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米村教授と行く!大塚国際美術館第三弾 の第二回!ルソー!キター!
皆様こんにちは。
3連休明け(個人的には4連休)、台風一過ですっかり秋の陽気な
徳島大学細胞生物学分野・ヨネケン秘書のあべみょんです。
私が休んでいる間に、
我らが米村さんがお誕生日を迎えました!!!
離れて暮らす奥様からのお祝いは、台風のため一週持越しだそうですよ(^^)/楽しみがちょっと延びただけ?(トトロ さつきとメイのお父さんのセリフより)
ということで(?)
米村さんと行く、大塚国際美術館 第三弾の第二回!!!いっちゃいましょうかー。
第三弾 第一回をまだ受講されてない方はこちらから↓
それでは今日も、勝手に山田五郎 オトナの教養講座とコラボして早速いっちゃいまSHOW!
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第1回の印象派展に出品され、印象派の名前の由来となったといわれる作品。意識的に筆跡を示して、より直感的な印象を見るものに与えようとしています。一瞬の印象なので、画面の隅々まで克明に書き上げてしまうと、かえって印象の最も強いところが薄れてしまう。それまでの技法よりもっと心の中に訴えかけるものがあるはずだという模索の中から新しい技法が生まれてきていますが、その新しさ、面白さを素直に受け取ることのできる人は少なかったようです。筆跡をそのまま残す(それまでは全く筆跡がわからないようにするのが基本)のは、通常の水面であれば小さな波が立つことで、より実際に近く見えるため、水辺の景色は好まれたのかもしれない。
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やはり水面は筆触分割の技法には好適と思えます。絵の具を混ぜてから塗るのではなく、混ぜずに隣接して配置し、人の目と脳内で混合させることにより、光の場合、色を全て混ぜると白く明るくなり、絵の具の場合は全て混ぜると黒になってしまうという問題を改善しようとしていることも特徴。
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日本趣味と妻カミーユへの愛情が発露しています。それにしても印象派は輪郭を明瞭に描かない特徴があるそうですが、浮世絵はむしろあり得ないくらいに単純で明確な輪郭があります。その辺りの違いについてどう折り合いをつけたのでしょうか。構図や平面的な表現が斬新だったということだろうか。このカミーユはこの数年後亡くなりますが、この後の日傘の女、睡蓮などについてモネがどうしてそう描いていったかについては、山田五郎さんのyoutube動画を覗いてください。
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同じモチーフで何点か別の絵もあります。爽やかな風を想起させます。単に精細に描くよりも見るものそれぞれが、これまでの経験の中での情景を思い浮かべるようなこともあるでしょう。日傘の女は1875年にも描かれています。1875年の作品では女性の顔がわかるように描かれ、この1886年の作品(もう一つある)では顔がはっきり描かれていない。さらに、この作品ののちにモネは人物画を描かなくなり、睡蓮ばかりを修行のように描き続けます。そのあたりはどうしてなのか。
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モネの後期はほぼ睡蓮のみが描かれたという。これも日本人には親しみやすい。
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ルノワールも印象派の代表的な画家で、光に満ちた屋外での群像ということでルノワールらしい。
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この絵はモネにも近く、筆触分割が明瞭に見られる。
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日本趣味も明瞭に出ているルノワールらしい人物画。比較的前期の絵。元々風景より人物に興味のあるルノワールは、印象派に対する酷評、経済的困窮から、筆触分割の技法、黒色の排除、輪郭を明確に描かない技法などからやがて離れるようになります。
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元々ドガはサロンにも何度も入選した画家ですが、サロンの古い考えへの反発から新しい印象派に賛同していてサロンへの応募をしなくなったらしい。印象派は光の鮮やかさ、明るさを重視して、アトリエでなく戸外にキャンバスを持ち出して絵を描き始めたことも特徴ですが、ドガは戸外の明るい光に耐えられない網膜の病気を患っており、あくまで主として屋内を描き続けました。気難しく、女性が好きだが恐怖症で目を合わせることもできないということで、ドガは多くの踊り子や浴女を描いたものの、視線が作者に向いているものはありません。わざわざ黒い服の紳士を書き込んでいますが、当時の踊り子はパトロンがついてようやく良い生活ができるというような職業で、踊りを終わるのを待つパトロンがいることもドガはどうしても描きたくなるようです。それにしても踊りの一瞬の動きの美しさの印象としての表現に素晴らしいものがあります。
