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短編小説・詩

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#掌編小説

「白痴」 (#2000字のホラー応募用)

「山口さん、『遠野物語』って知ってます?」  席に着くなり結城さんはそう言った。勢いよく…

掌編小説「白痴」

 白痴   「山口さん、『遠野物語』って知ってます?」  窓際のテーブルにマグカップを置…

ピアニスト (掌編小説)

 ぼんやりツイッターの画面をスクロールダウンしているときだった。その記事に遭遇したのは。…

七歳までは神のうち (短編小説)

「ときおみ、さん?」 「いえ、ときあみ、です」  隣に座った男はさわやかな笑顔で訂正した…

幸福なじいじ(掌編小説)

 きらきらと光を反射させながら小川がゆるやかに流れる。  白いワンピースを着た少女は、つ…

女同士(掌編小説)

*注意:女性同士のキスシーンがあります。 7/11 タイトル変更 女同士  扉を押して入店する…

「Lullaby」歌付きの掌編小説

Lullaby 情景1 「さあ、そろそろ寝る時間。ベッドに行きましょう」 母親の言葉に幼子は素直に頷いた。 子どもに薄いキルトをかぶせると、母親は隣に体を横たえた。 「ママ、いつものお歌うたって」 子どもがねだった。 「いいわよ。でもちゃんと目を閉じてね」 母親は優しく言って、歌い始めた。 「…朝の光あふれて 裸足で駆け出す さえずる鳥 追いかけ 木立走り抜ける 嵐が過ぎ去るまで ここで少し瞳を閉じて 雨に濡れた翼休めて 虹の夢見る あなたの小さな手を いつまでも包む

掌編小説「モンクの肖像」

 コーポ深山の二階の一番奥。かすかにジャズが漏れ聞こえてくるその部屋が、私の腐れ縁の友人…

雪女(ショートストーリー)

  わしの見た雪女は、話に聞いていたのとは違っておった。 あれはわしが若い頃、反物の行商…

掌編『マヨイガ 迷い家』

 これは人づてに聞いた話であるので、本当かどうかの判断は君にまかせたい。 * * *  そ…