文学初心者の「よだかの星」感想

よだかの星を読んだ感想

よだかの星ってこんな話だったんだ!というのが一番最初の感想でした。昔にも読んだことがあるはずなのに、今回が一番心の中に染み入ってきた気がします。
文学のことも宮沢賢治のことも何も詳しくない私が綴る感想なので色々と拙いかもしれませんが残しておきます。

『よだかは、実にみにくい鳥です。』という一文から始まるこのお話は、夜鷹がその醜さから嫌われ鷹には改名しろと脅され……と可哀想なシーンが続きます。
しかし可哀想な境遇にありながらも夜鷹は美しい弟たちを妬んだりしないし、落ちたメジロの雛を助けてやったりする。夜鷹が世を憎んでいたら私もこんなにやるせない気持ちになったりしなかっただろうなと思う。

遠くの遠くの空へ行こうと決意する理由も、己が生きるためにたくさんの虫を殺すこと、その虫を殺した自分が鷹に殺されることがつらいからなのが悲しい。夜鷹がそんな感性をもっていることが悲しい。
夜鷹が遠くの空へ行こうとしたのは虫を殺すのが嫌になったのもそうだけれど、たくさんの虫を殺したこと、その虫を殺した結果である自分が鷹に無駄に(生きるためなどの理由なく)殺されることで虫を殺したことすらも無駄になってしまうのが嫌だったのではと思うのだけれどどう!?分かりません!(基本自分の解釈に自信ない)
だって、夜鷹は死ぬことではなく遠くの空へ行こうとしたのだから。美しく残ろうとしたのだから。

私が一番心に残ってるのはカワセミのシーンなんですよね。実は。
カワセミは言うんです。「そしたら僕は独りぼっちになってしまう」って。身勝手だけれど、でも切実な言葉です。それに夜鷹は「もう何も言わないでくれ」って返すの、本当に悲しい。そこには隔絶しかないから。夜鷹はもう遠くの空へ行くと決めてしまっていて、弟のカワセミの言葉すら届かないんですよ。悲しいね。

お日様に「灼けても構わないから連れて行ってくれ」と頼んだとき、夜の鳥なのだから星に頼んでご覧なさいと言われたあとの夜鷹の限界ぶりも悲しかった。何もかもに疲れたみたいな夜鷹。遠くの空へ行くことしかもう希望がないのだということが分かってつらかった。
なのに!そこからめちゃくちゃ星に拒絶されるんですよ!相手にすらされない!星!上位存在からの拒絶!悲しい!

それでも夜鷹は飛び上がって、ぐんぐん空を上がって上がって、星になる。星になってしまう。美しくて、煌々と燃え続ける星に。

最後の畳み掛けとか本当に悲しくて、なんで悲しいんだろうかと考えたときに私はやっぱり夜鷹に遠くの空ではなく地上で幸福になってほしかったからなんですよね……。美しい星になるのもまた幸福なのかもしれないけどさ……。

最後に

まだまだ分からない部分が多いので(特に山火事のところは本当によく分かっていない)後で解説とか探して読んでみようと思います!解釈が変わったり深まったりしたら、またこの記事に追記するか新しい記事を書くかしようと思います!

追記

解説を見たり他の方の感想を聞いたりしたあとの追記です。

解説を見た追記

よだかの星は赤と青の対比が特徴的であるという話を見て、なるほどなと思った。青白い星と、山焼けの赤。
山焼けのシーンは「恐怖」を表わしているのかもしれないと知り、なるほどな~!と思った。だとしたら、最後に山焼けの赤が煙草の吸い殻のようにしか見えなくなったのは恐怖から遠のいたということだったのかな。
恐怖で満ちた赤い世界から逃れて、青白く美しい世界に移る話。でも、その結果が星になることなのがやっぱり私は悲しく思えてならない。


宮沢賢治の話には食物連鎖の話がよく出てくるらしい。「やまなし」と「注文の多い料理店」が例に挙げられていて、それは読んだことがあったので確かになと思った。
生き物を捕って殺し食べるという行為が哀しいよだかがそれから逃れるということ。私は今までよだかが地上で幸福になれなかったことを悲しく思っていたけど、よだかが苦しんでいた生き物を捕って殺すという食物連鎖から逃れられたという点では良かったのかもしれないなと思い直した。

よだかのプライドの話も見えて、確かによだかは気高いよなぁと思った。神様からもらった名前を変えなかったこと、弟たちを妬まないこと、メジロの雛を助けること、星々から拒絶されても自力で飛び立ち星になったこと。確かに、よだかの心は美しい。

私ははじめの感想で虫を殺したことすらも無駄になってしまうのが嫌だったのではと言ったけれど、もっとその前の段階。食物連鎖があるということからもうよだかは哀しいのだなと思うと、生きづらさを感じて悲しい。

他の方の感想を見た追記

私がよだかの星の話題を出した際に、SNSで話に乗っかってくれた方がいらっしゃって。その方々の感想を見て思ったことも残しておきます。

鷹やメジロたちの側に立って「はたして私たちは世の中のよだかに優しくあれているだろうか」と考えている方がいらっしゃった。メジロたち側に立つという発想がなかったので、なるほど~!とめちゃめちゃテンション上がりました。確かに。私たちがメジロかもしれないのだ。
のと同時に、永訣の朝や銀河鉄道の夜にも触れると良い感じかもと分かったのでいつか触れたいな。

あと、よだかの考え方に親近感を覚えるという方がいらっしゃって、わ、分かる~!となった私でした。
「自分が消費する側に立つこと」「自分が消費される側に立つこと」「その前に美しい(消費する必要もされる必要もない)別のものになってしまおう」という考えは、考えすぎるほど考える人々にとってはめちゃくちゃ親近感の湧く考え方じゃないかなと思う。
でも、だからこそ私は「地上で幸せになれたらよかったのにね」と悲しくなったのかもなぁとも思う。そのままで幸せになれたらどれだけ良かったか、と考えてしまう。

うーん、まだまだ深掘りできそうだけどどこまでも長くなりそうだから一旦ここまで!

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