夢の原点
今日、大学一年生の短期バイト君に、
「ゆうきさんっていつ夢をみつけられたんですか?」と聞かれた。
その子はまだ大学生になりたてで、なりたい夢も今のところなくて、
ただ学生を過ごしている感じ。
「いろいろやってみてはやくやりたいこと見つけたほうがいいよ」
と自分が喋った返しがそれでふと考えた。
いつからケーキ屋になりたかったんだっけ?
多分そんな昔のことじゃない。
学生時代は部活でやっていたバスケットボールが全てで、
それがない生活なんか考えられなかったけど。
いざ部活を引退してバスケをしなくなって、進路を真剣に考えなきゃいけなくなった時に、最初は大学に進もうかと思っていたけど、
なんの目標もなく大学生活をするのは無駄かなとも考えていて、
最終的には実家がレストランをやっていたのもあって、料理人になるのかなと思っていた。
実際親に教えてもらいながら料理も少し教わったけど、
お菓子の道に進んだきっかけは料理人の父親が
「これからは料理よりお菓子のほうが儲かるぞ」
という言葉。
なにも知らなかった当時の自分はただ儲かるというだけでパティシエの専門学校に進んだ。
今思えば、パティシエブームはとうに過ぎ去っていて、コンビニのスイーツも進化していってるし、お店をやるときの機械の初期投資もお菓子のほうが全然かかるので儲かるのは嘘だと学生の時は思っていた。
正直、高校生の時にお菓子の道に進んだときには夢を見つけたなんて全然思っていなかったけど
専門でお菓子を作り始めて、特に個人でコンテストに出品した時を境に、
自分がパティシエに熱中しているなと思った。
特別手先が器用でお菓子作りに向いていた、というわけでもなくて
毎日失敗の連続で、知識も小さいころからお菓子を作っていた人に比べたら全然だったけど
だからこそ誰よりも勉強しようと思ったし、練習しようと思った。
パティシエになれた後も、販売で行う包装も同期のなかで一番へたくそで、
先輩にセンスがないって言われた。
だからこそ誰よりも練習した。
真っ暗の中で1つだけ明かりをつけた販売スペースで
たかが包装に何時間も毎日やり続けた。
気づいたら包装のテストは自分が同期の中で一番早く合格していた。
クリームの絞りも一番に合格し、メッセージのパイピングも同期で一番に受かった。
けど練習時間は同期で断トツで多かったと思う。
他の人は要領よく合格していく中、自分は要領悪く何時間も人より練習していた。
センスはなかったのかもしれない。
けどやらない理由にはならなかった。不器用ってわかってたからこそ
器用なやつらに負けたくなかった。
だから何倍も練習した。
結果はちゃんとついてきた。それがすごくうれしかったし、
きっと自分にセンスがあったならここまで突っ走ってなかったと思う。
気づいたら熱中していた。自分のお店を開くのが夢になっていた。
いつから夢をもったかと聞かれると何とも言えないけど、
センスがないありのままの自分だったからこそ、今の夢を見つけられたと思う。