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RIZAPグループの逆襲「chocoZAPの快進撃」Part4<2026年3月期業績見通し(中期経営計画目標達成可否)①>

<2026年3月期業績見通し(中期経営計画目標達成可否)①>
RIZAPグループは中期経営計画として、2026年3月期の営業利益目標を300億円、2027年3月期を400億円と設定している。そのうち、RIZAP関連事業の営業利益は全体の8割を占める(調整額△3,500百万円は考慮外)。

中期経営計画の改訂に関するお知らせ より抜粋

RIZAP関連事業には、RIZAP、chocoZAP、RIZAP GOLFEXPAなどが含まれるが、chocoZAPを除くと、売上も店舗数も減少している。

ファクトシートおよび決算資料より作成

※RIZAP・その他RIZAP関連事業(chocoZAP・RIZAP除く)のFY24売上予想は、FY24Q3時点の前年同期比から計算(いずれもマイナス成長)。chocoZAPを除くRIZAP関連事業の営業利益率は不明だが、営業利益は数十億円程度と推測

よって、chocoZAPに中期経営計画の成否がかかるが、chocoZAPのビジネス状況は順調だ。

※2025年3月期第3四半期のchocoZAP売上高は四半期ベースで初めて減収に転じたが、これは「chocoZAP 日本一達成記念特別優待(2024年3月末権利確定)」によるchocoZAP割引の利用申し込みが2024年8月から開始した影響を受けたもの。先日この株主優待制度の変更を発表しているので、マイナスの影響はいずれ減少していく。

現在、chocoZAPの四半期売上は90億円、営業利益率は約30%であるため、年間では約100億円の営業利益が見込める基盤が整っている。一方、chocoZAP以外のRIZAP関連事業からの収益の伸びは期待できないため、2026年3月期の目標達成には、chocoZAPで少なくとも2倍の約200億円の営業利益を出す必要がある。

しかし、足元では店舗数・会員増加数・1店舗あたりの会員数の伸びが鈍化し、中期経営計画で掲げた各目標数値との間に大きな乖離が生じている。

Part1で見たとおり、退会率は上昇していないため、単純に新規会員の伸びが鈍化していると考えられる
※2025年3月期第3四半期は、78店舗増(年換算312店舗増)、会員数36,000人増(年換算144,000人増)、1店舗あたりの会員数750人(2024年末時点)

2026年3月期の各数値目標の達成には、2025年2月14日時点との比較において、1,000店舗以上、会員数は2倍以上、1店舗あたりの会員数は30%以上増加させる必要がある。

2024年3月期は出店と広告を強化し新規会員獲得に注力、2025年3月期は店舗品質と既存会員の満足度向上にシフトすると会社は繰り返し説明していたことから、店舗数や会員増加数の鈍化は想定内だ。

2025年3月期第2四半期決算説明会 P22より抜粋

仮に退会率・休会率が高い状態で、多額の広告宣伝費を投入し、新規会員を獲得しても、穴の開いたバケツに水を注ぐようなもので、非効率になるため、会員の継続率をさらに高めようとRIZAPグループが取った戦略には賛成だ。

ただし、現在の会員数では、2026年3月期および2027年3月期の営業利益目標を達成することは難しい。そのため、会員数の大幅な増加を目指し、出店スピードを再び加速させる必要がある。chocoZAPの現在の勢い、実績、ノウハウを考慮すれば、短期間で店舗数と会員数を大きく伸ばせるだろう。

しかし、出店スピードを再加速させると、投資増から広告宣伝費などの販売管理費が増え、短期的に営業利益を圧迫し、利益貢献には一定のタイムラグを伴う。よって、2026年3月期の中期経営計画の連結営業利益を達成するには、投資がかさむ出店数の目標を適正な水準に下方修正し、一方で会員数は順調に増加させるという難しいかじ取りが必要だ。幸い、その取組みはすでにさまざまなところから見え始めている。

現在、RIZAPグループは法人向けの営業を強化し、契約法人数が順調に伸びている。法人向けは個人向けに比べて広告宣伝費が少なく済むことが多く、会員数もまとまった単位で増加することが期待できる。

2025年3月期第3四半期決算補足資料 P30より抜粋

具体的には、chocoZAP ステーション(法人向け福利厚生サービス)ならびにSOMPOホールディングスとの資本業務提携(2024年6月発表)を活用した商品開発などがある。ほかにもchocoZAP Partners(広告事業)やマーケティングコンサル事業による収益多角化など、次々と施策が進められている。

2025年3月期第3四半期決算補足資料 P32より抜粋

なお、Growbaseは継続率「99.8%」を誇るクラウド型健康管理システムだ(2024年5月時点)。このサービスと組むことで、chocoZAPの継続率も上がる。また利用料はGrowbase含め、従業員1名あたり月額1,000円(税別)と破壊的な価格設定になっている。

今後もさまざまな施策を通じて、収益の改善を図る動きが活発化していくだろう。2026年3月期および2027年3月期の営業利益目標が達成できるか、現時点で得られる情報から確信は持てない。しかし、中期経営計画の目標の達成可否にかかわらず、chocoZAPの今後の見通しは明るく、増収増益を続けていくはずだ。

次回に続く

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