私はHSPに該当するようなのですが、「HSP」って何?
「〇〇さん、ちょっと考え過ぎじゃないですか?」
「細か過ぎると思います。」
「あんまり気にしない方がいいですよ。」
何でこんなに考え過ぎるんだろう?
皆さんはこんな風に言われた事は無いでしょうか?私はあります。特に、「考え過ぎ」というのは中学生ぐらいの時から誰かに言われてその事を自覚しており、どうすれば考えないで済むのかなと考えたりあまり考えずに行動するような人にある種の憧れを抱いたりしていました。
"醤油を取りたいけど、隣の人に頼まないと届かない...どうしようかな..."
"あの上司一人でイライラしてるようだけど、私のせいかな..."
"近くで喧嘩してる声が聞こえるな...関係ないけど何か緊張するな..."
私はこんな事がよくあります。周りにタイピングがいつも以上に強い人がいるととても気になってドキドキします。不機嫌そうな人がいると何となくそれを感じ取って気を張ってしまいます。「なんであんな風な言い方をするんだろう」と人の言い方がとても気になって引きずります。何となく心当たりのある人は、HPSかもしれません。
・ミスをして注意されても気にしないクラスメイト...
・どれだけ騒がしい居酒屋で初対面に近い人に囲まれても明るく会話している友達...
・タスクや情報が山のように降ってきても落ち着いて一つ一つ処理する同僚...
(勿論考えて過ぎていない訳ではなく感じ取られないよう表に出していなかっただけかもしれませんが、)いつかあんな風になれるのだろうか、何て考えていました。でも、最近やっと「別に変えなくてもいいんだ」と心地よく過ごせるようになりました。繊細が故に、考えてしまうが故に、HSPじゃない人には見えない部分を見ることができると気づきました。深い考えをもって物事を観察することができると気づきました。自分がHSPであることはうつになってしまった要因の1つですが、今になっては自分がHSPであることに感謝しています。
HSPとは?
20世紀後半にアメリカの心理学者によって初めて提唱された概念です。5人に1人がHSPであると言われていて、HSPは身長と同じように、生まれ持った性質で、頑張って変えられるものではないそうです。HSPは以下のような特徴を持っています。
①深く処理する
②過剰に刺激を受ける
③感情面で反応しやすく共感しやすい
④些細な刺激に対する感受性が強い
先程、私がうつ病になった要因の1つがHSPであると書きましたが、上記のような特徴のせいで、HSPの人は自己否定感が人よりも極端に強く、人の感情も含めた様々な情報に敏感で、それ故、刺激が多すぎる・強すぎると疲弊してしまいます。
皆さんは以下の図のどの分類に当てはまるか、考えてみてください。"YES"と"NO"で質問に答えていくセルフチェックリストも沢山あるので、一度「HSP テスト」などで調べて見て、ぜひ診断してみてください。
もちろんできることがあります。
「変えられないもの」だからといって、放置しておくと様々な情報にさらされて疲弊してしまいます。心の疲れを防ぐためにできる事が幾つかあります。
①刺激のある環境を避ける
刺激に弱いのであれば、刺激を受けなければよいのです。情報をそもそも遮断してしまえばいいのです。人に会わない、外出しない、スマートフォンの電源を切る、等、自分が特に苦手である情報に晒されないようにします。最近、私は外に出て人に会うは週に1回か2回と決めています。外に出て電車などに乗ると想像以上に疲れる事に気付きました。また、人と一緒にいると(「気遣いができる」タイプでは全く持ってないのですが...)何となく気を使ってしまい、知らぬ間に「早く家に帰りたい...」と考える事が増えました。そこで、週末だから出かけたほうがいい、何てのは無視してなるべく家にいて1人で過ごすようにしています。
②刺激自体を和らげる
それでも、外に出ないと行けない時、人と会わないと行けない時は勿論完全に遮断できる訳ではありません。そんな時は刺激を和らげる手段を覚えるのです。もし自分が視覚的な情報で疲れているとわかっていたら、眼鏡・コンタクトの度を下げたりサングラスをかけたりすることで、目から入ってくる情報を和らげる事が出来ます。もし聴覚が敏感であれば、耳栓や音楽を聴く、嗅覚であればマスクをする、等の情報を和らげる方法は様々あります。私の場合は、どこに行ってもラジオを聴いています。あまり問題ない刺激と苦手な刺激、何となく自分にあった刺激への対策は人それぞれだと思うので、少しずつ試してみてください。
③刺激に対する行動を決める
次に、直接的に刺激を和らげる事が難しい場合があります。例えば、人と会話している時。ヘッドホンをして音楽なんて聴くのは勿論難しいと思います。そんな時は頭の中でイメージする・何か象徴を設ける、のがいいみたいです。例えば、あなたが聞き手で話し手の人が誰かの愚痴を一方的にちょっと攻撃的に話している時、これはHSPの人にとってとっても苦手な状況です。そんな時は、話し手がテレビの中にいるとイメージして話を聞いてみてください。少し楽になると思います。また、これは私もたまに使う手段ですが、物理的な何かを使って人との境界線を象徴してみてください。例えば、誰かが話しかけに来た時に、ペンを身体の手前辺りに持って、その人とあなたの間に境界線があることをイメージするのです。ペンが線を引いてくれているイメージがあると、少し気が楽になります。