ここで突然敏腕秘書。
山田五郎×ドガではこちらの動画も面白かったです↓
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マネの草上の昼食がサロンに落ち、その裸体は酷評された、その年にサロンで絶賛された作品。ヴィーナスのことだと言えば、このポーズ、表現でもOKで、マネの方は至極大人しいポーズなのに穢らわしいとされました。この作品自体はルネッサンスの頃を彷彿とさせるもので、中国のワインのラベルにもなっているそうで、中国人ならよく知っているらしい。
この動画の7分あたりから、カバネルのヴィーナスの誕生についての話も出てきます。
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ムーラン・ルージュはこの絵が描かれた数年前にパリのモンマルトルに開店した「赤い風車」という意味のキャバレーで非常に有名で観光スポットでもあります。ショーを行なっていて、踊り子、歌い手などが出演していました。ロートレックはそのような酒場に足繁く通い、娼館にはほぼ住んでいるようなものだったらしい。場末の人間像を好んで描き、依頼者の意に反しても特徴を捉えて強調したため、依頼者に受け取りを拒否されることもあったそうですが、どんな人でも同じように忖度なく扱うので嫌われなかったそうです。
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これは大塚美術館にはなかったもの。このようなポスターは浮世絵の影響を強く受けていることがよくわかります。よくよく見ていい絵だというのがこれまでの絵画の一般だとすると、印象派は一瞬の印象を捉えて見る人に喚起させることを開発し、ロートレックは浮世絵の形、構図、ベタな配色を取り入れ、一瞬で目を引くことが必要な商業ポスターを芸術の域に高めたということなのでしょう。産業革命、民主主義の台頭で、絵というものが少数の富裕な依頼者の需要を満たすものよりも、より多くの市民、そして商業に関係する依頼に対応するものが求められるようになってきて、印象派などの新しい技法が出てきたのでしょう。その点では日本はいち早く、版画としてある程度量産できる浮世絵を多くの市民が支えていて(民主主義や産業革命はまだだったが)、ヨーロッパからは、先を行っているなと憧れられたのでしょう。
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写真 足が短い。これは両親がいとこ同士ということもあり、遺伝性の骨の病気ということらしい。ロートレックは名門の貴族の家柄で、フランスブルボン王家よりも古いそうです。伯爵家の長男として生まれ、代々の軍人の後を継ぐことが期待されていましたが、このような障害を持ってしまったため、当然馬にも乗れず、後を継ぐことができません。障害に対する蔑み、期待に応えられない辛さを経験していましたが、ロートレック自身は他人を決して差別しない人だったといいます。また入り浸った娼館などは差別のない世界でもありました。名門の跡を継ぐことができず、それでも貴族としての経済力で絵の世界に入ったが、それに対して後ろめたい気持ちは強い。やがて商業的にも成功し、「僕は自分のデッサンで自由を買い取ったのだ」と言い残しています。 しかし、骨の病気により体は痛み、酒量が増え、幻覚を見るようにもなり、母親の邸宅である城で亡くなりました(36歳)。 山田五郎 オトナの教養講座 のロートレックの回は秀逸です。
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週末にパリ市民が多数訪れたセーヌ下流の中州であるグランド・ジャット島。スーラは印象派が始めた筆触分割をさらに進め、科学的にも根拠のある点描(スーラは色彩光線主義と呼ぶ)を始めました。すでに述べましたが、より細かく光の三原色を配置することで、目の中で混合された色彩を作り出し、自然に近い明るさを表現するということです。さらに少量の補色を配置することで色を際立たせます。確かに本作品もなんだか眩しい感じの明るさがあります。
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セザンヌは第1回の印象派展にも出していますが、その中でも異色というか、質感の表現や遠近法など、技量においてかなり劣っていました。評価は低かったが描き続け、そのうち、現実に近く描くより、そっくりに描かなくても良い、むしろ自分が描けるように再構成する、構図と色を本質として絵画として成り立たせることに力を注ぐようになり、やがて時代が追いつきます。ピカソやブラックがキュービズムを始める大きな影響を与えました。そういう点で、写真では絶対にできない表現としての絵画の中で印象派などをさらに超えて、現代絵画の父と呼ばれるそうです。と、いうことは美術史をかなり良く理解し、基本的な絵画の技量を理解して初めてセザンヌの他にはできない表現に独特さ、新しさを感じるということになります。つまり、あれもこれもおかしいが、それを軽視、無視しても、構図や配色がいいじゃないか、自然から素晴らしい本質を抽出して表現しているということになります。その意味で、小学生がセザンヌを見て素晴らしいと思うなら、神童と言われる技量を持っていたピカソ並なのかもしれません。
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スケッチブックを持って楽しそうに出かけるゴッホの自画像。ゴッホの悲しい生涯を考えると、このような微笑ましい絵があるのが嬉しい。
