日記帳1-2023。助成金報告書を書きながら。
今絶賛助成団体への報告や決算作業を2プロジェクト分していてなかなかつらい。
ひとつはリサーチのO_V(オーブ。有機性とデジタルの融合の意味。)で、もうひとつは海女作品。O_Vは有機生命や自然とデジタルとの関係性に関するリサーチでもう一つは鳥羽の歴史文化資源である海女。全く違うように見えて、実は根っこのところで繋がっていることに気づく。自分が40歳を目の前にして、かつ子どもなんかも産み育てて生物としての役割は完了した気がしているというか、今が江戸時代なら数年前に死んでるなとリアルに感じていて、その中年気分が最近の自然物と人間やデジタルとの関係性見直しにモチベーションを駆動させているのは間違いない。
同時に、大学時代にコンテンポラリーダンスという身体メディアの可能性の底のなさに感動してこの道に進んだのは、あらゆる世界の領域を包摂し得ると直感したからで、ここ数年自然科学系や生態学、人工知能などの本を読みながら実感している。
感性や感覚、意識などを扱う哲学や社会学や文化人類学などは人間と身体をメディアにした芸術である以上切り離すことができないが、デジタル技術やそれらを利用した研究が発展した昨今、従来の人文学的知見と数学や物理、生物化学知見とのボーダーが一挙に融けたように感じている。
ダンサーとか踊りを追究している人たちは、この途方もない世界の森羅万象とわたしという個人との結節点について、実践を通して感じている人が多い。いわゆるゾーンというような状態に近いと思うのだが、私も20代はその豊かで深淵な瞬間を糧にダンサーとして身体を酷使してきた。そして今2023年となっては、自然科学研究レベルでその結節や包摂性が証明されてきていることにとてもワクワクする。その文脈であれば、ダンサーや踊り手や、舞台作品の価値が少しでも伝わる世の中になりうるような気がする。
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