クラウドファンディングによる被災地支援~個人の場合~
被災地支援の一つにクラウドファンディングがありますが、この資金調達方法には主に「寄附型」と「購入型」があり、税務上の取扱いは資金提供者(寄附者)と資金調達者(プロジェクト実施者)の立場で異なります。ここでは、寄附型を中心に、個人が資金を提供または調達した場合の所得税法上の取扱いについて解説します。
1. クラウドファンディングの概要と形態
クラウドファンディングは、インターネットを介して資金提供者と資金調達者を結び、多数の人から少額ずつ資金を集める方法です。被災地支援のプロジェクトでは、資金調達者がプラットフォーム上でプロジェクトを立ち上げ、賛同者が資金を提供します。
寄附型: 資金提供者から対価性のある返礼品は提供されません。
購入型: 資金提供者が支援の見返りとして物やサービスを受け取る形式で、実質的には売買取引と同様に扱われます。
(以下、寄付型を前提に述べます。)
2. 個人や個人事業者が資金提供者として寄附を行う場合
個人や個人事業者が寄附を行った場合、以下の条件を満たすと所得控除の対象になります。
控除対象となる寄附金: 所得税法で定める「特定寄附金」に該当するもの
対象例:
国や地方公共団体
公益社団法人・公益財団法人
認定NPO法人
社会福祉協議会 など
特定寄附金に該当しない場合、控除は適用されません。
3. 個人や個人事業者が資金調達者として寄附を受ける場合
資金調達者の課税関係は、資金提供者の属性(個人か法人か)や資金の用途により異なります。
(1)個人が、個人または個人事業者から寄附を受けた場合
所得税法上: 非課税所得として扱われます。
相続税法上: 災害見舞金や義援金で、社会通念上妥当と認められる場合は非課税。
(2)個人が、法人からの寄附を受けた場合
所得税法上: 一時所得として扱われ、他の一時所得と合算して50万円を超える場合に確定申告が必要。ただし、災害見舞金等に該当する場合は非課税。
相続税法上: 法人からの寄附は非課税。
(3)個人事業者が事業に関連する寄附を受けた場合
資金提供者が個人・個人事業者または法人のいずれであっても、事業所得の対象となります。取得した金額を総収入金額に含め、必要経費を差し引いた額が事業所得となります。
4. まとめ
クラウドファンディングを利用した被災地支援では、資金提供者と資金調達者の税務上の取扱いがそれぞれ異なります。特に「寄附型」の場合、控除の適用や課税関係は寄附先の属性や寄附金の使途によって判断されるため、適切に確認することが重要です。
国税庁:義援金に関する税法上の取扱いFAQ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/pdf/0018007-088_05.pdf