「ずるい」から読み解く、令和流の頑張らない働き方
2022年の流行語大賞を見たのですが、ほとんどピンと来なかったハギです。
あれって誰が決めてるんだろう。
流行語大賞には入っていませんが、個人的に気になっている言葉があります。
それは「ずるい」です。
ビジネス本のタイトルで使われる「ずるい」という言葉
きっかけは、元テレビ東京のプロデューサーである佐久間宣行さんの『ずるい仕事術』という本を見かけたこと。
「ずるい」は日常的に使われている言葉ですが、「ずるい」と「仕事」を結びつけるタイトルが新鮮だったのです。
他にもないかと調べてみると、ひろゆきこと西村博之さんも「ずるい」を使ったタイトルの本を出していました。
Amazonを見た感じ、どちらの本も売れている模様。
知名度や人気があるから売れていると思いますが、タイトルの「ずるい」も結構効いてるんじゃないかと思うんですよね。
「ずるい」って本来どういう意味なのか、改めて確認してみましょう。
こうやって見ると、「ずるい」という言葉はあまり良い意味とは言えません。「仕事でズルするやつ」って聞くと、イメージ悪いですよね。
ですが、2冊の人気ビジネス本で「ずるい」はプラスの意味で使われています。
「ヤバい」が「すごい」みたいな感じで使われるようになったのと似てますね。最近は「エグい」のほうがよく聞きますが(これも気になる言葉ではある)。
「ずるい」がなぜプラスのイメージを持つようになったのか?
なぜ今「ずるい」という言葉がプラスのイメージで使われているのでしょうか?
先ほど例に挙げた2冊の表紙にそのヒントがありました。
消費しない、戦わない、ラクをする。
これらは言い換えると、"頑張らない"ことを意味するのではないでしょうか?
「ずるい〇〇」とは、つまり、頑張りすぎないコツなのです。
今、この"頑張らない"が「ずるい」にプラスのイメージをもたらしていると言えます。
頑張らないブームの背景は不景気?
仕事に限らず、「無理して頑張らなくていいじゃん」という風潮はここ数年あらゆる場面で見受けられます。
ひろゆきの著書でもありました(笑)もう頑張らない日本代表ですね。
私も大切なものを犠牲にしてまで頑張りたくないし、無理せず自分のペースでいることが幸せなんだという考えには共感します。
では、なぜ頑張ることに意味を見出せなくなってしまったのか?
ひろゆきはとあるインタビューで、「楽しく生きることがトレンドになっている理由は?」という問いに対して、「不景気だから」とバッサリ答えています。
景気が良いときは頑張った分だけボーナスや昇進が望めますが、不景気だと残業代も厳しい。世知辛いですねぇ・・・。
がむしゃらに頑張るのは、損をするのでしょう。
佐久間さんの本で言うなら、会社で頑張った分だけ「消費」されてしまう。
ただ本当にサボってしまうと仕事に支障が出るから、もっと良い方法=ずるいやり方があるよという流れになるわけです。
本のレビューを見ても、「気持ちが軽くなる」「考え方を変えることで生きやすくなる」「もっと認められていいはずなのに結果が伴わない、そういう方々の処方箋になる」というコメントを見つけました。
真面目に頑張っても報われない思いを抱える人たちがいることが分かりますよね。
「ずるい」は、令和の空気を見事に含んでいる
不景気という背景から「ずるい」が持つ言葉の価値が変化して、「ずるい○○」=「生きづらい今をうまく生き抜く方法」のようなイメージになっているのだと思います。
「ずるい」って本来はマイナスの意味だから他の言葉がいいんじゃない?っていう意見もあるかもしれません。
でも、「賢い仕事術」とかって言われると、違うんですよねー。
「賢い仕事術」はその通りだけど、ほとんどの人に刺さらないでしょう。そのまますぎて目に止まらない。
それよりも、令和の時代を匂わせる「ずるい」って言葉が刺さる。
不景気が続く中で、これからも「ずるい〇〇」は出てくるだろうな〜と予想しています。
ここまで読んでいただき感謝です!
みなさんの中でも、私的流行語大賞があれば、コメントでぜひ教えてください〜!
文:ハギ
@よりみちコピーライター
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