- 運営しているクリエイター
#短歌
30首連作「サマーシーズン」
「サマーシーズン」夜夜中さりとて
まるでそういう仕組みのように缶ジュース飲み干すときに見える三日月
この道で猫が死んでたそのことをときどき思い出す加害性
水瓶は水で宅配ボックスは宅配物で充たされている
僕に迷路を与えて夜は得意気だ 得意気というのは想像だ
真夜中のビルを巡回するように生真面目なあなたの暮らしかた
一晩かけてコーラは泡を手放した、それはもうコーラが決めたこと
ボニーとク
連作「東京」(あみもの三十九号より)
あみもの三十九号に掲載していただいた連作「東京」です。
五ヶ月分の滞納額を支払いに営業所まで行く 徒歩で行く
この先もずっと高層マンションに僕が関わるとは思えない
みんな意外とそんなになんとなくでなく、僕だけなんとなくで、今、こう
元気かなって思って電話してみたら元気なおばあちゃんの説教
斬り合いのつもりで挑む内見の間合いの中でいただく名刺
春ですねって笑ってくれてコンセントの場所も一
連作「犬を触らない」(あみもの三十八号より)
あみもの三十八号に掲載していただいた連作「犬を触らない」です。
区境を意識しながら踏みしめる横にまっすぐ伸びていく雲
櫻井くんの看板が無くなっていて二度と会えない櫻井くんに
話すべきことなど何もないような気もしてここは左へ曲がる
好きな動画のコメント欄を見ないことむやみに犬を触らないこと
飛び移る、石から石へ、蜜蜂が花野にあってそうするように
パンを掲げてパン屋を出れば真昼間の三鷹に春
連作「息と雲」(あみもの第三十七号より)
あみもの第三十七号に掲載していただいた連作「息と雲」です。
ゴミ出しの楽しい時期がやってくる季節とかではなくてわかりますか
煩悩を数えたことがなく冬の息の白さにうろたえている
女とか男とかって言われたり思ったときに細くなる川
暗がりを、でも向こうから近付いてくる足取りで君だとわかる
転がっていく空き缶がいて寝てるおじさんがいてぶつかっていて
そういう雲が午後にはあってねむいときねむいと
連作「へらへら」(あみもの第三十三号より)
あみもの第三十三号に掲載していただいた連作「へらへら」です。
常に気は張り詰めている白いシャツでカレーうどんを食べるみたいに
殺し屋のような目つきで黒ずんだシャワーカーテン袋に詰める
また濡れるズボンを思う天啓として立ちのぼる雨の匂いに
ビビッドカラーのきのこみたいなアイデアが片隅にあり決して採らない
明るくない話題はどうも切り出せず余白に下手な花ばかり描く
ああやっぱそうなんすかねな
ネットプリント「夜夜中・ダイジェスト・さりとて vol.1」全文掲載
イントロ「夜夜中・ダイジェスト・さりとて vol.1」と題して、歌歴半年を記念したネットプリントが出ました。
2020/05/18~2020/11/18までに発表した既作品から自選三十首と、連作三編、計六十首を掲載しています。こちらのPDFからもご覧いただけます。
自選三十首とこしへに明かぬやうなり夜夜中さりとて雲はいづこへ流る
忘れてはいない約束 立ち入りを禁じられてはいない屋上
キャッ