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【いちごる読書note】Airbnb Story
『Airbnb Story』
この本を手に取った経緯は、クレイトン・M・クリステンセン氏の「ジョブ理論」の中で、世の中にインパクトを与えるようなイノベーションのヒントとなりうるものの一つに「身近な生活の中のジョブ≒困りゴト(昨今のスタートアップは創業者の個人的な課題に端を発している)」を挙げており、その具体例として紹介されていたAirbnbに興味を持ったことから。
読んでみると、なるほど、ブライアン・チェスキー(達)が最初に、自分たちの住む賃貸住宅に空き部屋があり、その家賃支払いに追われていたこともあり、近く開催されるデザインイベントで訪れる人たちでホテル需給がひっ迫することを見越して、最初に民泊を始めたのがきっかけとなっている。そして、その後どのようにそれを大きく育てていったかのドキュメンタリーは、クリステンセン氏のジョブ理論の一つのケーススタディーとしても有益なものであると感じた。
またそれ以外にも、本を読んでみるというのは非常に有益だなと感じたのは、1人の人間が(Airbnbの場合は3人だが)その信念を貫いて成功を収めていくプロセスには、同じく自身の信念を貫いていこうとする場合に、思わぬ形でヒントを与えてくれるという点。
このことは、これまでもいくつかの創業者自伝(もしくはドキュメンタリー)を読む中でも薄々感じていたことなので、これからは本を読んで得たヒントを書きしたためることにしよう。
1.新しい価値観や文化を広めること
Airbnbの主たるビジネスは、自宅の一部(もしくは全部)を貸し出したいと思うホストと、安い宿泊料やその土地でしか体験できないことを求める宿泊者(ゲスト)をマッチングさせる民泊ビジネスである。
「赤の他人の家で、寝泊まりする」という文化は、過去を振り返ればなかったわけではないが、それをビジネスとして展開し、世界に広めたAirbnb。
「既存の価値観」にとらわれず、新しい価値観の提案がやがては世界を変えていく可能性があることを体現した例でもある。
成功した後であれば、多くの方に褒めたたえられるだろうが、そのビジネスの立ち上げ期は、多くの投資家に馬鹿にされ、時に無視された体験も描かれている。
いちごるメソッドも、従前のゴルフの楽しみ方・取り組み方といった既存の価値観・文化ではなく、今まで見過ごされてきた観点にフォーカスして、「新しいゴルフの楽しみ方」を提案しているつもりである。
それは時に、抵抗を示されたり、幼稚なものに見られたりする。
だけど、本人はこの価値観が広まれば、多くの人が効率よく上達でき、ゴルフを通じて豊かな人生を歩めると確信しているのである。
その価値観を広めていく一つのイメージとして、(全然レベルが違うのは重々承知だが)非常に参考になった。
新しい価値観を広めていく上では、「過去の価値観に縛られていない、若い世代の存在が有力である」ということは、当然と言えば当然だが、改めてその大切さを認識した。
2.コミュニティづくり
Airbnbはその文化を推進していく上でも、カスタマーロイヤリティの向上のためにも、年に1度ホスト(宿泊場所の提供者)を集めたイベントを行っている。
これらを通じて、Airbnbの信念に共感してもらっているホストとの団結力を高めている。
そう。Airbnbは「どこにでも自分の居場所がある世界にする」という信念を世界に広めようとしており、そのための大きな力になるのが、そのサービスに惚れ込んだ人たちなのだ。
まだ小さくしか実現出来ていないけれど、イチゴルにおいても、去年秋頃から半年に1度の受講生交流ラウンドや、月に1度のショートコースラウンド会を開き始めたのは、思い返せばこの本の影響があったのだろう。
イチゴルの場合は、今のところ、「受講生の団結力を高める」というよりは、それを通じて、過去のレッスン内容を思い出し、実践する機会を提供することで、レッスンの浸透度を高めていきたいという趣旨ではあるが。
3.本を読んでヒントを得るチェスキーのスタイル
創業者の一人であるチェスキーは経営経験のない中で、事業を立ち上げ、急拡大してきた。その時に必要としたのは、不足する経験を補うための情報収集であった。
チェスキー自身すさまじく行動力があり、シリコンバレーにいる(チェスキー曰く「自分より5年から10年先を行く」)経営者に直接会いに行き、多くの知見を得たということだが、人に直接会って情報を得る以外にも、書籍(や時には雑誌)から多くを学んでいた。
この点、この1〜2年、書籍からも多くを学び、それを実践している感覚を得ていたところであったので(要は、どんなジャンルでも、自分にとっては実用書のような感覚)、ほかならぬ時代の寵児が、そういったスタイルであったのに親近感を覚えた。
いつかチェスキーさん達に会うことがあれば(たぶんない。たぶん…)、この本からも多くを学ばせてもらったよ、と感謝の意を伝えたい。
(その他印象に残ったフレーズたち)
「なんとなく好きになってくれる100万人より、熱烈に愛してくれる100人のファン」⇒グループレッスンを含めた〇万人の指導実績も良いが、いちごるは2人/月を目標に。
「ユーザーのところにいけ!」⇒まさにジョブを解読せよ!という話。
「セコイアが投資してくれた瞬間に、宇宙船が飛び立った」⇒いつかはだれか大物が引き上げてくれる
「ここまで供給確保が難しいビジネスは今までになかった」⇒2ごるの供給も同様に難しい…
「創業段階よりも、その次の数段階がはるかに大変」⇒肝に銘じます。
「脱帽だ。私たち全員が見逃していたチャンスを、彼らは見ていた。」⇒ジョブのレンズを通して見ると人に見えていないものが見えるという例。
「自分が死んでからずっと後にAirbnbの価値が認められることをチェスキーは望んでいる」⇒信念がある者の想いはおそらく共通している。
「悲観主義者はだいたい正しい。だが、世界を変えるのは楽観主義者だ。」⇒楽しんでいきましょう!
「真実は必ず明らかになる。歴史は現在より賢く、より真実を語ってくれる。現在は霧の中で曇った状態だから。」⇒早く晴れ間がきますように。
など。