#004 / 犬王
「見届けようぜ!」
湯浅監督『犬王』、観劇。(2022年のこと)(大変遅ればせ)
こんなに言語化が難しい作品は久し振りでした。
まずは、ですが、松本大洋氏のキャラデザ、絵柄が最高に好き。横顔の描き方、人物の歯、しなやかな曲線美など、要所要所で「イイ...」となった。
序盤は、アニメーションのロックフェス。その演出に体が自然に揺れたりコールアンドレスポンスに参加したくなったりと、映画を観ている感覚から離れてしまう。1曲がもう終わり?ってなるくらい、時間があっという間に過ぎた。
友魚役、森山未來氏の歌声、素敵すぎた。友魚の優しいところや真っ直ぐなところ、強い信念を貫く様にぴったりだと思った。空気の中に広がって、遠くまで包み込んでくれていた。
犬王役、アヴちゃんの歌声は本当に唯一無二、明確に力を纏った音の波動で、見るもの全てを震わせる。鳥肌が止まらない。加えて、自分らしくいることを全面に肯定してくれるような、そんな安心感も含んでいる。その歌声は、作中のような古典にも現代にもそして未来にとっても“新しい”ような気がする。もともと女王蜂が好きで、何度かライブにも行ったことがあるけれど、またそのお姿を拝見しに行きたいと強く思った。
あまり多くは語れないけれど、終盤のワンシーンが忘れられない。こういった(曖昧な言い回しだが断言は避けたいので失礼)領域に踏み込むにはもう少し覚悟が必要だったかもしれないと、一緒に見た友人とふたり、帰り道に考えた。
また、歴史にもう少し詳しければ...と後悔する箇所もいくつか。日本史に疎い自分の知識の狭さ...きっと解像度が違っただろうな、知識は物事を捉える解像度に影響する。
史実に基づく実在した「犬王」、時代の渦の中閃光のように生きた彼のことを、600年経った現代で少しでも知り想像することができてよかった。
特典でもらえた松本大洋氏の蛇腹ポストカードがよすぎてまた「イイ...」となっている。何度も眺めて、今日もまた犬王と友魚のことを思い出している。