ビジネスや生活の中で「ゾーンに入る」要件とは?
TVなどで、スポーツ選手が「あのときはゾーンに入っていた」と言っているのを耳にします。ゾーンについて、長野五輪スピードスケート金メダリストの清水宏保選手の話です。
「神経は高ぶっているけど、肉体はどことなく力が抜けている。オリンピック選手はそれを動きの中で感じ取る。いつもよりも時間の流れや進みが遅く感じられる。金メダルを獲った悦びの前に感じる悦びや楽しみである。」と、金メダリストだからこそ知り得る境地について話をしたそうです。
また、オリンピックなどで何度も優勝しているスピードスケートの小平奈緒選手も「最後の瞬間がスローモーションのようになり、『もっとこの時間を味わっていたい』と感じたということです。
さらに、清水氏は、「このゾーンはアスリートだけそのものではない。熟達したサラリーマンにも似た現象はあるはず。日常の仕事の中でも集中したことにより仕事が熟すようなことがあるでしょう、それも1つのゾーン」と語ったということです。
昔は「ゾーン」という言葉はありませんでした。かなり古い話です。読売巨人軍に「打撃の神様」という異名を取り、日本プロ野球史上初の2000安打を達成した川上哲治氏がいました。当時の川上は、試合終了後に宿舎で深夜まで素振りをするなど、チーム内では練習熱心で知られていました。
そして1950年のシーズン途中に、多摩川のグラウンドで打撃練習をしていたところ、球が止まって見えるという感覚に襲われたということです。これが「ボールが止まって見えた」という有名なエピソードになりました。
この二つの話から、「ゾーン」に入ってしまうと、集中力が極限まで高まって、他の思考や感情、周囲の風景や音などが意識から消えて、感覚が研ぎすまされ、活動に没頭できる意識状態に入るようです。
自分でも、野球やサッカーを行ってきて、例えばソフトボールの場合、バットがボールに触れる瞬間、ボールが、ボワーッと大きくなることは何度か体験しました。大きくなりつつあるボールを感じながらバットを振ると、ボールは外野の向こうまで飛んでいきました。
こんな体験もしました。あるソフトボールの試合でのことです。打席(3番)に立ちました。投手の球はかなり速かったため、自チームのヒットはなしです。ボールが速いと緊張します。急速に負けないようにとグリップや身体に力が入ったり、始動を早めたりするわけです。
入社したての頃、戸田で社内のボート大会がありました。素人ばかりだったので、ボート部が漕ぎ方を教えてくれるというので、山中湖の合宿所に泊まりナックルフォアの練習をしました。
早朝、山中湖に漕ぎだし、静かな湖面を慣れない4人+コーチ(ボート部)の5人で、ボートを漕ぐ練習をしました。湖面の波が繰り返し静かに打ち寄せて来ます。「ひたひた」という静かで軽い音でした。心が洗われるような感覚になりました。
緊張しないようにと打席に立った瞬間、山中湖で感じた早朝の静寂と「ひたひた」感に包まれました。すべてが静かで、打席の周りやマウンド上の投手や放たれたボールも見ていたという感覚はありません。バットを振り切った感覚はありました。知らぬ間に、打球はセンターをオーバーしていました。
その当時は、不思議な体験だと思っていましたが、清水選手の話を聞いたりすると、これもゾーンだったのかなと感慨深く感じます。
このゾーンは、本当にビジネスに活用できるのでしょうか?
確かに、このような究極の集中状態は、スポーツ選手に限って起こる現象ではなく、仕事や勉強などのあらゆる場面で、「ゾーン」に入ることは可能なようです。
しかも、以前は才能と考えられていたようですが、今では、トレーニング次第で「ゾーン」に入ることは可能だということです。
そのための条件が書かれていたので、参考まで書いておきます。
① 夢中になれる「ゴール」を持つ
② 「好き」という感情を大切にする
③ 行動する前に「準備」をしっかり行う
④ イメージしてから始める
⑤ 「今」を選択する
⑥ 自分を「信じる」ことを選択する
⑦ 短い時間の期限を決める
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