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よる
2023年1月22日 04:47
隣りに寝ている女は僕の本当を知らない。女はよく食べ、よく笑う。僕のはなうたを聴いて涙をながし、瞳のなかをのぞいて憤る。白くて柔らかい肌を吸い上げると小さく嬌声をあげて、僕の身体を強く締め上げる。女は傲慢で罪深い。僕の魂を留めようとする。女の髪は短く、微かに木材の香りがする。振り向いてもこちらを見ていない。僕を見透かしてどこか遠い過去を覗いている。僕は嫌になって鍵盤を叩くけれど、女はもっと大きな音を