友達じゃないのに、無言でついてくるあの子。
高校時代はあまりトラウマや、黒歴史的な大きな出来事はあまり無かったが、唯一嫌だったことは友達でもないのに無言で、移動教室の時とか、グループ組む時とかについてくる子が嫌で仕方なかった。
その子とクラスが一緒になって「なんかついてくるな〜…嫌だな〜…」と思い始めたのは高校二年生のときだったが、一年生の私がぼっちだった時期から多分、目をつけられていたと思う。
確信はないし、あくまでも私の推測でしかないが、私が一年生のときに「あの子」を最初に見たときのことを鮮明に覚えている。
昼食を他のクラスの女子と食べる機会があった。一人で昼食を食べ終えた私はトイレに行くために席を一旦外し、教室に戻るといつの間にか「あの子」が私の席に座っていた。
別に、私の席に座ってはいけないというルールはないけど、「なんでわざわざ私の席に座っているんだろう?他の席も空いているのに…」という気持ち悪さを感じた。
そんな印象を覚えていたし、その子の見た目も覚えていたため、二年生になり、新しいクラスに行った時に気づいた。
が、特に何もしなかった。
一年生のときはとくに交流も無かったし、その子性格は知らなかったし、ただただなんか不快だったなぁ〜という印象をあの時、あの瞬間に抱いただけで何も知らなかったし…。
二年生になってからは友達ができた。その友達とは今でも連絡を取って遊んだりするくらい仲のいい友達である。
基本的にその友達と行動したりしていたのだが、
「あの子、後ろからついてきてない??」
という異変に気づいた。
それから、「あの子」がついてくるのが無くなったと同じクラスの女の子が話しているのを耳にした。「私の前にも、つきまとわれる人が居たのか!!」というのと同時に「あぁ、次は私の番なのか…。」と思った。
その時を境に、移動教室のとき、グループを組む時、体育のとき、修学旅行の班、校外学習の班、委員会活動のとき、クラス分けのとき……
ず〜〜っと、何をするとき、何のイベントでもついてきた。
それがすっっっごく嫌で仕方なかった。
しかも、ついてきてると感じているのは何故か私だけで、他の子たちは「あの子」に優しく接するし、自分たちのグループにも入れてしまう。特に何も感じていないし、何のストレスにもなっていないらしい。
まぁ実際、被害に遭っているのも私だけなのだろう。何故か私だけにしか執着しない。
二年生も三年生も同じクラスなのは私だけだったし、委員会は私と「あの子」の二人だけだけになってしまった事もある。放課後まで残る授業で、同じクラスの人間は「私」と「あの子」ともう1人の「可愛い女の子」だけになってしまったこともある。
その可愛い女の子は特に関係の無い子なので勿論「あの子」のつきまとい被害は受けない。実質、「私」と「あの子」だけの関係が発生する。
つきまとわれるだけならいいじゃないかと思うかもしれないけれど、こちらとしては結構苦痛である。というより、なんか舐められているような感覚を覚える。「こいつならついて行ってもいいんじゃねぇか?イケるんじゃねぇか??」みたいな。あくまでも私の被害妄想ですが…。
それに仲良くしたいのならそれなりの態度を示して欲しかった。
喋っても全然声が聞き取れなかったり、私と一緒に委員会に行きたかったけど声をかけることが出来ず、廊下で右往左往してたり、前を歩いていたと思ったら振り返って急に向かってきて、また元に戻って普通に歩いて消えて行ったり…。
挙動不審で、何がしたいのか分からないし、そもそも怖い…。
その子はその子なりに行動に移して頑張っていたつもりなのかもしれないし、何かしらの問題を抱えていたのかもしれないし、私が手を差し伸べればよかったのかもしれないけれど、そんなこと私にはできない。そこまで優しくはなれなかった。
「だったらちゃんと拒否すればいいじゃないか」言われるかもしれない。
確かに言葉で「嫌だ」と伝えたことは一度もなかった。ちゃんと伝えればキッパリやめたかもしれないけれど、私もコミュニケーションは苦手な方の人間だったのでそんなことは伝えられなかった。
あと、いじめじゃないけど、相手はそんなつきまとってる意識が無いと言われれば、私がむしろ「嫌だ」と伝えることで加害者になってしまうのではないか?と思ったからだ。
実際、被害に遭っていると感じているのは私だけだし、大きな証拠も無い。その子に「いじめられました!!」と報告されれば私が立派な加害者になってしまう。