④回復を早める
どうように頑張っても生活する上で刺激を完全に遮断することは出来ません。刺激を受けて疲弊してしまったら、回復する方法を持っておきましょう。例えば、アロマを焚いて嗅覚をリラックスさせてます。情報をなるべく減らすように、照明を暗くしたりベッドルームにあまり物を置かないでみてください。少し人よりも繊細で刺激に敏感だとしても、こんな風に自分なりの回復方法を持つことで、より円滑に生活することができると思います。
上記のように「刺激を受ける」時のそれぞれのフェーズで出来ることがあります。人によって、より苦手な情報の種類があるみたいなので、五感のどれが特に刺激に弱いか、自分で理解してみてください。理解が出来たら、ちょっとずつ自分にあった対策を試してみてください。参考になるかわかりませんが(そしてうつ病への対策と混在しているかもしれませんが)、以下が私の対策です。
・週に1回くらいしか外出しないし、人とも会わない
・外出する時は必ずラジオを聴く
・特に疲れた時には鼻歌を歌う
・作業をする時はアロマを焚く
大事なのは考え方。
今まで説明した手段は大事ですが、それよりも大事なのがマインドセットです。マインドセットは、背骨というイメージです。考え方次第では、HSP、繊細であること、過剰に気にしてしまうことが、自分のせいだと勘違いしてしまい自分を責めてしまう事もあると思います。私も28歳になって、少しHSPを勉強した今でも「なんで自分はこんななんだ」「どうやったら変われるのか」と考えることがあります。でも、以下のマインドセットに戻ってくると、自分は自分で大丈夫、と思うことが出来ます。
気にしない事は無理、気にした時にどう対処するかを考える
そもそも気にしない何て不可能です。生まれつきのものですから、「気にしない」を変えることは出来ません。気にした上で、どうするか、どうすればより気にならなくなるか、より早く回復できるかを考えるといいと思います。
「しんどいな」は心を守るためのいいサインである
しんどいと思うことをネガティブな事と考えがちですが、しんどいと思うことは心がアラートを上げています。「止めた方がいいよ」と、「もう休んだ方がいいよ」と。しんどいと思わなければ永遠に動いてしまいます。「しんどいな」を真摯に受け止めましょう。
日常は想像よりも刺激に囲まれているということを認識する
「スマートフォンを見てるだけで何もしていないから大丈夫」と勘違いしていまいますが、スマートフォンを見る行為にも様々な刺激が含まれています。画面から放たれる光であったり読んでいるSNSの情報だったり、それだけで疲弊してしまいます。何もない真っ白な部屋でパジャマを着ていてポツンと目の前に消しゴムがあったとしても、パジャマが皮膚を触れているのは情報ですし、消しゴムを見ているのも情報です。思ったよりも情報に晒されている事を認識しましょう。
生まれつきであり、変えられないことを理解する
冒頭でも述べた通り、HSPは身長みたいなもので、生まれ持った特徴です。繊細である自分が嫌になり考え過ぎない人への憧れを抱くこともありますが、顔の形や髪の毛の太さと同じくらいな感じで、単なる自分の性質なんだと理解しましょう。
「刺激を受けやすい」は「感受性が豊か」、いいものと捉える
私はこの考え方に一番助けられています。HSPであることが必ずしもいつも社会的に否定的に働く訳ではありません。敏感であるが故に、細かい違いに気付くことが出来るかもしれません。考え過ぎてしまうが故に、人よりも抽象的に思考が得意かもしれません。共感性が強い故に、芸術作品でより心を揺さぶられるかもしれません。感受性が豊かであると、HSPをいいものと捉えましょう。
もし考え過ぎてしまったり気にしすぎてしまったりした時にそれを否定的に捉えて自分を責めてしまう時は、この考え方に返ってきてありのままを受け止めると、少しだけ心が楽になると思います。
最後に
この記事はHSP専門カウンセラーである武田友紀さん著の『「繊細さん」の本』を参考に書きました。私が"HSP"という単語を知ったのは昨年くらいで、自分の考え過ぎる性質が言語化されていて、嬉しかったです。"HSP"を知る前から、「考え過ぎてしまうけど、それは利点であり、いつか何かしらでいい風に転ぶ」と信じていましたが、この本によって、その想いがより強くなりました。まとめ方は少しだけこの本と異なるかもしれませんが、軸は同じだと思います。ぜひ一読してみてください。
おわり。金髪で髭でメガネで軽いうつ病の28歳、たかよんさかい(仮)でした。(写真をお借りしております。ありがとうございます。)
ほぼ毎日1000文字ぐらい備忘録チャレンジ(仮)、17日目。(4271文字)
参考文献:
武田友紀,「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本,飛鳥新社,2018.
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