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自分らしく生きるためのセルフコミュニケーション分析と改善のヒント#4「親に対する無意識の贖罪意識」に縛られている自分を変えるヒント
これまでの人生、周りに振り回されてばかりの「他人軸」のしんどい毎日を送っていたとしても、心の中の自己対話(セルフコミュニケーション)を見直すことで自分軸に軌道修正できるということをコンセプトに、シリーズでお届けする記事の4回目です。
(1回目、2回目、3回目の記事はこちら)
今回は「親に対する無意識の贖罪意識」に縛られている自分を変えるヒントについて、セルフコミュニケーションの観点から考えてみたいと思います。
◉無意識の罪悪感が生み出す毒の連鎖
情緒的に未熟な親の元で育てられた子どもは、大人になってパニック的な問題や、いわゆる広場恐怖的な問題を抱える傾向が高いといわれています。
その背景の一つに「親に対する無意識の贖罪意識」があります。
たとえば、父親が自身の抱える自尊心の低さの悩みを隠すために、家庭の中で暴君のように振る舞い、妻に暴言を吐くなどモラハラを繰り返している。そして子どもはそうした母親の姿を日常的に見せられている。
こうした機能不全的な家庭環境におかれた子どもは、本来は自分にはなんら責がないにも関わらず、母親に対して贖罪意識を抱き、それによって「自分らしく生きること」を無意識に制限してしまうことが少なくありません。
Aさんもそんな無意識の贖罪意識が原因で、苦しい現実に悩まされていた一人です。
・母親への贖罪意識から不登校を繰り返したAさんのケース
Aさんの両親は共働きでいつも忙しく、Aさんは物心ついた頃から近所に住む父方の祖父母の家に預けられて育ちました。
祖父母の家にAさんを迎えに来る時の母親は、いつも申し訳なさそうに何度も頭を下げ、Aさんを祖父母に預けている負い目からか、祖父母の家にいるときに母親が笑っている姿をAさんは見たことがなかったそうです。
そんなAさんが子どもの頃に体験した遠足のエピソードを語ってくれました。
遠足の前日までは友達とおやつを買いに行くなど、とてもワクワクして楽しんでいたのに、いざ遠足当日になるとわけもなく「遠足に行っている場合じゃない」「こんなことをして楽しんではいけない」という思いにAさんは囚われてしまいます。
その気持ちを誤魔化して遠足に行っても、ずっと心ここに在らずで、遠足の最中もずっと「こんなところで楽しく遊んでいてはいけない」という思いが自分を責め続けてくる……。
でも幼かったAさんは、自分の心の中に湧き上がってくる思いの背景に、「可哀想な思いをしているお母さんを残して自分だけ楽しい思いをしてはいけない」といった、母親への贖罪意識があるということには全く気づきません。
そのため、わけもなく湧き上がってくる気持ちに、何らかの理由付けをする必要にAさんは迫られます。
このときAさんが創作した理由は「本当は学校が嫌いだから」「自分は友達と遊ぶのが下手だから」というものでした。
以来、Aさんは自身が創作した理由に縛られ、度々不登校を繰り返すようになります。そしてその度に、母親に心配をかけて申し訳ないといった罪悪感を強化させていきました。
元々は「祖父母にいつも頭を下げている母親の姿」がAさんの心の中に贖罪意識を生み出したのですが、それをAさんは意識化できていませんでした。
自ら創作した「学校が嫌い」「友達と遊ぶのが下手」という理由から不登校を繰り返すことで、はじめて母親への贖罪意識を意識化できたのです。
それはあたかも、母親の姿から生じた贖罪意識を覆い隠すかのような、なんとも複雑なプロセスを経ていました。
・無意識の贖罪意識が自己正当化癖を生み出す
Aさんのケースのように、親に対して元々贖罪意識を持っている。
でもそれを意識化できていない。
そればかりか、元々の贖罪意識とは全く関係のないところで自らに制限をかけるような別な理由を創造しては悩ましい現実を生み出しているケースは少なくありません。
たとえば、お酒が好きで、ただ飲みたいだけなのに「職場の付き合いで必要だから」「職場では話せないことがあるから」などと、何らかの合理的な理由で自分を正当化しないと、お酒を飲むことにどこか後ろめたい気持ちを感じてしまう。
あるいは、本当は純粋に「好きで楽しいから」という理由から続けている趣味があっても、「これは趣味ではなくてストレス発散のためだ」など、何らかの理由をこじつけないと趣味の時間を楽しむことができない。
そうやって自己正当化する理由を創造した結果、創造した理由に縛られ、いつになっても自分らしく振る舞うことができずにいる。
そうした背景に、「親に対する無意識の贖罪意識」が隠れていることは少なくないのです。
もしもあなたが、何かを楽しもうとしたとき
「何の目的もなく、ただ楽しむために楽しむことは悪いことだ」
「何の目的もなく、楽しむために楽しむことは不誠実で自分勝手だ」
「何の目的もなく、楽しむために楽しむことは信頼を裏切ることだ」
こうした考えが湧き上がってきて、何らかの自己正当化をしなければ行動を起こすことができないと感じているとしたら、その背景には「親に対する無意識の贖罪意識」が隠れているのかもしれません。
◉心を縛りつける贖罪の鎖から自分を解放するヒント
心を縛りつける贖罪の鎖から自分を解放するには、まずは「親に対して無意識の贖罪意識を持っている」ということを、はっきり自覚することがスタートとなります。
たとえば、
「私は私、親は親」
「私は親の期待全てに応えなくていい」
「私には自分らしい人生を生きる権利がある」
「私は私がやりたいことをやっていい」
「親の問題について私が責任を感じる必要はない」
「私の人生の責任を親はとってくれない」
「私は親の機嫌よりも、私自身の機嫌をとろう」
これらのフレーズを実際に声にだそうとしたとき、何らかの心理的抵抗を感じる場合、それは親に対する無意識の贖罪意識が心理的抵抗を生み出している可能性があります。
その場合は、心理的抵抗を感じなくなるまで繰り返しフレーズを声に出して自分に言い聞かせるセルフコミュニケーションに取り組むのがおすすめです。
上記以外にも「なぜか自分らしさに制限がかかる」と感じる場面があれば、
「私は◯◯してもいい」
と、自分に許可を与える命令を、繰り返し自分に刷り込むといいでしょう。
それと、純粋に自分が楽しむためだけに時間を使うことに体を慣らすのも効果的です。正当性のある理由を考えずに、自分のためだけに時間を使ってみるのです。
たとえば、
・気になったカフェにぶらっと入ってみる。
・気になった映画をぶらっと観る。
・気になった雑誌を買って読みふけってみる。
など、純粋に「自分がそうしたいからする」という素直な欲求に耳を傾け、
実際に欲求を実現してみるのです。
そうやって、あたかも「体質」「性格」のようになってしまった、後ろめたさを感じさせる贖罪意識から自分を解き放っていくと、他人に振り回されない感覚、自分らしく生きられる感覚がわかるようになると思います^^。
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