でも、ある程度のことはやった。いじめにはならない程度で反抗的な態度を示したし、先生にも一応伝えはした。まぁ、そんな大問題でもないし、個人的なことだから何にもしてくれなかったけどね…。
結局、このぐらいの対応が一番良かったのかもしれない。友達も含めて、ガン無視するように仕向けたらそれこそ、いじめになっちゃうし…。優しくしてあげる人員が少しいるくらいでバランスが取れてたんだと思う。
それ以外の陽キャ的な人はやっぱり「あの子」の異質さというか、傍から見てるだけでも変わってるの分かるから、からかってたし…。
今思うのはどうしたら良かったのかな〜って…。あれがベストな対応だったと思えば、まぁ良かった対応ではあるんだけど、いくつか選択肢というか当時も色々葛藤していた。
見た目も前髪をピシッと分けてピンで止めていて、髪は一つに結んでいて、細い縁のメガネをかけていて、服装も乱さずちゃんとしている。
…がお世辞にも可愛いとは言えなかった。
「きっとこれで可愛い子だったら受け入れてるのになぁ〜…」と何度思った事か…。可愛くなるようにプロデュースすればいいのか!!とか色々考えたけど、そんな浅はかな考えを持つ自分に嫌気がさした。
「可愛かったらそんなことしねーよ!!」という家族のナイスなツッコミも入った。確かにそうだよね…。
可愛くするという案はそこで却下した。
また、攻撃的になるという案も浮かんだ。これはいじめになっちゃうから、実際にはやらないんだけど、当時の私には相当なストレスが溜まっていたんだと思う。それに、相手は強く言わないと多分やめないタイプだと思う。多分自覚してやってるだろうし…。自覚してようがしてまいが、その神経が嫌だったんだけどね。
「あの〜…ちょっと〜…なんかついてくる感じの…やめて欲しいんだけど〜…ね……。」みたいな感じでやんわりと伝えても絶対にやめない。
まぁ、でもこれも勿論、却下。そんなこと出来る自信も勇気も無いし、してはいけない。
そんなことを考えたりしながら、結局、2年間その子に悩まされた。色々迷ったからこそ色んな選択肢も出てきたし、色々な思いもした。けれどやっぱり私は仲良くなれない。手を差し伸ばしたとしても、仲良くなれない。やっぱり、仲良くなれそうな人、気の合う人としか友達になれない。
それに私には人間として…というか、「ぼっち」としてのポリシーというかプライドというか、最低限のマナーとして、不快感は与えたくないし、迷惑もかけたくないと思っていた。
ぼっちは「悪」では無い。けれど不快感を与えているという理由から孤立してしまうこともあるだろう。
確かに、一人で行動していると移動教室の時とか無意識に誰かについて行っちゃったりする。行き先が合ってるかどうか不安だし…。でも、全然友達でもない人がずっとついてくるのは不快だと思ったので、それは真っ先に改善した。
見た目も究極に可愛いとかは目指さなくてもいいけど最低限、気をつけたし、ある程度クラスに馴染めるようにはしてる。
だからこそ、ついてくる「あの子」のことは理解出来ないし、やっぱりついて来られるのは不快だなと「あの子」につきまとわれて改めて感じた。
何故か私は「優しい」というラベルを貼られがちで、「天使!!」とか「癒し系!!」とか言われることもあったし、小学生の時は優しい人を目指して頑張っていた。
けど、天使とか言われてあんまりいい気分にはなれなかった。というか、「優しい=都合のいい人」だな〜。と感じるような出来事も増えていった。
優しいと舐められる。自分だけが損をすることもある。この時もそうだと思う。優しそうに見えるからついてきたんだと思う。
でも、優しい=損をする。では無い。
話しかけられやすいのは色々な人と交流するキッカケにもなるし、柔らかいイメージを与えることが出来るのも悪い事では無いし、上手く活用する事も出来る。
それでも、傷つくことは避けられないので、人に優しくするなら、優しくしたいな〜と思った人にだけ優しくなれるように…もう辛い思いはしないようになりたいなと思った。
あとちゃんとコミュニケーションをとったり、やっぱり不快感を与えるような人間にはなりたくないな、と感じた。
長文ですが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。