【SDGs】広告制作会社がつくった、シュレッダーゴミから生まれたポチ袋
私が勤めている広告制作会社では、若手から始まったSDGsの取り組みがあります。
その名は「PAPER CYCLE PROJECT」です。社内ではPCPと呼ばれています。
会社では広告をつくるために毎日たくさんの紙を印刷し、その紙が大量のシュレッダーゴミになります。他の会社と比較すると、とてつもない量なのですが、私たちにとっては当たり前の感覚になっていました。
プロジェクトは、この"違和感"から始まりました。
毎日使う紙のために、広告制作会社だからできることはないだろうか?
シュレッダーゴミをアップサイクルし、そこにデザインの力を加えて、新たな紙プロダクトに生まれ変わらせようと考えたのです。
PCPは2021年から活動が始まり、まずは封筒をつくりました。
配布したところ、社内や取引先の方にたくさんの反応をいただきました!
それだけでなく、封筒ができるまでの過程を書いたnote記事もビュー数が多く、一般の方にも興味・関心を持ってもらえる取り組みであることがわかりました。
PCPの立ち上げと封筒ができるまでのストーリー▼
このプロジェクトは、一度やっただけでは終わりません。SDGs(=持続可能な開発目標)を掲げた通り、続けることが重要です。
今回は続きとなる、第2弾の取り組みについてお話しします。
縁起のいいポチ袋
PCPメンバーで新たなアイデアを模索し、2022年の年末につくったのがこちら。
写真だとサイズ感がわかりにくいかもしれませんが、ポチ袋です。
お正月に合わせて、松や梅など「縁起のいい植物」をモチーフに、5種類のデザインをつくりました。
縁起のいい植物の由来に関しては、WEBサイトで詳しく紹介しています▼
表面に細かい粒のようなものが見えるのは、再生紙だからです。独特な色味は、リソグラフ印刷を使うことで、できあがりました。
リソグラフ印刷とは、「デジタル孔版印刷 」という印刷技法です。技法はデジタルなのに、色むらやかすれがあり、版画で刷ったようなアナログ感が出ています。インクの乗った質感が、なんとも味わいのある仕上がりになるのが特徴です。
このポチ袋を社内で配布したところ、とても好評でした!
すぐに在庫がなくなり、追加で補充しました。
好評だったことを受けて、違うバージョンもつくりました!
運気の上がるポチ袋
テーマは「開運」です。
運気をあげる、開運をもたらすと言われているものをモチーフにしたデザインです。前回よりバリエーションも増やし、7種類つくりました。
さらに、ちょっとした遊び心も加えました!それが裏面に記されている、開運メッセージ。
よりみちコピーライターのシノとハギが案を出し合い、楽しく考えました。
メッセージを考えている2人の気分が上がったので、もらう人はもちろん、渡す人にも楽しんでもらえるはず!
7種類の中から何を渡されるのか?おみくじのようなワクワク感も。
それぞれの開運メッセージはこちらから読めます▼
ここまではポチ袋について紹介しましたが、ここからは裏のお話。
なぜ、ポチ袋をつくったのか?そのストーリーをお話しします。
なぜ、ポチ袋をつくったの?
ポチ袋は、PCPに関わるみんな(デザイナー、コピーライター、営業)で会議を重ねた結果、つくることが決まりました。
さまざまな紙プロダクトのアイデアが出た中で、ポチ袋を選んだ理由は2つあります。
一つはポチ袋が「日本の伝統の物」であること、もう一つは「人の手に渡る物」であることが理由です。
お年賀にぴったりな品物
ポチ袋といえばお年玉をはじめ、ちょっとしたものを渡すときに役立ちますよね。
制作を進めるタイミングが年末に近かったので、年明けにお年賀として配るのにちょうどいいのでは?と意見が出ました。
わたしたちの会社では毎年、取引先の方へ自分たちがつくったプロダクトをお年賀として渡す習慣があるのです。
また、さまざまな種類のデザインをつくれることも、デザイナーの個性を出す上で重要なポイントでした。
人から人へ伝わる贈り物
もう一つの理由は、ポチ袋はだれかに渡すものであること。人に渡すということは、渡す人ともらう人の間でコミュニケーションが生まれます。
小さな袋が、人と人とのつながりを築くきっかけになることは、とても魅力的だと思いました。
縁起のいいポチ袋では、「小さな袋で、縁をつなぐ。」をキャッチコピーに、さまざまな人の手に渡る中で、紙のことを考えるきっかけが生まれたらという思いでつくりました。
運気を上げるポチ袋では、「小さな袋で、運をあげる。」をキャッチコピーに、ポチ袋をあげることで、春の新たな出会いやお世話になっている人とのコミュニケーションを増やそうと試みました。
実際にポチ袋が好評だった理由の一つは、人に渡しやすいことでした。
また、1人の新人から生まれました。
冒頭で「PAPER CYCLE PROJECT」は、たくさんの紙を使って捨てること、その違和感から始まったとお伝えしましたが、これは1人の新人が気づいたことでした。
今回のポチ袋も、1人の新人デザイナーのアイデアから生まれました。そして、他の新人デザイナーも協力し、色とりどりの個性あふれるポチ袋を完成させることができました。
このことも、PCPにおいてはとても重要なことです。
会社の中で染みついてしまった価値観を、自分たちの手で変えていく、そんなパワーや可能性が若手のみんなに秘められています。
できあがったポチ袋を見て、私は感動しました。自分が今まで目にしてきたポチ袋よりも、はるかに魅力的だったからです。
これは1枚1枚の小さな袋に、若手デザイナーの個性や思いが詰まっているからだと思います。
いつかは多くの人の手に
この記事を読んで、ポチ袋が気になる!ほしい!と思ってくださった方もいるかもしれません。
残念ながら、まだ販売には至っていません。
まずは、社内の意識を変えることを目標にしていたこともあり、社内や取引先のみなさんを中心に配布しています。
しかし、手で触れて紙の未来について考えるきっかけになるプロダクトを、もっと多くの人に届けたいと思っています。
その夢が実現した際には、またお知らせします!
今後も「PAPER CYCLE PROJECT」について記事化しますので、SDGsに興味がある方、自分も何か始めたいと思っている方のお役に立てれば幸いです!
文:ハギ
@よりみちコピーライター
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