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RIZAPグループの逆襲「chocoZAPの快進撃」Part3<2025年3月期通期業績見通し>

2025年3月期通期業績については、目標までの乖離があるため、決して楽観はしていないが悲観もしていない。長期投資という視点に立てば、強気姿勢継続である。

2025年3月期第3四半期終了時点の達成率は以下の通りである。

※単位:百万円

1年の4分の3が終了した時点で、営業利益の達成率2.9%、税引前利益と当期利益に関しては50億円以上も乖離している。進捗率だけを考えれば達成はあり得ない。しかし、決算資料をよく見ると大きく悲観する必要はないはずだ。

2024年3月期第4四半期の営業利益は大きくジャンプし、42億円をたたき出している。これと同様のことが今期も期待できる。

2025年3月期第3四半期決算補足資料 P7より抜粋

RIZAPグループは第4四半期に売上が集中するような企業ではない。それにもかかわらず、第4四半期になぜ営業損益が大きく改善できるのか。

まず「chocoZAPは構造的に黒字転換したビジネス」と認識する必要がある。営業赤字になるのは先行投資によって販売管理費が膨らむからであって、ビジネスの苦境が原因ではない。

以前も記載をしたが、chocoZAPは開店後6カ月でほとんどの店舗が単月黒字化を達成し、累積投資の回収期間は14ヶ月とされており、投資回収までの期間が極めて短い。

2024年3月期決算説明会 P28より抜粋

さらに、既存店の比率は期を追うごとに上昇し、利益構造の安定化につながっていると考えられる。以下は2024年3月時点のデータだが、今期は新規出店ペースを抑えているため、既存店の比率はさらに高まっているはずだ。

2024年3月期決算説明会 P29より抜粋

そして、以下は各四半期の数値であるが、2024年3月期第4四半期は販売管理費が大きく減っていることがわかる。(例えば第3四半期との比較では40億円減少)

ファクトシートおよび決算短信より作成

フィットネスジム運営の場合、販売管理費には、一般的に人件費・広告宣伝費・設備管理費(ex.店舗賃料・光熱費)、システム関連費(ex.会員管理システム費・アプリ開発費・Webサイト運営費)などが含まれる。そのなかで、グループ会社含め、自己の裁量で削減可能な広告宣伝費を中心に販売管理費の見直しをしたはずである。事実、2024年3月期決算発表資料から、第4四半期に広告宣伝費を大きく削減したことがわかる。

2024年3月期決算説明会 P38より抜粋

今期もこれと同様に、広告宣伝費などの裁量的支出を抑制することで、営業利益の大幅改善を図ると考えられる。もちろん確信は持てない。目標未達に終わる可能性もある。

しかし、重要なのは、chocoZAPビジネスがすでに構造的に黒字転換しており、裁量的支出(広告宣伝費など)の削減によって、いつでも大幅な黒字を計上できる点である。仮に第4四半期で60億円以上の営業黒字を達成すれば、2026年3月期の営業利益300億円という中期経営改革目標も現実味を帯びてくる。

※営業利益目標2026年3月期300億円、2027年3月期400億円の達成ができれば、2018年3月期の過去最高営業利益117.8億円を大きく超える

キャッシュフローも、営業キャッシュフローは2024年3月期第4四半期に80億円を超える黒字(2024年3月期通期は98億円の黒字)を記録するなど、4四半期連続で黒字を維持し、フリーキャッシュフローも2四半期連続で黒字となっている。

加えて、RIZAPグループは、SOMPOホールディングスと、健康・フィットネス分野での連携強化を目的とした資本業務提携を2024年6月に発表し、SOMPOホールディングスから計300億円の出資を受けている。これにより、手元資金に厚みが生じたことから、有利子負債の減少を通じ、最終利益の圧迫要因になっていた金利負担の軽減が今後期待できる。(ピーク時から有利子負債はすでに約140億円減っている。)

ファクトシートおよび決算短信より作成
※上の図は「流動負債」「非流動負債」の有利子負債の合計値
※支払利息の軽減は営業損益ではなく、税引前利益に影響を与える項目

「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載をするなど、経営状況が懸念されていた頃とは打って変わり、優良企業へ変貌を遂げつつある。

以上を踏まえて、2025年3月期通期業績については、決して楽観はしていないが悲観もしていない。長期投資という視点に立てば、強気姿勢継続である。

(次回に続く)

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