「むちゃぶりノート」制作秘話:ゲーム制作の現場から5
「むちゃぶりノート」のクラウドファンディングがはじまった。
最初の打ち合わせが、2020年の6月なので、およそ1年と3カ月、フルリモートで開発した「発想トレーニング文具」だ。
フジイ印刷さんは岡山で、米光は東京。しかもコロナ禍ということで、いちども(いまだに!)会ったことがない。
毎週、Facebook messengerのビデオ通話でうちあわせをし、10種類以上のプロトタイプを試し、改善に改善を繰り返した。
おもしろかったのは、プロトタイプができてからだ。「むちゃぶりノート」のプロトタイプを使って、むちゃぶりノートそのものを改善していった。
「むちゃぶりノート」は、テーマを決め(集中)、考える内容を要素分解して(分解)、むちゃぶりくんシールを使って「むちゃぶり」されて(驚き)、そのむちゃぶりをベースに新しい視点で考え直す(再構築)という仕組み(集中→分解→驚き→再構築)を、シールとノートを使って簡単にできるようにした発想トレーニング文具。
プロトタイプ版では、「むちゃぶりノート+マニュアル」の組み合わせだった。
このプロトタイプ版で、「むちゃぶりノート」をテーマにやってみた。
最大のむちゃぶりは「マニュアルを消し」だった。いやいや、マニュアルは必要でしょ、マニュアルがないとさすがに使えないからなー。むちゃぶりすぎるよなー。
「むちゃぶりノート」のいいところは、ここだ。考えないようなことを考えざるをえなくなる。
「マニュアルは8ページぐらいに?」「消す?」等とメモっている。
もうひとつのむちゃぶりは「Goodの人で」。Goodというのは評価シールだ。それを「人で」って意味不明だ。意味不明でも考えるのが面白いところ。
さらに「シールを重視」「ノートを壊し」と出た。
「ノートを壊し」で「ドリルに?」等、あれこれ考えている。
評価シールをもっとキャラクター化するのはどうだろうと思い付き、ページ内にむちゃぶりくんが出てきてアドバイスしてくれるというアイデアが降りてくる。
そこからの連想で(「ノートを壊し」でドリルを想起したこともつながっているかもしれない)、マニュアルじゃなくて、チュートリアルだ!とひらめく。
マニュアルとして別冊にするのではなくて、1冊目は、実際に「むちゃぶりノート」をやりながら習得していくチュートリアル本にすればいい。
まず簡単な使い方の解説があって、次のページを開くと、それに従って実際にやってみるページ。次を開くと、さらに詳しい解説。10セッションぐらいをやりながらじょじょに習得していけるように導く。
マニュアルで分冊にすると、まずマニュアルを読んで(しかも、手を動かしてないからイメージしずらいまま読むことになる)、その後にやることになる。「やり方をがーーーーって説明して、あとはやってみて」っていう不親切な先輩の指導みたいになる。それはハードルが高い。
チュートリアル本の構成にして、実際にやってもらいながら、やっている背後で、「そこはこうするんだよ」と随時教えてくれる先輩みたいな方法で習得してもらう。
マニュアルをわざわざ読んでもらうのではなく、習得する楽しみを味わいながら進めてもらうようにする。
という構想がまとまって、チュートリアル編に進化していったのでした。
と、まあ、いろいろな試行錯誤を繰り返して完成間近の「むちゃぶりノート」、楽しく発想力を鍛えるノートです。クラウドファンディング中、ぜひー。
ストレッチゴール、サポーター200人超えで「むちゃぶりカード」ができます。これを目標にがんばっています。
「むちゃぶりノート」は、ジャンル的には「発想トレーニング文具」。っても、新しく勝手に作ったジャンルだけど、まあ、もともとはゲームからの発想だから、ちょっとだけゲームとしてどう開発したか振り返ってみる。
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