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老人ホーム入所中の被相続人が所有していた店舗兼居宅の宅地についての特例適用のポイント

老人ホームに入所していた被相続人が所有していた店舗兼居宅の敷地を、相続人である長男が取得した場合、相続税の「小規模宅地等の特例」がどのように適用されるかを以下に分かりやすく説明します。


特例適用の前提条件

  1. 特定居住用宅地等

    • 被相続人が「居住用」として使用していた宅地が対象となります。

    • ただし、被相続人が介護施設に入所していた場合でも、入所直前に居住していた宅地であり、その後他の人の居住や事業に使われていない場合は特例の対象となります。

  2. 特定事業用宅地等

    • 被相続人または被相続人と「生計を一にしていた親族」が事業に使用していた宅地が対象です。

    • 判定時期は「相続開始の直前」の状況で判断されます。


具体的な状況と判断

長男が取得した宅地の居住部分について

  • 被相続人が老人ホームに入所する前、長男は被相続人と同居していました。

  • 入所後は長男と被相続人の生計が別になりましたが、長男は引き続きその宅地の居住部分に住み続けていました。

  • このため、居住部分に該当する敷地は「特定居住用宅地等」として特例の対象となります。

長男が取得した宅地の店舗部分について

  • 被相続人が生前、店舗部分を長男に無償で貸し付けていましたが、相続開始直前時点では、被相続人と長男の生計が別々になっていました。

  • このため、店舗部分に該当する敷地は「特定事業用宅地等」の対象にはなりません。


特例の適用が分かれる理由

  • 居住部分(特定居住用宅地等)
    被相続人が老人ホームに入所する直前に居住していたかどうかが重要です。この場合、入所直前まで被相続人の居住用として使われていたため、特例が適用されます。

  • 店舗部分(特定事業用宅地等)
    被相続人と長男が「相続開始直前」に生計を一にしていたかが判断基準です。この時点で生計が別であったため、店舗部分は特例の対象外となります。


注意点と確認事項

  • 相続税申告期限までの状況
    特例の適用には、長男が相続税の申告期限までその宅地で居住や事業を続けていることが条件となります。

  • 注意が必要な点
    各特例には異なる判断基準があるため、対象部分が分かれる場合があります。事前に専門家に相談し、適用の可否を確認することが重要です。


このように、長男が取得した店舗兼居宅の敷地については、「居住部分」が特例の対象となり、「店舗部分」は対象外と判断されます。それぞれの要件をしっかり確認して対応しましょう。

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