知らぬ間に夜職をしていた
山形から東京にきて4年続けてきた飲食業を辞めることにした。
#会社員でよかったこと なのに辞めるんかい!
ご心配なく。間違いなく、会社員でよかったな~って思ってます。
僕は飲食のアルバイトとして3年、別の会社で正社員として1年、居酒屋の店員として働いた。
正社員として働いた居酒屋は昼過ぎから仕込みをして、夕方にオープン。日をまたぐ頃に営業が終わり、締め作業をして帰って寝るころには朝になる。これが普通。
寝るか、飯を食うか、仕事をするかしかなくても平気で、むしろものすごく楽しかったし充実していた。仕事を頑張る姿がかっこいい、と、人生で初めての彼女もできた。
縛られるのが嫌いな僕がわざわざ「入社」という道を選んで、面接をしたその日に社長と家を見にいき、職場から徒歩5分以内のところに決めたほどの理由があった。
それはワクワクだ。
・・・ワクワクってそれだけ!?
いやいや、、ワクワクするほど好きなことに没頭できるなら、縛られてもいいって話よ。
僕の勤めている居酒屋は料理の評判もよく、日本酒の種類も豊富で喜んでいただける。
そう、圧倒的飯ウマ。まかないはパスタとかリゾットも。お客さんに説明しないといけないから、むしろ食えって言われてた。最高。
まあこれは入ってから知ったんだけども。
で、とくにウリなのは接客だ。オープンキッチンで料理をしながらお客さんを盛り上げた。キッチンは入り口から一番遠いが、入り口近くで僕の話をする人がいれば大声で声をかけ、
「呼びましたー??」「よんでねーよ!笑」
と、こんな感じ。なんでもない会話が一番たのしいよね。
ホールをする日は、オーダーを取るだけでなく、元気なコールで盛り上げ、お客さんとの会話を楽しんだ。会話をしすぎてキッチンに早く料理もってけと言われることもあったほどだ。
なにより人と話すのがたのしかった。
お客さんからお酒をいただくこともしばしば。お酒飲んで楽しくなっちゃって金ももらえるなんて、なんていい仕事なんだ、とさえ思っていた。飲むのが好きで毎日飲みたい、そう思うのならばそこにいるのが最適解だ。
ある日は飲みすぎて、吐きながら締め作業をしたこともあった。それを見た店長は
「ウケる笑」「がんばれ笑」
と大爆笑していた。ゆるさん。
しかしその日はなんか飲みたい気分で、自分からお客さんにお酒をもらいにいっていたからなにも言い返せなかった。
そんな店長、暇なときは近くの飲食店にいって「付き合い」という名の飲みにいく。僕はそれに対して悪いと思ったことはないし、むしろ店長に店を任されて嬉しかった。営業の仕事こそ、上の人がすることだと思っていたので、店になんかいないでどんどんいってくれ、とさえ思っていた。おかげでオープンしたてでもほかの飲食店からの紹介で来るお客さんもたくさんいた。これが営業の力、店長の力だ、、、と思い知った。
しかし、その上司の姿こそ、自分の将来の姿なのである。
そう、店長がやっていたことは「夜職」となんらかわりのないことだった。
お客さんと一緒にお酒をのんで楽しんでもらうこと。営業後の飲み会は、アフターそのものだった。それが仕事だったし、それが人生になっていた。
辞める理由の一つとして、僕は正直、お酒が苦手だった。
お酒をたくさん飲める体ならよいのだ。でも僕には無理だと思った。
いや、苦手なんかーい!!!!!!!!
じゃあどうして酒のある場所へ?と思うかもしれない。
一つは接客という仕事に興味があったからだが、苦手なお酒を遠ざけてきてばかりだった僕は、お酒との付き合い方を知ってみようと思った。自分でも好きな酒はあるのだろうか。自分はどのようにして酒を飲むのが気持ちいと感じるのだろうか。知らない自分を知りたかったのだ。
学生時代、酔っぱらうためだけに飲んでいた日本酒は、おかげで好きな銘柄ができたり、食べ物に合わせてお酒を選べたりするくらい好きになった。なによりお酒は悪だという考えが無くなって、むしろ好きな人とのむお酒はほんとにおいしくて、生きる楽しみになった。数々ののんべえのお客さんに「飲み方」を教えていただいたおかげだ。はしの先っちょにちょっと乗るくらいつまんで食うおつまみがうまいんすよね。わかる。
適度なお酒は人を幸せにする。間違いない。
そして辞めるもう一つの理由は、そんな好きな人との大切な時間をもっとつくりたい、ということだった。昼から朝まで仕事して、寝たら24時間はあっという間。要は、彼女が大好きで、彼女の家族も大好きで、みんなとの時間を大切にしたいので、それに合わせて僕が生き方を変えて時間を作ろう、という決意をしたのだ。
が、辞めて1か月で彼女とは別れました。
これについては長くなりそうなのでまた今度。
結論としては
「会社員辞めたけど、やってよかった」
です。
なにかに集中・没頭することは、充実した日々を送るのにとても重要。好きなこと、やりたいことなら社畜上等だ。その中でついてくる人は大切にすべき人だし、これから一生を共に過ごす人かもしれない。
夜職のような居酒屋店員をしたことで、人と話すのがより好きになった。人の話を聞いてあげるのが好きになった。
こうしてこれからも人を受け入れながら生きていけたらいいな。