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不定期企画「KOREAN ACTION LOVER」vol.5 「新しき世界」

もう5回か。少しずつ増えてきましたね。今回の映画はアクション選定なのに、映画の中にはアクション薄目という珍しい作品。でもね、面白いんですよ。ふと止まって考えると最近、濃いアクションの韓国映画の新作って見てないような気がするな。。日本に入ってきてないだけかな。時勢かな。誰か状況を教えてください。では第5回はじまりはじまり~

「KOREAN ACTION LOVER」とは

 韓国映画といえば、右手に過激、左手にタブーを持って、両の手を合わせて出来上がった劇薬の映画だから危険極まりない。中にはエンターテイメントに振って、ハリウッド映画のようにカラッと揚がったフライドチキンみたいに楽しいのもたくさんあるけど、それら全てに共通した面白さは「そこまでやるか!!!!」というところだと思う。そんな劇薬揃いの韓国映画の中でも今回はそのアクションのワンシーンだけを集めました。韓国映画においては相手を倒すのに容赦がない、と思っていたけどホントのところは、相手を倒すことを「リアルに描くこと」に容赦がない。敵の殺し方が爽快で過激でストレスも大嫌いなアイツもすべて消し飛ばしてくれる最高のアクションシーンをご紹介!

「新しき世界」

2013年 パク・フンジョン監督(隻眼の虎、血闘、V.I.P 修羅の獣たち、The Witch 魔女)

【あらすじ】

 ヤクザが企業化してできた会社ゴールド・ムーンで会長が事故死し、その後の覇権争いを描く。営業理事を務めている主人公のジャソン(=イ・ジョンジェ)は実は潜入捜査官で、警察に情報をリークしてきた。覇権争いに警察の陰謀を巻き込みながら、誰がゴールド・ムーンのトップに立つのか。

 この映画はキャストが好きやったなー。特にアクションシーンでも選んでしまったけど、会社の理事役チョン・チョン(=ファン・ジョンミン)が抜群にクレイジーで格好いい。に対して、同じく覇権争いを繰り広げる理事イ・ジュング(=パク・ソンウン)は根が腐った完璧主義者で最後の詰めが甘い演技させたら一級品。なんというか、いっつもちょっと意地が悪い役をしてほしい人なんだよなぁ。

 警察がゴールド・ムーンを掌握するためにやる汚いやり方、会長になるのに手段を問わない理事たち、それからその間で振り回されまくる主人公ジャソン、この人たちの思惑とそれを遂行する手段が狂っててとてもいい感じ!表現もエグ過ぎず、だいたいやって欲しいことは全部やってくれるから、かなり精神衛生上よろしい健全な映画となっております。

【個人的採点】

総評    :88点 アクション薄目でもヒリヒリする展開が吉

ストーリー :90点 主人公の苦悩とある人とのつながりがイイ

演出    :85点 エレベータの演出と実際に落ちる理事がイイ

キャスト  :90点 ファン・ジョンミン史上最も好き

アクション :78点 アクションメインの映画ではない

クレイジー度:82点 エグすぎず、丁度いい

アクションテーマ

「エレベーターでの死闘」

敵     :ナイフ 6人


こちらの武器:ナイフ


爽快殺人指数:86点

 覇権争いがストーリーの中心である本作はアクション描写が少ない。少ないんだけども、潜入捜査官である主人公の兄貴分であるチョン・チョン(=ファン・ジョンミン)の必死のアクションシーンが激渋。この企画で選んだ映画の中でも唯一敗けが確定しているシーンであるにもかかわらず、死に際がかっこよすぎる!ってなわけで選定。よく考えたらこの企画の中でも主人公のアクションじゃないのを選んだはこれだけかな、と思ったけど、ありました。まだ書いてない大好きな映画。よかったら、お楽しみにw

 さて、今回のアクションの話。エレベーターが死闘の舞台やから、基本は上からの俯瞰のショットでエレベータ全体を描いて、表情を映すときには寄りで撮影する。一人でも多く殺して自分も死ぬ覚悟で敵を刺しまくるチョン・チョン(=ファン・ジョンミン)は、敵に刺されまくりもするんやけど、もうホント死んじゃうよ、ってとこまで来てからの顔のアップでまだ相手を殺してやるって目の演技が最高。もうね、ナイフ使って刺すこの瞬間がすごいっていうピンポイントな好き要素ではなくって、ただただエレベーターに入ってこのシーンが終わるまでの演技・雰囲気・撮影方法すべてが際立って格好良かったんです。

 さらにめちゃくちゃよかったのが、このエレベーターの死闘の最後。6人の敵をほとんど殺傷し最早立ち上がれないファン・ジョンミンと転がってる敵を上からのショットで撮影していて、よろよろと立ち上がった敵の一人だけがエレベータから出ていく。よくみると右側に覇権争いの現場である会社「ゴールド・ムーン」の文字が。つまりこのシーン、このエレベーターという箱の中がゴールド・ムーン内の闘争そのものを描いていて、一人だけがこの箱から出られる、と。そして残念なことに、とてつもなく格好良かったファン・ジョンミンはその死の箱から立ち上がって出ることが出来ないのであった。ファン・ジョンミン史上一番好きなシーンだ。ほんで、何回ファン・ジョンミン言うねんとw映画の中でいえば嫌なキャラではあるけど、僕が大好きなチェ・ミンシク(警察側の課長役)は本作では大変大人しくされておりました。(そうか?)


では、今回はここまで!

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