「ユンヒへ」(イム・デヒョン監督、2022年日本公開、韓国)
ある冬の日、一緒に食事をした女性に愛の告白をし、その答えが、
「わたし、もうすぐ結婚するの」
だった。思いがけない衝撃に雪の降る中歩けなくなって、タクシーを拾って行きついた居酒屋でこう言う。
「大将、この店で一番強い酒ください・・・」
実話である。
いや、何を書いとんねん。実話やけども。
人生で一番甘かったり苦かったりする時期を想起させてくれる、純粋だったあの頃を思い返さずにはいられない映画。しんしんと雪の降る小樽の景色の中で繰り広げられるそれぞれの人間模様。過去にできた傷もまた現在の自分を形成する一つの要素であって、その傷がいつかの未来に唐突に救われることがある、ということを描く映画。
冬で、雪で、夜で、ということがなお沁みる。大人のための映画かもしれない。
それにしても、あの夜は酒飲んで死にたいと思った。。(まだ言ってる
韓国に娘と二人で住むユンヒ。小樽に叔母と二人で住むジュン。ある日、ユンヒに届くジュンからの手紙。その手紙を読んだユンヒの娘は二人を会わせようと考えて、卒業旅行にかこつけてユンヒと一緒に小樽へ旅立つことに―
新しい映画だから中身は書けないので、映画のエッセンスだけを点々と書くと、
①まずはでてくるキャラクターすべてが優しい。誘い方も話し方も励まし方も受け止め方もすべてが優しさに溢れていてすごく心地がいい。
②キーアイテムの使い方が見事。書けないけれど、そのアイテムだけでそこまで色々なことが描けるのだなぁと感動。
③人と人との関係性があまりにも見事。家族の形、友達の形、恋愛の形。型にはまるべきだと考えられがちの世の中で、色んな人にすっと寄り添うように。ここにも監督の表現に優しさが極まる。
まだ映画館でみれるので、その優しさに包まれて感動し、それぞれの赤面過去を思い出して身悶えするがいいわ、の映画です。
「ユンヒへ」(イム・デヒョン監督、2022年日本公開、韓国)