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ゴッホに夜景のイメージはなかったが、これはいい。まさしくこの情景を撮った写真よりもはるかに訴えかけるものがあるだろう。
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明るくて楽しい、可愛らしい絵で、こういうのがあると心が少し明るくなる気がする。ゴッホのこういうところは実にいい。
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ゴッホに共同生活を強く望まれ、渋々アルルに行きますが、やはり他人と適切な距離をとることのできないゴッホに閉口して出ていきます。その時に、ゴッホは自分の耳を切るという事件を起こし、病院に収容されます。
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印象派の一員だったゴーギャンですが、印象派の特徴的な筆触分割も輪郭のぼかしもない。それでも強烈な印象を与える色と構図です。むしろ浮世絵を大いに取り入れて、輪郭を明瞭にし、平面的、ベタに塗り、それに独自の強烈な配色を加えています。ブルターニュの民族衣装も効果的。
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お金のないゴーギャンが宿代替わりに描いた絵。
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タヒチの神の妻となった女。 ゴーギャンはタヒチの風習、伝承(フォークロア)にかなりハマっていたらしい。これからは世界のフォークロアとの融合が必要だと強く思っていました。しかし、1回目のタヒチ滞在での成果の絵も期待したようには売れず、2回目のタヒチ滞在ではすでに傷心極まっていました。ゴーギャンは売れずに経済的に困窮したまま死んでいますが、フランスでは評価がどんどん上がっていきました。
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戦争といっても世界大戦以前だから、ナポレオン帝政時の侵略戦争ということなのだろう。ルソーは絵画のきちんとした教育を受けておらず、基本的な技量にも大いに欠けていて、当然、一般的な高い評価は全く得られませんでした。しかし、上手い画家では決してできない描き方をするのが逆にすごいということになり、色のセンスが非常に良かったことから、変だが、とにかくインパクトのある絵を描くことで評価が上がってきます。当人はなるべく普通の人の顔を描こうとしているのかもしれないが、民族芸術に見られるような迫力のある顔になっている。神童と呼ばれた絵の上手いピカソはセザンヌとルソーに大いに衝撃を受け、単に上手いだけではどうしても出すことのできない、新しい方向性を感じます。
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普通の人ならこんな子供の顔をこんなふうに描いてしまったら失敗したとして描き直すのでは?これを大真面目に出してくるので、迫力はすごい。すごい迫力ですが、私はとても良いとは思っていません。自分の今後の方向性に悩む第一線の画家はこのような絵から自分にない新しさを感じるということなのでしょう。
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印象派との関わりもあったルソーだが、一瞬の印象を大切にするためにあえて精細に描かないなどということはなく、画面のどこも同じような熱量で描き込みます。上手い絵と比べていろんな変な点があるにせよ、遠目にはちゃんとした絵のようにも見える。そこにあっても何の訴えかけもない絵と比べると、どこかの壁にかかっていてもいいなと思える。
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ルソーはどんな葉っぱも省略して描くことができない。印象派の絵が、見る人が、その経験の中で、感じが出ているなと思えるようなものだったのに対して、ルソーの絵は当人は自分が見た世界を描いているつもりかもしれないが、他人から見るとこんな世界があるのだろうか、何か心が開かれた気がする、というようになるのだろう。こういうのもどこかの廊下にかかっているといいかなと思う。
以上が米村さんと行く大塚国際美術館第三弾第二回 でありました。
ちなみに、最後のルソーは、
私、敏腕秘書が『大人の教養講座』を見て大好きになった画家でありまして。あんまり写実的ではないから好きじゃないと思っていたけど五郎さんの解説を聞いてると、どんどんクセになってきて。
今となってはルソーが見たくて見たくて。
ルソーグッズが欲しくてほしくてたまらなくなっています。
ということで。ルソーシリーズ4つ。全部。載せておきます。
実は私もこの三連休で、『大塚』に行くつもりでした。
台風直撃で延期しましたけどね~(^^♪
近々、ゴロワーズTシャツを着ていくぜ大塚!!!
もしも大塚国際美術館で、
黒いゴロワーズTシャツを着た奇跡の38歳を見かけたら、私なので お声かけください(何も出ません)。
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