連作「へらへら」(あみもの第三十三号より)

あみもの第三十三号に掲載していただいた連作「へらへら」です。

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常に気は張り詰めている白いシャツでカレーうどんを食べるみたいに

殺し屋のような目つきで黒ずんだシャワーカーテン袋に詰める

また濡れるズボンを思う天啓として立ちのぼる雨の匂いに

ビビッドカラーのきのこみたいなアイデアが片隅にあり決して採らない

明るくない話題はどうも切り出せず余白に下手な花ばかり描く

ああやっぱそうなんすかねなんかいま割といるって聞きますものね

舌先でワイン転がすときみたく分かったような顔だけ上手い

おそらくは注意欠陥障害と言われて医師にへらへら笑う

なにもかも流れていった、外側を、なにも流れてないイヤホンの

じゃなかった時が怖くて避けていたじゃなくないから怖くなかった

人はみな意図せぬほどに拝火教またライターをどこかに失くす

うっかりに名前がついて五千円 星に名前をつけてスマイル

臨時ニュースでは行ったことない国のビルが倒壊して爪を切る

目を閉じるたびに世界は終わってて僕は違いに気付いていない

刻々と夜を失う公園であのハトなんかデカくないすか

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