオープンしてからも赤酢バリバリ。
ただ、どこかでバランスを欠いているようなちぐはぐ感も感じていました。
それをはっきりと気がつかせてくれたのは、
札幌『鮨一幸 』工藤順也さん。
白酢の特徴として、シャープな酸味と華やかな香りがあります。
それが香りのある一級品の魚に抜群に合う。
工藤さんのお鮨はそれをバーン!と突きつけてくれました。
工藤さん、本当にわたしにとっての兄貴のような存在ですね。。。
白酢の衝撃
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工藤さんのお鮨を初めて食べた時、今までにない香りや旨味、酸味、口内における粘度、、、もう言葉では表せませんでした。
だけど、懐かしい。
わたしは、いろいろと理論立てて調理していくタイプです。
研究のために食べ歩きに行く時も、お料理の素材、調理の道筋、過程が頭の中で見えてきて、「なるほど!」という感覚になります。
そこに感銘ししたあと、組み合わせや提供の仕方、説明される言葉も味わった上で、「すごいなー」、「さすがだなー」、みたいな感情になっていきます。
それが楽しみで食べ歩いてきたようなものです。
でも工藤さんのお鮨は違いました。
もう何が何だかわからない。
食べて衝撃を受けたあと、自分の店に戻り、なんとか真似しようにも真似できない。
そこからの日々といえば、自分の握るお鮨に落胆しか残らない。
札幌に行かなきゃよかった。
そのぐらい凹みました。
そこから、自分の鮨を本気で見つめ直す機会になりました。
ほぼ毎月貸切で常連さんと『鮨一幸 』さんに行く。
お客様の顔が全然違うのです。
目を一瞬見開く。
目を閉じて俯く。
個人差はあれど、みなさん同じリアクション。
当時の秦野よしきで食べて頂いている時のお顔と全然ちがうんですもーん(T_T)!!!!!
そこから、今一度。
美味いとは何か、握りとは何か。
おまかせで召し上がって頂く意味とは、つまみの意味とは。
考えました。
今では私は白酢の虜。
今の店も、そして『立喰 鮨となり』でも。。。
この白酢がもたらす感動と世界観を表現していきます。
コロナ期間の変化
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コロナ禍によってお客様に来て頂くことが困難な日々が続いた時に、テイクアウトを本格的に始めました。
今までは、最初の修業先の親方『白金 鮨匠 岡部』に教わったバラチラシや太巻きを作っていました。
しかし、自分のシャリとネタは岡部親方のそれとは違う。
親方は赤酢、そして今の私は白酢。
なので、今一度、召し上がっていただく時間やバランスなどを考えて、シャリからネタの仕込みまで全部替えました。
そしてそこには重大なステップアップへのヒントがたくさんありました。。。
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バラチラシや太巻きは、それだけで完結された美味しさを求めなくてはなりません。それはいわば、具材、スープ、麺、余韻、、、それらを一杯で表現するラーメンのようです。ラーメン屋さん、本当に尊敬します。
研究を続ける中で、伝統的な太巻きの素晴らしさを再認識できました。
先人の職人さんすごいなと。
改めて尊敬の念が沸き上がりました。
鮨文化を作って頂きありがとうございます!、という気持ちです。
一貫の重み
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車海老1貫だけ、マグロ1貫だけ。そんな頼み方でも大丈夫です。
その1貫だけでもパンチ力があり、うまい!と感じで頂けるようなお鮨を作って行きたいと思います!
そこをスタッフみんなで研究していく。
職人としての切磋琢磨を、一貫に表現していきたいと思います。
酸と脂
『麻布十番 秦野よしき』ではコンセプトに『酸と脂』と掲げております。
シャリの酸味とネタの脂。
ここには私の考える『鮨の乳化』があります。
この『鮨の乳化』については、また別途noteに綴らせて頂きます。
『立喰 鮨となり』でも鮨のコンセプトは同じです。
鮨職人は魚をどう処理するのか。
どう手当するのか、何℃で保管するのか。
皮を引くタイミングは。
シャリを作るタイミングは。
どう握るのか。
1ミリ単位の世界の理論を考えなくてはなりません。
1ミリを間違えれば険しい鮨の道から崖に落ちます。
本当に。。。
なので、しっかり研究しなければなりません!
いくら考えても研究しても、今の自分では辿り着けない場所、気が付けなかった気付きが後から後から出てきます。
そこに気付き続けられるよう、感性を磨き続けることが大事だと思います。
札幌『鮨一幸』の工藤順也兄貴はおっしゃいました。
『理論は感性を超えない』
まさに、自身の感性を磨きつつけ、生きていかないと、いい鮨なんて握れない。
いい鮨を握る為に自分を研ぎ澄まさないとならない。
自分を研ぎ澄ます為に、減量を決意。笑笑
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そんな思いを持って研究し、色々な感情、悔しさ、絶望に打ちひしがれた時間。
未熟なわたしのお鮨でも美味しいと言ってくれてきたお客様、そんな色々な想い、色々な人の支え、家族の支え。
こんな私にずっとついて来てくれたスタッフ。
その全ての思い、気持ちがこもり。
いい鮨となり、握っていければと。。。
あっ。。。
いい鮨となり、、、
鮨となり!だ!!!!!!
2022年1月14日オープンです。笑笑
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次回は
『立喰 鮨となり』に関して。
がっつり語らせて頂きます!
ご利用方法も綴らせて頂きますので
よろしくお願い致します!
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