1000人の想いから未来の道東が浮かび上がる .doto vol.2
「この時期の道東なら、知床だけじゃなくて、屈斜路湖のカヌーもいいし、もちろん美幌峠からの眺めも最高だよ」
「へー、そうなんだ。いいねぇ。で、ところで、どーとーって何のこと?」
「え?」
関東に住んでいる友人とのある日の会話。4年前にぼくらが移り住んだ道東の認知度は、まぁこんなものだったりする。
オホーツク、十勝、釧路、根室からなる地域で、北海道のほぼ東半分、これが道東だ。3万6千平方キロメートルほどの広さに100万人弱が暮らしている。人口だけいうと関東地方に千葉市民が散らばって暮らしているようなイメージだ。
人が少ない。
日本中で人口減少が進む中、つむぎが大きくなるころに、道東はどうなっているのだろう・・・。
そんな心配は吹き飛んでしまう本が我が家に届いた。
『.doto vol.2』
道東のアンオフィシャルビジョンブック。なんだそれ?というカテゴリが与えられた本の中には、1000人分の「道東で実現したい理想」が詰まっている。一人ひとりの想いを集めて未来の道東を描き出す本だ。
ページをめくると、「私はこれをやる」「こんなものをつくってみたい」「こんな場所があったらいいな」がそれぞれの言葉で1000個ならんでいる。想いを寄せたのは小さな子どもからベテランまで、年齢も職種も性別も住んでいる場所もさまざま。
言ってることだってそれぞれバラバラ。これが一冊の本としていいのかどうかは判断ができない。でも、「あの町にはこんなことを考えている人がいるんだ」とわかるだけで面白くて、熱い。
そもそも、一冊の本をつくるのに、1000人の想いを集めるなんてクレイジーな取り組みだと思う。
ぼくも前職では、さまざまな無茶なことをやってきたけれど、この本の企画を知ったとき「さすがに無理だろ・・・」と思っていた。「1000とは言ったけど、やっぱり500で、いやいや何なら100でもいいんじゃない?」と少しずつ折れていきそうだ。
しかし、本は完成した。この本を作り上げた一般社団法人ドット道東を中心とするチームがいるというだけでも「いま道東は熱いんだ」と自信をもって言える。
5年後、10年後、ここに書かれた理想が次々に実現されていく世界を想像するとワクワクしてくる。まるで「道東」という場にみんなで寄せた壮大なタイムカプセルみたいだ。「今年はどの理想がかなったんだろう?」と毎年雪に閉ざされる冬に読み直したい。
実はぼくと幸枝さんもこの本にぼくらの「理想」を寄せた。さらに、ありがたいことにバッチリ取材までしていただいた。
この本を片手に、道東には仲間がいっぱいいるんだと感じて、さいこうファームも進んでいこうと思う。
ちなみに、この本は北海道だけでなく、東京の代官山蔦屋書店、青山ブックセンターでも購入可能とのこと。ぜひ実際に手にとって、「道東の熱さ」を感じてみてください。