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『ベスト・キッド〜リーダー人材編〜』の舞台は農業で決まり!

除草ホーを片手に畑に向かう。今回は畝間の草がそれほど大きくなる前にカルチをかけることが出来た。後はカルチ(トラクターで引っ張る草取り用の爪のこと)では倒せなかった際の部分に残った草を対処するのみ。

雑草に対峙しようとすると、気が重い。

農業を始めて深く理解したのは、雑草の強さだ。雑草はすごい。マルチに守られたレタスでさえ、干ばつの影響でうまく育たないのに。砂漠のように乾燥した畝間の土に、ふと気づくと、「ここに生け垣作ったかな?」と思うくらいの勢いで増えてくる。

これまでの雑草との戦いは連戦連敗。畝間に出来た生け垣の前に僕は立ち尽くすのみだ。

敗因は分かっている。雑草の成長スピードを甘く見ていたのだ。まだ大丈夫かなと思っているうちに、畝間にはそこそこの雑草がびっしり生え。やばいやばい、と思ってカルチをかけると、カルチの爪には雑草とその根についた土が山盛り。自ずとマルチも引っ掛けやすくなり四苦八苦。なんとかカルチをかけ終えた、と思っても。すでにある程度成長していた雑草たちはその強靭な生命力で何事も無かったように復活する。その光景を見て、僕はただただ呆然とすることしか出来なかった。

これが負けパターンだ。

ただ、今回は違う。

雑草がチョロチョロと土の上に見え始めた段階でカルチをかけることが出来た。草が少ないとカルチもかけやすい。もちろん一部のマルチを引っ掛けて破いてしまったけれど、僕にとっては上出来だ。

そして今日、カルチで対処できない位置にある雑草を倒すべく除草ホーを握りしめる。

ふぅ

強靭な雑草を倒すべく、息を整える。

いざ、ゆかん

一番手前に生えていた雑草に除草ホーを振り下ろす。

ササッ

「あれ?手応えが無い」

次の雑草にも、ササッ

「あら?こんなに楽に取り除けるの?」

いつも僕が対処してきた雑草は、身の丈2尺(約60センチ)に迫ろうかという歴戦の強者だ。すでにガッチリと大地に根を張り、渾身の力で振り下ろす僕の除草ホーをも軽々と跳ね返していた。

しかし、今日対峙している対峙している雑草はまだ数センチのひよっこ。冒険を始めて、一番最初に出会うスライムのようなものだ。除草ホーを振り下ろすまでもなく、サッと動かすだけで。あっという間に抜けてしまう。手応えのなさにむしろ不安になってしまうレベルだ。

雑草に対処するタイミングがちょっと違うだけでここまで難易度が違うとは・・・。

「問題への対処は早め早めが重要」これはすべての仕事において共通で言われることだと思う。僕自身、東京で働いていた時には常に心がけていた。それはうまくいくこともあったし、うまくいかないこともあった。ただ、早めの対処ができるとどう良いのかについては、なんとなく経験的に感じるものであって、人(特に後輩)に伝えるのはなかなか難しいものだった。

もしかしたら、この雑草退治は「問題への対処は早め早めが重要」を深く実感できる研修になるかもしれない。

・問題(雑草)を放置した先にある、もう手のつけられない地獄(畝間が生け垣状態)
・問題(雑草)が見えていると、職場(畑)に行くストレスが激増
・対応が遅れると、対処(カルチをかけたり除草したり)するのがとても困難
・問題(雑草)の芽が出た時点であれば、鼻歌うたいながらちょちょいと対処が可能

この経験は、農業以外の仕事にも必ず活きるはず。特に多くのプロジェクトを見なければならない、リーダー層の人にこそオススメだ!

思えば農業はリーダーが直面する問題を疑似体験出来る場面が多くある。

雑草退治から、問題の早期対処の重要性を知り。作物の病虫害被害から悪い雰囲気はあっという間に伝染することに気づく。病虫害を抑える基本は風通しの良さ、これは作物も人間も一緒なはず。良い成果(収獲)を上げるためにできることは良い環境づくり。そしてリーダー(農家)の重要な仕事は向かうべき道(育てる作物)を決めること。

うんうん、リーダーになる人こそ、農業から学べることは無数にあるんじゃないかな。

『ベスト・キッド〜リーダー人材編〜』の舞台は農業で決まりだな。

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吉田拓実|さいこうファーム OKHOTSK BIHORO
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